トルコ映画:第57回アンタルヤ黄金のオレンジ映画祭、今夜の受賞式典で閉幕
2020年10月10日付 Cumhuriyet 紙
国内作品に重点を置くアンタルヤ黄金のオレンジ映画祭の「国際コンペティション」では10作品が名を連ねた。そのうちの三作品が今夜賞を獲得する予定だ。
私たちの映画界におけるトレードマーク的な存在の一つであるアンタルヤ黄金のオレンジ映画祭において、重点が置かれるのは勿論のこと国内作品だが「国際コンペティション」には、世界の映画祭から多様かつ良質な映画作品の数々が到着した。我が国の映画監督であるエミン・アルペル氏、イラン出身の著名な俳優であり監督のニキ・カリミ氏といった重要な人物たちが参加した審査員陣が、10の映画作品が軒を連ねるコンペティションで授与される3つの賞を今夜のクロージングセレモニー発表する予定だ。
かつての「当たり前の」生活が、完全に遠くになってしまったかの如きこの奇妙なパンデミックの日々において、私たちの前に立ち現れる映画作品に共通する感情というのは、恐らくは私たちの行く末は実際問題として、全く変わらないということを思い起こさせるものだ。『エスマの秘密』において金熊賞を獲得したボスニア出身の映画監督ジャスミラ・ジュバニッチ氏は、再び彼女の故郷における戦争の歳月に対し、そして虐殺に対して目を向けた新作映画『どこに向かっているのアイダ?/ Quo Vadis, Aida?』によって、私たちが公に自らに終焉をもたらす崩壊へと、しかもあろうことに為すすべもなく追い立てられる様を提示しているのである。
■心がかき乱される・・・
国連の通訳者であるアイダを演じているセルビア人女性役者、ジャスナ・ジュリチッチ氏は素晴らしい。自分の家族を守るためのむなしい闘いにおける顔つきは、本当に凄惨でそして次第に深刻になる状況と共に、心をかき乱させるものである。
似た形で「どこに向かっているのか」と問いかける映画『200メートル(200 Metre)』は、パレスチナ-イスラエルの行き止まりの状況における、もはやあまりに古風な分断の狂気を思い起こさせる。その名前にさえも慣れ親しむことのできない「嘆きの壁」によって分け隔てられた、ある家族が落ち込んでいる数多くの困難な状況は、若手監督のアミーン・ナイフェフ氏が個人的に体験したものであるという。時折、クリシェによってブレが生じてしまっているものの、その間にある200メートルの距離を隔て挨拶を交わさなければならない家族の生活には、生きることの悦びがある。
主役を演じる著名なパレスチナ人俳優アリ・スレイマン氏の存在も、ここでまた大きな役割を担っている。
その行く末に暗雲が立ち込めているガザから届いたもう一つの作品である『ガザ・モナムール(Gaza Mon Amour)』は、ラブストーリーでありながらも、その状況の異常さを、軽妙洒脱なタッチで描くことに成功している。『サクセッション(Succesion)』というドラマ作品によって輝きを見せるヒアム・アッバス氏とサリーム・ダウ氏という手本のような素晴らしい俳優たちがいるのである。
当惑させるような私たちがその中に生きている状況について、最高にインパクトのある映画は、リリ・ホルヴァト氏からやって来た。『不確かな時の中で共生に向かって(Preparations to be Together for an Unknown Period of Time)』は素晴らしい雰囲気の映画であり、同時に完全に現代とこの場所と関係がある作品だ。愛そして意識消失の持病の間を行き来する女性の神経学者役であるナタサ・ストーク氏は、受賞に非常に近い位置にいる。ほんの一瞬の出会いの後を追いかけて、愛した男のために帰郷した女性のブダペストの様々な通りを巡る旅路は、このような暗いトーンの映画が陥りやすいクリシェに挑んでいる。
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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:50049 )