民族誌:ワクフル村でトルコ初のアルメニア博物館がオープン
2020年06月27日付 Milliyet 紙
アルメニア村のワクフルは、現在そこに出来た博物館によって話題になっている。山間の村々の特別な品物で構成されるワクフル村博物館は、自身の物語を語っている。
トルコにおいて存在し続けているアルメニア人村のワクフルは、ハタイのサマンダ―郡に属していて、世帯数は35で人口は100程の村である。私たちが慣れ親しんでいる村とは異質な場所であり、最も観光客の関心を集める場所の一つという特徴を有している。ワクフルは農業が営まれるムサダー地方にある山間の村だ。ここの住人は皆、柑橘類の栽培で生計を立てている。トルコで最初にオーガニック農業へ移行された場所の一つであり、このテーマに関して数多くの賞を受賞している。村の女性たちは、2005年に合同で共同組合を結成しており、全ての製品が協同組合で扱われている。アーモンドジャム、オレンジジャム、ザクロジャム、トルコ伝統レース(イーネ・オヤ)といった製品は、共同組合の名義で、村の教会の食堂で販売されている。収入の大部分は女性に対して、その一部は協会のアワクフに提供される。このようにしてワクフル村の女性たちは、村へそして自分たちの家庭の経済活動に貢献しているのである。これら全ての特徴によって、よく知られ、なおかつ数多くの訪問者を獲得している村は、新たに博物館によってその注目を集めているのである。
それが『ワクフキョイ博物館』だ。
■規模は小さいが豊饒な展示
訪問者たちに対して、その扉をつい最近オープンしたものの、公式オープニングはこの先に行う予定である博物館のプロジェクト・コーディネーターであり美術史家のロラ・チャパル氏は、「私たち自身が訪問者たちの立場になってみた後に、この博物館を設立することに決めたのです。村から一体何を購入したのか、また一緒に何を持ち帰ったのかを調べました。彼らは一体何を持っていくのでしょうか、彼らが帰るとその記憶には何が残るのだろう?と私たちは考えたのです。村にはもっと多くのものがあるよ、と私たちは教えたのです。村の人々には過去が、様々な物語が、食べ物が、音楽が、楽曲が存在しています。私はこれらを提示しようと思ったのです。」と語っている。
博物館は、小さいのですが中は非常に豊饒であり、一つの民族誌博物館としての特徴を有しています。ワクフル村からだけではなく、ムサダーにあった7つのアルメニア村の足跡を含んでいる博物館では来場者をどのようなものが待っているのでしょうか?入口では、来場者を古い婚約衣装が出迎えます。チャパル氏は、「古い結婚衣装を探してみたのですが、なんと誰一人として結婚衣装をもっていなかったのです!結婚衣装は一着だけしか存在せず、みな結婚する時にこれを着せ付けたということだそうです。」と語る。
そのため発見する事の出来た最古の衣装が、博物館の入り口においてある。
■老婦人たちの郷里を懐かしむ民謡
村の言語が、あなたに挨拶をするのです!若者たちがすっかり関心を持たなくなったものの、実際のところ皆が使用していたこの言語はムサダー・アルメニア語だ。:
トルコで使用されたイスタンブルと東部アルメニア語とは異なっている。言語を解説するパネルから村の歴史を解説するパネルへと、そこからもまた宗教上の儀式で使用された物品と服があるショーケースへと移る。ムサダーの信仰とアルメニア教会の祝日を解説するパネルの後にアルメニア総主教座教会の祝日にて(8月15日の聖母マリアの被昇天)で作られて、このバイラムに特有のハリッサ(アルメニアの伝統的な唐辛子ペーストの料理)が解説されるコーナーへと入るのである。ここでは、このバイラムの様子を写す映画を鑑賞することが出来る。
スーツケースと杖によって構成される、(民族の)移動のメタファーのように見受けられる場所の後にも情報パネルを読みながら、村の老婦人たちが歌う故郷を懐かしむ民謡を私たちは耳にするのだ。
■村人たちと一緒に作り上げられた
内部では各種のサンプルと共に建築物と音楽を解説するショーケースと村の結婚の伝統の数々が解説されたコーナーの後に、ドキュメンタリー上映室でドキュメンタリー作品を鑑賞することが出来る。博物館の情報パネルはトルコ語とアルメニア語である。英語を読みたい人たちのためにはQRコードも設置されている。村のかつての光景の写真が掲示されているパネルの前では、各種の要望を書くことができるカードが置かれている。また他の片隅では、村の古い写真の前で記念写真を撮影することが出来る。チャパル氏はこう語る:「私たちはインタラクティブな博物館を作ろうとしたのです。この博物館は村の人たちと一緒に造り上げたのです。全ての品々、全ての物語がこの家々から生まれました。初めは博物館のアイディアはそこまで歓心を得るようなものではなかったのですが、今は全員が非常に満足をしています。」と語っている。トルコの最も素晴らしい一角の一つであるワクフル村とその作品に対してではなく、その物語にこそ焦点を当てた、この素晴らしい博物館へと、あなたは絶対足を運んでみるべきである。
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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:50067 )