焼き栗売りの昨今の経済状況
2021年01月18日付 Hurriyet 紙

焼き栗売り、ポップコーン売り、スィミット売り。すべてが最も有名なイスタンブルの写真の一角に写りこんでいる。街の最も混み合う中心地で販売を行っているこの就業者たちは、同時に日常の忙しない労働にあって経済の一部となっている

感染拡大期に講じられた措置の中で実施された隔離と外出制限の影響を最も受けた職種のひとつがこの[屋台の]移動販売者たちである。私たちもタクスィム広場のイス ティクラール通りの入り口で何年も焼き栗を販売しているユスフ・デニズさんの屋台を一日借り受けて焼栗売りになった。最初に言っておくべきは、移動販売は考えられているほど簡単な仕事ではない、ということである。特に私たちが過ごしているパンデミック期間においては。

■仕事始めは10時

焼栗売りの店を開くための仕事は10時頃に始まる。倉庫からとってきた栗、炭、紙袋を持ってタクスィムに向かう。ユスフさんの説明によると、栗は1キロ当たり35(約485円)から40リラ(約555円)でバルッケスィルから購入している。その後、車を準備して火をつけ、お昼頃から売りを始める。

私たちも、火が安定した後、手に栗を持ち、殻に線を引き[剥いて]焼き始める。調理された栗の中で最良のものを前面に奇麗に並べる。ユスフさんが言うには、この時間帯に少し我慢強くなるのがいいという。なぜなら、仕事の本番は夕方5時以降に始まるからである。

■栗への新年の値上げ

私も手にトングをもって待っている。その時、ユスフさんは屋台から古い価格表を外して新しいのを置いた。この金額で販売を行うと言っている。栗にも約20%の値上げがあると学んだ。栗を焼き続ける。しかし、ここ最近、最も混雑しているタクスィムで往来する客はいないかのようだ。特に、私たちの右左は旅行者であふれている。

■最初の販売は一時間後

一時間後、最初の客に売った。屋台に寄るもの皆が最も軽い量を求める、つまり150グラム。値段は20リラ(約277円)。屋台の脇に自治体の経済監督官たちがいる。常にマスクをつけているのかいないのかをチェックする。時間が進むにつれ、遂に客が寄ってき始める。五時頃に仕事が忙しくなる。一人、二人と数えていたら、10人もの客となった。時折訪れるアラブ人観光客は、250ー300グラムの包みを求める。顔が綻ぶ。時には一時間の間、一人の客もない。時には半時間で10人。

■栗販売の細やかな配慮

売っている際に、ユスフさんはこの仕事の配慮の細やかさを見せる。屋台の上で焼き上がった栗がたまると、火の上に不具合の栗を投げ入れ煙を出す。これは、客の関心を引く薫りを周囲に広げるためである。しかしあまりに煙がでると、経済監督官がすぐに注意を促す。時々、屋台を通りの中で人ごみの多い側に引いていく。すると経済監督官はすぐにやってきて元の場所に引き戻させる。

■480リラ売った

ユスフさんによると、焼きぐり売りは年間およそ1000リラ(約1万3876円)を自治体に支払う。パンデミック以前、一日の売り上げは平均で1000リラから2000リラの間であったという。よく売れた日には2500リラ(約3万4691円)になったという。2020年の新年の晩には7000リラ(約9万7136円)売り上げたという。パンデミックとなって一日の売り上げは300リラ(約4163円)から700リラ(約9713円)の間だという。時に他の日と同じ売り上げにならない。私は通りに人が沢山いた日に480リラ(約5800円)を売りあげた。一日中立っていたせいで、腰が酷く痛んだ。

■12時間労働の対価

支出はというと、自治体に支払う手数料の他、一日の炭・紙袋・食事代の費用は200リラ(約2775円)。販売用の栗の費用は200リラから400リラ(約5550円)である。もし屋台の持ち主でなければ、100リラ(約1387円)を働く者に支払わねばならない。一日の平均的費用は400リラから600リラである。12時間の労働の対価は、稼ぎのいい日で500リラ(約6838円)が屋台の主の手元に残るかもしれない。これは一月で15000リラ(約20万8150円)にあたる。ひとつの屋台は普通、少なくとも二人で番をしているので、稼ぎを分ける。稼ぎの悪い日は時には費用を賄うのみで、屋台の主には総じて200リラから300リラが残る。こうした日々が続く月には屋台の稼ぎは6000-7000リラ(約8万3260円-9万7136円)となる。パンデミック期の外出禁止は販売期間を減らした。したがって稼ぎ時である土曜・日曜も大きな損失となった。しかし、タクスィムで焼き栗の商売をするのは、他の地区と較べて大層稼ぎが良いということも、明らかにしておくのも良かろう。

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:50512 )