翻訳家契約のカウントダウン(2)
2021年01月31日付 その他 - Sky News Arabia 紙


■翻訳家契約のカウントダウン

【スカイニュース・アラビーヤ:イブラーヒーム・クー二ー】

アルプスでの会合において、奴田原は詩人であり、彼の同胞たちと同様ロマンチストでもあった。特に自然に関して言えば、彼らは月が満月へと変わる周期性を欠かさず祝い、アーモンドの木々が開花するさまを眺める度に祈りの文言を唱えるために自然空間への巡礼に出掛けることを躊躇うことはなく、この母なる聖域の全ての場所で祝祭を確認することに気を病むこともなかった。

であるからこそ、奴田原が6月という実りの季節において、伝統的な咲き誇りの中心地であるベルナーオーバーラントでスイスの自然に魅了されたことは驚くに値する事実ではなかった。とりわけ、ヘンリー・クライスト、ブラームス、ロバート・ウォルツァー、そしてこの世界における美の愛好者ら全てが暮らしたトゥーン湖畔において、である。

オデュッセウスが美を享受するための現代的な条件を満たさんがため、奴田原は情緒的な日本の歌が記録されたCDを持ってきた。私が彼への敬意を表するために用意していた小さな宴会の間、彼はずっと女性歌手の高い声を聞き続け、自身の無邪気な精神によってそれを表現していた。「ティブル」や「ナズィーフ・ハジャル」を著した手によって準備された以外の何物でもないこれらの食事に、いったい彼はどれほどの幸せを感じていたことだろうか。

(後略)

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( 翻訳者:木戸 皓平 )
( 記事ID:50628 )