イランとアル=カーイダの微妙な関係 (3)
2021年02月12日付 al-Quds al-Arabi 紙
■イランで釈放されたアル=カーイダの幹部たちがシリアへ渡ったのはどうしてなのか?
【本紙コラム:ワーイル・アッサーム】
ニューヨークタイムズ紙は、イランとアル=カーイダとの関係の正体を綿密に考察したコラムを掲載した。著者のコール・ピンゼル氏は「ポンペオ国務長官の話には多くの誇張が含まれている」と結論付けた。さらに「ヨルダンのアル=カーイダ幹部アブー・カサームは、イランとの関係を協力とは言えない(関係)と評している」と述べている。彼によると「2015年の拘束者交換によってようやくアルカーイダの幹部はイラン国内での行動の自由が認められた。イランが自発的に拘束者の交換を認めたわけではなく、そうせざるをえなかったのである。またアル=カーイダの幹部たちも進んでイランにとどまったわけではなく、釈放の条件として出国を禁じられていたのである。」
さらに、ピンゼル氏は、アル=カーイダの幹部に出国を認めず、彼らをイランに軟禁させ続けた理由に対して「想定されうる理由は、アル=カーイダがイランに対してテロ攻撃を仕掛けないという保証が欲しかったということだ。アル=カーイダは、中東全域でイランが支援する武装組織、例えばレバノンのヒズブッラー、イエメンのフーシなどと交戦している。アル=カーイダのイデオロギーに近い『イスラーム国』(ISIL)のメンバーは、イラン国内でのテロ行為を警告し、2017年にはイランの国会議事堂とアーヤトッラー・ホメイニー廟への襲撃事件を起こした。つまり、アル=カーイダの幹部がイラン国内に存在することは、アル=カーイダ攻撃に対する保証のようなものと考えられる」と答えた。
そして「バイデン新政権は、アル=カーイダがもたらした脅威に政治的な評価を下すべきではない。」と述べてコラムを締めくくった。
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( 翻訳者:萩原優太 )
( 記事ID:50702 )