シシリ・エトファル病院もゲズィ公園を引き継いだ財団に
2021年03月22日付 Cumhuriyet 紙

ゲズィ公園がイスタンブル広域市の手から奪われて「当初規定を失したワクフ」としてスルタン・ベヤズト・ハーン・ヴェリ(スルタン・バヤズィト2世のこと)の財団(ワクフ)に引き継がれたという情報の後、新たな情報が判明し始めた。

2018年以降に移転の混迷を続ける、保健省付属のシシリ・エトファル教育・研究病院が問題の年に、まさに今回のゲズィ公園同様に5737号ワクフ法に従って、スルタン・ベヤズト・ハーン・ヴェリ財団に引き継がれていたことがわかった。

ワクフ総局がこの件に関して行った説明によれば、病院の他にペラパラス・ホテル、ヴェファ高校、シシリ・エトファル病院、サイト・ハリム・パシャ邸もスルタン・ベヤズト・ハーン・ヴェリ財団に引き継がれた。

2008年に施行となった5737号ワクフ法の第30条は「ワクフ行為を通じて発生し、いかなる形であれ、国庫、自治体、特別行政体、村、法人に処分権が移行したワクフ文化財は「当初規定を失したワクフ」に引き継がれる」とする。

■ワクフ総局の説明

ワクフ総局は、説明の中で総計1014の不動産建物がワクフに登録されたと述べ、作業の中で書類を調査して、当該の数々の不動産がスルタン・ベヤズト・ハーン・ヴェリ財団の不動産であることが確認されたとし、「ワクフ総局は設立の目的、職務を遂行し、自らが管理・運営を行う「当初規定を失したワクフ(設立がオスマンやセルジューク朝期にあたり、今日、管財人のいないワクフ)」の権利を護っている」と語った。

同総局は、2008年に施行となった5737号ワクフ法の「ワクフ行為を通じて発生し、いかなる形であれ、国庫、自治体、特別行政体、村、法人に処分権が移行したワクフ文化財は「当初規定を失したワクフ」に引き継がれる」との条項に触れ、「法の条項に従って、イスタンブルにある民間・自治体の私有財産を区別なく、例えばクレ・ イ・ゼミン財団のガラタ塔、スルタン・セリム三世時代に建造されたセリミイェ兵舎、スルタン・マフムト一世財団名義のアーディレ・スルタン宮、スルタン・ベヤズト・ハーン・ヴェリ財団のペラパラス・ホテル、ヴェファ高校、シシリ・エトファル病院、サイト・ハリム邸といったイスタンブルまたはトルコ全土にある1014件もの不動産建物をワクフに登録した。ワクフ総局の職務のひとつは、自らに委ねられたワクフ財産を保護し、ワクフ設立者が我々に委ねた、それぞれが素晴らしい建造物を保護・再生して、この根本的な遺産を次世代に引き継ぐことにある」と述べた。

■名前は異なるが行き先は同じ

移管業務は上記のものに止まらない。共和人民党イスタンブル選出のアリ・シェケル議員は、ベイオウルの教員会館、イスタンブル産業事業所の建物も問題の財団に引き継がれたとの訴えを、文化・観光省のメフメト・ヌーリー・エルソイ大臣に向けた質問主意書を通じて国会の議題とした。

シェケル議員は、主意書の中で「世界文化遺産の重要な場所であるイスタンブル・ ベイオウル区の高価な土地、その土地に立つ不動産建物が「当初規定を失したワクフ」の名目で極秘の事業・手続きによって所有者を変えることに、いかなる善意もない」と訴えた。

移管書類の中では、問題の財団は、「スルタン・ベヤズト・ハーン・ハズレットレリ・ヴェリ財団」、「スルタン・ベヤズト財団」、「スルタン・ベヤズト・ハーン財団」の名で記載されているが、すべて同じ「当初規定を失したワクフ」のことを指している。

■移転は引き継ぎ時点以降、話題に

健康・社会サービス従事者組合のシシリ支部長でシシリ・エトファル共助組合のメンバーであるイペッキ・デニズさんは、移転が2018年には話題となっており、共助組合も 同年に設立されたと述べて、次のように語った。

「最初は、移転先はセイランテペと言われた。医療従事者も全体で引っ越すことになるので、当初はそれほど反発は生じなかった。何時からかサルイェリとセイランテペの二つに分かれると言われ、まさにその時に従事者は反発した。私たちは病院が違う財団に引き継がれたことを知らなかった。耐震性がないからとの理由で、引っ越すと言われた。病院が解体されるのは確実だが、その代わりに何が作られるのかは誰も知らない。2018年に最初の移転が行われ、最近では五月一五日に各種診療所もセイランテペに引っ越した。学生の研修も兼ねた病棟の引っ越しには、物理的条件が完了するのが待たれる。」

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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:50821 )