ガザ地区:パレスチナ問題は世界の矛盾を暴く?(3)
2021年05月19日付 al-Quds al-Arabi 紙


■パレスチナ問題は世界の矛盾を明らかにする?

【本紙】

ヨーロッパの政府の一部は、イスラエルに対する恥ずべき優遇を撤回した。その理由としては、パレスチナ民間人の犠牲者数の増加や、ガザに対する恐ろしい爆撃の光景、自国における(特にアラブ系およびイスラーム教徒の)市民の怒りの増大があげられよう。たとえヨーロッパ諸国を支配する政治エリートが「ハマース」とガザ地区の住民を暗に同一視していたとしても、数百人の市民の殺害に対する政治的正当性を(道徳的正当性とは別に)どこに見出すというのだろうか。そこで殺害された市民のほとんどは女性と子供である。イスラエルの戦争犯罪を隠蔽すること(あるいは実際にそれに参画すること)による利益とはなにか。

パレスチナ人にとって、その政治的方向性にかかわらず、停戦に向けたヨーロッパの働きかけや安保理決議の採択を拒否することは難しい。ガザに5億ドルを支援するというエジプトの発表やフランス・エジプト・ヨルダンによる調停にはもちろん反対しない。アメリカは国連の決議採択に幾度となく反対し、イスラエルとの新たな兵器取引を承認した。パレスチナ人はこうした事実を承知していつつも、ラシーダ・タリーブ氏に対するジョー・バイデン大統領のスピーチや、イスラエルに肩入れするアメリカの態度に対するイルハーン・ウマル氏の大胆な批判、マーク・ラファエロ氏などの俳優がイスラエルへの制裁を求める署名を集めたといった類のニュースを喜んで受け取る。これらすべての事実は、維持されている世界の均衡からイスラエルがもはや退かないことを表しており、人道に対する罪との結託が政治的、道徳的に高くつくという事実を意味する。

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( 翻訳者:本多香奈 )
( 記事ID:51095 )