イスタンブル新運河の架橋計画明らかに
2021年06月13日付 Cumhuriyet 紙


<1>エルドアン大統領が「私の夢」と呼び、イスタンブル広域市のイマモール市長が「犯罪行為」と呼ぶイスタンブル新運河に架けられる第一大橋の詳細が明らかになった。

イスタンブルのヨーロッパ側を黒海からマルマラ海まで抜けるよう設計された水路プロジェクトである「カナル・イスタンブル」運河に建設される第一大橋の詳細が発表された。

トルコ運輸インフラ省からの情報によれば、6月最終週にレジェップ・タイイプ・エルドアン大統領と運輸インフラ省のアディル・カライスマイルオール大臣が出席する式典で橋の基礎が着工される予定である。

<2>これにより、北マルマラ高速道路(第三ボスポラス大橋を含む)プロジェクトの中の、バシャクエスィル~ナッカシュ08区間(接続道路を含む)の工事プランにサズルデレ通過を可能とする斜張橋が建設される。

この大橋の主支間の長さは440メートル、さらに左右に210メートルずつ側支間をもち、その全長は860メートルになる。またアプローチ高架橋まで含めると全長1618メートルとなる。

斜材のケーブルは136本、岸のブロックに打ち込まれるアンカー数は272本と計算されており、2方向x4車線の交通量に対応する。

大橋のプラットフォーム幅は46メートルで、 「ダイヤモンド」形状で設計される主塔は高さ196メートルにもおよぶ。

また塔は、平面寸法や壁の厚さの異なる箱状構造物からなる2本の鉄筋コンクリート脚で建造される。このコンクリート脚は、橋の土台部分と上部で横梁によって相互に接続される。

■トルコの輸送における戦略的取り組み:カナル・イスタンブル

2011年4月27日にエルドアン大統領によって発表され、世論では「クレイジープロジェクト」として知られるカナル・イスタンブル・プロジェクトでは、6本の橋の建設が予定されている。

同プロジェクトの概算費用は約150億ドルと見積もられており、プロジェクトの枠組みで建設される6本の橋に係る費用として14億ドルが見込まれている。

<3>カナル・イスタンブルによって引き起こされる都市・環境問題が議論される一方、専門家らは「安全保障」と「法」の観点からも警告している。

退役軍人のアリ・エル准将は、イスタンブルに常駐する第一部隊は同時にトラキア地方の防衛にも責任をもっているとし、次のように述べた。「運河周辺も大都市へと変貌することで、イスタンブルにさらにもう一つのイスタンブルが追加される。その場合、扱いが最も重要な地域であるトラキア地方の多層防御性が失われてしまう。そうなったらトラキア地方にいる装甲・機械化された旅団はそこから動けなくなり、トラキア地方の部隊の防衛は海上を通過する軍隊に一任することになる」。

アリ・エル准将は、つまりカナル・イスタンブルが建設されると、運河の西に、トラキア地方を防衛するため第一軍規模ではないにせよ、新たな軍組織を設立する必要があると述べ、「この場合、トルコ軍の予算は現状予算を上回ってしまう。したがって、従来地域での防衛費は増加するだろう」と話した。

■「不都合なことが起きる」

一方、ヒクメット・サーミ・テュルク教授は、カナル・イスタンブル開通に伴う最重要課題である国際法の問題が、モントルー条約であると述べた。テュルク教授は、「条項が適用される場合、カナル・イスタンブルにも制限が課される。たとえば、(ボスポラス海峡の)通過に関する条項の第1附則で規定される以外の課税、手数料、あるいは料金を徴収できない。通過が有料となる場合、ボスポラス海峡を無料で通過できるのに、非常に例外的な場合を除いて利用されるルートにはならない。つまりこれは、カナル・イスタンブルへの投資が利益を生まないことを意味する」と述べた。

テュルク教授は、一方、モントルー条約をカナル・イスタンブルには適用しないとなれば、同条約への違反になるとし、「それは83年の歴史をもつ条約を議論の対象にしてしまう状況を生む。いずれの結果も、カナル・イスタンブルがトルコに一切利益をもたらさず、むしろトルコにとって問題を引き起こす可能性さえある、真の「クレイジープロジェクト」だということを示している」と述べた。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:51195 )