エルドアン大統領「アフガニスタンの安定のため最大限の努力をする」
2021年08月15日付 Milliyet 紙
トルコのレジェップ・タイイプ・エルドアン大統領はイスタンブル海軍工廠指令本部で行われた、パキスタン海軍向けに輸出するアダ級コルベット「ミルゲム」(MİLGEMプロジェクト)の第一号艦進水式ならびに領海巡視船計画の第一号艦テープカット式でスピーチを行った。特に、タリバンによるカブールでの政権奪取について、エルドアン大統領は、「現在、紛争が激化しているアフガニスタンに平和と安定をもたらすという意味においてパキスタンはきわめて重要な役目を負っている。増大する不安定要因が新たな難民の波を引き起こすという懸念を取り除くにはこの方法しかない。アフガニスタンを可能なかぎり早期に安定させることを第一にトルコは最大限の努力を続ける」と述べた。
レジェップ・タイイプ・エルドアン大統領は、防衛産業の分野におけるパートナーシップをいっそう促進するという合意をパキスタンと結んだと述べた。エルドアン大統領は、イスタンブル海軍工廠指令本部での、パキスタン海軍向けに輸出するアダ級コルベット「ミルゲム」の第一号艦進水式ならびに領海巡視船計画の第一号艦テープカット式でスピーチを行った。スピーチは、昨日(8月14日)で74回目を迎えたパキスタン独立記念日への祝辞から始まった。
故ムハンマド・アリー・ジンナーが宣言したとおりパキスタンは1947年8月14日以来、団結、信頼、規律をもって進んでいると述べたエルドアン大統領は次のように続けた。「トルコとパキスタンとの友好関係、そして兄弟の絆の根源は、歴史の深い部分にまで遡る。トルコ国民の心の中で、パキスタンは常に特別な地位を占める。また、我々は両国の兄弟の絆から生まれる力によって、あらゆる分野での関係を前進させるための努力を絶え間なく続けている。両国はパンデミック下においても真摯に協力し、友好国、兄弟国であることはいかなる意味をもつのかを改めて示した」。
エルドアン大統領は、両国間で確立されたハイレベルな戦略的協力メカニズムのおかげで、省庁や関係組織が効率的な協力関係を築くことが可能になっているとし、2020年2月に開催された第6回ハイレベル戦略評議会において両国関係のあらゆる側面があらためて議論されたと述べた。
また、パンデミックによる制限下でも、トルコで開催される次回の会議に向けて詳細な準備が進められていると表明し、間もなく日程が明らかにされる第7回評議会においてパキスタンとの共通議題を進めるための努力も組み込まれていると述べた。
エルドアン大統領は、近年、防衛産業の分野で実施されてきた具体的な協力プロジェクトにも満足していることを表明し、次のように続けた。
「防衛産業の分野では、今日、第一号艦がお披露目されたアダ級コルベット「ミルゲム」のほか、ATAKヘリコプターや訓練機といった協力プロジェクトでも大きな成功をおさめている。防衛産業でのパートナーシップをさらに推進することに賛成だ。パキスタンとの強力な政治関係と防衛産業における協力を貿易上の取引にも反映させたい。これについては、2020年2月、我々の助けになるであろうロードマップにパキスタン側とイスラマバードで署名した。トルコ側の各機関がその行動計画実現に向けた取り組みを続けている。
また昨年はパンデミックにもかかわらず、二国間の貿易量に減少が見られなかったことも一つの成果である。できれば今年以降、貿易量を定期的に増加させたいと考えている。パキスタンは、南アジアという人口20億人を超える重要地域の平和を確立し、繁栄を促進する取り組みにおいて重要な役割を果たしている。この地域が直面している問題の解決策は、パキスタンの支援がなければ実現できない」と語った。
エルドアン大統領は、パキスタン海軍向けに輸出するアダ級コルベット「ミルゲム」の第一号艦進水式ならびに領海巡視船計画の第一号艦テープカット式において、まさに紛争が激化しているアフガニスタンに平和と安定をもたらす、という意味においてパキスタンも重大な役目を負っていると述べた。また増大する不安定要因が新たな難民の波を引き起こすという懸念を取り除くにはこの方法しかないとし、「トルコとしては、イラン経由で発生したアフガニスタン難民の波に直面している。我々は、周辺地域と、まずはアフガニスタンを一刻も早く安定させるためにあらゆる努力を示し続ける。そしてこれにはパキスタンとの協力を深め、継続していく必要がある。この目的のために、我々にできるあらゆる手段を動員すると決意している」と話した。
エルドアン大統領は、MİLGEMプロジェクトの枠組みで、4隻のアダ級コルベット「ミルゲム」をパキスタン海軍向けに建造することにも言及し次のように述べた。
「4隻のうち2隻はトルコで、残りの2隻はパキスタンで建造される。コルベットに搭載されるオプション技術と装備もトルコの防衛産業が有している製品の中から選ばれる。2019年にテープカット式を実施した初号艦の進水式が開催された。第2号艦を船架台に乗せる式典も4月に行われた。昨年10月には、パキスタンで建造される第3号艦の竜骨を船架台に下ろす式典も行われ、今年6月には第4号艦もテープカット式を開催した。約3年前に契約を締結したこのプロジェクトでは、コルベットの納品は2025年までに完了する予定となっている。ご覧のとおり、全艦の建造プロセスは計画通りに進行している。パキスタンにとってのあらゆる成果は、我々自身にとっての成果でもあると考えている。トルコ国防省が防衛産業分野で協力している80の国々の中でも、パキスタンは特別な地位を占める。他分野における関係も我々が期待するレベルにまで引き上げ、地域と世界の模範的な連帯を示し続けるつもりだ。
本日は、トルコ海軍司令部の需要に伴い建造される10隻の領海巡視船の第1号艦のテープカットも行った。この巡視船は、ヘリコプターとステルス無人航空機も搭載しており、21日間にわたって絶え間なく海上での任務にあたることができる。2023年5月に最初の巡視船を海軍に納品予定である。このように、トルコは陸空の要素に加え、海でも生産力と運用力の両方を増強させている。当然、容易な道のりではなかった。独立戦争後から1974年の期間は脇に置くが、直近の47年間にトルコが経験したあらゆる出来事によって、我々はこうした強力な構造を持つことを強いられた。我々は、公正発展党が国家運営を引き継いだ19年間にわたって、トルコの防衛産業のあらゆるプロジェクト、投資、あるいはあらゆる問題の解決にかかわってきた。テロとの戦いに始まり越境作戦に至るまで、我々はこれまで進んできたあらゆる段階で、公に、あるいは秘密裏に禁輸措置にさらされてきたことを知っている。しかし、それらのどれも我々を思いとどまらせることはできなかったし、我々から目標を遠ざけることもできなかった。その結果、トルコは防衛産業における外国依存率を80%から20%未満にまで減少させるに至った。この6年間、シリア、リビア、そしてナゴルノカラバフで見せてきた強力な姿勢と成果の裏には、このような多大な努力と、戦い、そして決意がある。」
■「防衛産業においてトルコは世界のトップリーグ入りする」
エルドアン大統領は、「悪い隣人は、人々を“ものの持ち主”にする(自己防衛させてしまう)」とし、以下のように続けた。
「西洋の人々が我々にあらゆる防衛産業製品を与えなかったおかげで、我々は自ら設計・製造プロセスに着手する道を進んできた。このことについて感謝している。トルコを追い詰め、無力化し、思いのままに操るために行われてきた陰湿な政策が、今日、我々をこの地位に導いてくれたことに私自身とトルコを代表して感謝する。現在実施中、あるいは4〜5年以内に完了予定のプロジェクトが実行に移されれば、トルコは防衛産業分野で世界のトップリーグの一員となるだろう。これは、トルコ共和国の建国100周年にあたる2023年に我々がこの国に贈る最高の贈り物であると信じている。
トルコは、成長し強大化するに伴って手に入れてきたあらゆる可能性を友好国や兄弟国と共有することに喜びを見出す国である。今日、ここで進水式を執り行ったアダ級コルベット「ミルゲム」のように、これから我々が手に入れるあらゆる可能性とチャンスは疑いなくパキスタンの友人たちにとっても資するものである。」
エルドアン大統領は、昨日カフラマンマラシュでの消火活動中に飛行機墜落で命を落としたロシア人とトルコ人の乗組員に哀悼の意を表し、また、カスタモヌ、バルトゥン、シノプの洪水災害で亡くなった人々にもアッラーの慈悲を祈った後、次のように述べた。「トルコ国民と、山火事との闘いを支援してくれたロシアの友人たちに哀悼の意を表する。我らの主がトルコをさらなる災害と苦しみからお守りくださいますように。」
さらにエルドアン大統領は、進水式を済ませたコルベットがパキスタンの人々にとって有益となることも願い、プロジェクト実現に貢献した人々を称えた。
■目標はトップリーグ
またエルドアン大統領は自身のSNSでも次のような声明を発表した。「パキスタンに輸出される4隻のアダ級コルベット「ミルゲム」のうち初号艦の進水式を行った。また領海巡視船の第一号のテープカットも行った。我々が2023年にトルコに贈ることのできる最大の贈り物のひとつは、防衛産業で世界のトップリーグに上がることだ。」
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:51480 )