ドル下落、3つの要因
2021年12月25日付 Cumhuriyet 紙

エルドアン大統領の経済に関する発言をうけ、トルコリラは対ドルで反発した。専門家がドルを下落させた要因を3つ挙げた。

公正発展党(AKP)のレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領の発言に対する反響が続いている。エルドアン大統領は、リラ安に起因する貯蓄に対する国民の不安を払拭するため「新たな金融政策案を準備中だ」と語り、リラ建て預金口座の金利が外国為替相場の上昇率を下回った場合、差額を国民に補填すると述べた。

エルドアン大統領の発言をうけ、リラ・ドル相場は最高値の1ドル=18.40リラから上昇しリラ高・ドル安が進み、1ドル=10.25~14.38リラの間を推移した。

ソズジュ紙上でドル下落を分析した専門家は要因を3つ挙げた。

1. 政府の非公開介入
ルレッディン・ネバティ国庫・財務大臣は、当初否定したものの中銀と国庫・財務省による為替相場介入を秘密裏に承認していた。

エコノミストのハルク・ビュルムジェクチ氏がソズジュ紙に公開したデータによると、12月20日から23日の4日間でトルコ中銀による為替介入の規模は合計90億ドルに上った。

この4日間の中銀によるリラ買い・ドル売り介入の規模は、初めの2日間で55億ドル、3日目に31億ドル、4日目におよそ4億ドルに上った。

これも影響して、12月の営業日23日間で中銀のリラ買い・ドル売りは合計180億ドルを記録した。

中銀の大規模なリラ買い・ドル売り介入は、ドル反落の最大の要因だ。

2. 預金による為替の保護
中銀は高進するインフレにもかかわらず金利の引き下げを行い、資金の流動性を高めてリラ離れを招いた。政府はリラ離れを食い止めるため、リスクある行動をとった。

為替相場安定化を目的とした介入とともに、国庫・財務省は、リラ相場の下落率が預金金利を上回った場合、差額を支払うことを決めた。

また中銀は、外貨建て預金をリラ建て預金に呼び戻すことを目的として同様の介入策を行った。

専門家は、この介入策が大きな財政赤字を生むリスクを抱えており、インフレをより高める可能性があり、将来的に低所得者から高所得者への富の移動を招くと警告する。他方、短期間ではこの通貨防衛策がリラから外貨への逃避を食い止める可能性があると指摘した。

一方、銀行整備監査院(BDDK)は、12月20日と21日の2日間に依然としてドル高が続いたことを明かしたが、以降のデータはまだ公開されていない。

エルドアン大統領は24日、この通貨防衛策に関し「介入策の発表以降、リラ建て預金は今日15時現在で238億リラを超え、加速度的に増えている」と述べた。

3. 貸付金利の急上昇
中銀はここ3か月で政策金利を計500ベーシスポイント(5%)引き下げ14%としたものの、法人向け貸付金利など他のローンの金利は低下しなかった。

むしろ、貸付金利は今週急上昇した。法人向けと個人向けの貸付金利は30%まで上昇、一部銀行では40%に達した。リラ建て預金金利は今週3~4ポイント上昇した。

銀行関係者は、低い政策金利が強いドル買い圧力とリラの流動性低下を招く中、銀行が年度末を前に収支改善を目的としてリラの金利引き上げ競争を行い、これをうけ投資コストが上昇したため、貸付金利の上昇圧力がかかったと語る。

1月と2月の消費者物価指数の上昇率は30%に達するとみられ、自己資本比率悪化に対する防止措置が銀行の預金金利上昇を促した側面もある。

貸付金利と預金金利の急上昇もまた、リラ高・ドル安の要因になった。

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( 翻訳者:麻生充仁 )
( 記事ID:52041 )