ギュル法相、辞任、次へ誰?-終わりなき閣僚争い
2022年01月30日付 Cumhuriyet 紙


法相を解任されたアブドゥルハミト・ギュル氏の後任に、大統領官邸の判断に基づきベキル・ボズダー氏が収まった。公正発展党(AKP)内では、さらに4人が「解任されそう」だと囁かれている。

アブドゥルハミト・ギュル氏の解任であわただしくなったAKP内部では、この展開を「すでにわかっていたこと」とみなしている。法務省周辺では、最近、「ハキョル氏とメンズィルジ氏の名が取りざたされていて、ギュル法相もこのことに何も言わなかった」と囁かれており、ギュル法相による「司法というのは力で抑え込むことのできる権威ではない」とした発言に、レジェップ・タイイプ・エルドアン大統領と(連立する)民族主義者行動党(MHP)のデヴレト・バフチェリ党首が「満足していない」ということが明らかにされている。

■「クルトゥルムシュ派閥のうちの一人」

AKP内では、ギュル氏の解任により「党内では副党首であるビナリ・ユルドゥルム議員の派閥が力を得た。一方、ヌマン・クルトゥルムシュ議員と彼の派閥は弱体化した」とみなされている。宗教政治運動ミッリー・ギョルシュ(国民の視座運動)の伝統を受け継ぐギュル氏は、長年、福祉党、美徳党に加わっていた。しかし、至福党の後、国民の声党を設立したクルトゥルムシュ氏側についたギュル氏は、クルトゥルムシュ氏と共に再びAKPに加わった。 AKP内で、「クルトゥルムシュの影響力によって」中央執行委員会(MKYK)メンバー等の重要なポジションを引き受けてきたギュル氏は、その後、法務大臣となった。ギュル氏解任を受けて、AKP内では、「エルドアン大統領は、党内で彼の側近ビナリ・ユルドゥルム側についた」とも囁かれている。エルドアン大統領とユルドゥルム議員の親密さを表す例として、「アフメト・ダウトオール首相の解任劇」が挙げられる。当時、エルドアン大統領はダウトオールの後任首相にユルドゥルムを推しており、「彼は始めから今までユルドゥルムと彼の派閥を特別視していた」と述べられている。

■「HSK選挙で緊張高まった」

また、AKP内では、ギュル氏とMHPの間に吹くすきま風は、「トルコ大国民議会(TBMM)での裁判官・検察官評議会(HSK)の(評議員)選出で明るみに出た」とも言われている。同選出では、AKPとMHPはまず、「MHPに2議席を配分する」ことで合意に達したが、その後、野党との会談を経て、MHPは「1議席」となった。当時、MHPからはハミット・コジャベイ氏がHSKメンバーに選出されたが、後にバフチェリ党首からの要請に基づき、コジャベイ氏は議席を辞退した。バフチェリ党首はその後、コジャベイ氏を党内の「法律顧問」に任命しているものの、HSK議席の欠員補充はMHPからは誰も指名されなかった。AKP内では、コジャベイ氏に党内の役職を割り当てたのも「法務大臣職へのメッセージ」なのではないかと解釈された。

■「非常事態宣言再延長に反対した」

AKP内では、スレイマン・ソイル内務大臣とギュル法務大臣との「緊張」が長らく指摘されてきた 一方、ギュル氏辞任には、「エルドアン大統領が望んだ政策実行への反対姿勢が影響している」とも言われる。 一例として、2021年7月の、非常事態宣言を3年間さらに延長にすることに関する議論が示されている。再延長に対してギュル法務大臣とクルトゥルムシュ議員らは反対、スレイマン・ソイル内務大臣は賛成した」とされる。

閣内ではギュル法相が「宣言延長を望まない」意向をエルドアン大統領に伝えていたことも注目されている。一方、ソイル内務大臣はギュル法務大臣に対し、「宣言はテロとの戦いにとって重要」とし、エルドアン大統領とも面会して「行動を起こした」と言われている。

■「エルヴァン元法相のように受け身」

AKPは、「(ギュル氏に関連する)大臣職の経過は、元財務大臣リュトフィ・エルヴァンの時の様子に似ていると見ている」。与党では以前にも、「ギュル氏は、AKP政権の中で今日に至るまで最も「受動的」に任務を遂行した法務大臣であり、エルドアン大統領はこの状況に立腹している」と述べられてきた。一方、ギュル氏の「司法の場ではまだ影響力があるとみなされ、しばしばマスコミでも取り沙汰される『FETO(ギュレン派)』の裁判官や検察官に関して必要な措置が講じられなかったし、また措置が遅れた」といった主張も議論されていた。

■省内で引継ぎ式

法務省内で引継ぎ式が行われた。後任ベキル・ボズダー新法相は、「我々を導くものは法となる。憲法に忠誠を誓い、法律に従って職務を果たす」と述べた。一方、前任のギュル元法相は、4年半前に自分がボズダー大臣から引き継いだ仕事を再び同氏に引き渡すことになったと述べた。式では、任務を引き渡したギュル氏の笑顔と、大臣席に座ったボズダー新大臣の真剣な姿勢がカメラにとらえられた。

■次に肩を叩かれるのはこの大臣

ギュル氏退任に伴い、再び視線は内閣改造に向けられる。エルドアン大統領は、「いっきに組閣を入れ替えるのではなく、リュトフィ・エルヴァン元財務大臣やギュル元法務大臣を更迭したように、徐々に組閣を変えていく」とも述べられている。ギュル氏に続き、メブリュト・チャヴシュオール外務大臣、メフメト・ヌーリ・エルソイ文化観光大臣、ファーレッティン・コジャ保健大臣、ベキル・パクデミルリ農林大臣も「解任される」と言われている。この中で最も衝撃的なのはチャヴシュオール外務大臣とされる。AKP間では、大統領官邸のイブラヒム・カルン報道官が「チャヴシュオールの後釜になる可能性がある」と主張されており、さらに、エルドアン大統領はベキル・パクデミルリ農林大臣に対して、山火事騒動時のトルコ航空協会の航空機に関する議論で「受け身であり続けた」という理由で「立腹していた」と言われている。 

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:52351 )