クルド系新政党誕生へ
2022年03月09日付 Cumhuriyet 紙
クルド系の政治運動に新たな政党が加わる。「新たな始まり」を掲げて会合を続ける準備委員会は、「姿勢表明書」を発表した。この件について説明を行ったラマザン・トゥンジェル弁護士は、「他の政党の延長でもなければ代表組織でもありません」と述べた。
最高裁判所共和国首席検事府のデータによれば、トルコには123の政党が存在する。このうち、結党手続きを終え正式に登録された政党の中で最も新しいものが「決起党(Şahlanış Partisi)」だ。決起党をはじめ、これから次々に結党される諸新党が、来たる選挙でどのような活躍を見せるのかは未知数である一方で、クルド系の票を狙って結成されるこの新党は注目を集めている。
インディペンデント・トルコ紙のアブデュルハーキム・ギュナイデュン記者の記事によれば、トルコで人民の民主主義党(HDP)と共闘する約10党の政党に、新たにもう一つの政党が加わる。新たな旗揚げに加わったのは、司法関係者や経営者、建築家、医師、エンジニアなどを含むグループだ。
■姿勢発表文書を公開
これまでひっそりと会合を行っていた政治家候補たちは、今日からは「クルド政治における新たな模索」を掲げて会合を続ける。
「新たな始まり(トルコ語:Yeni Başlangıç;クルド語:Destpêka Nû)」と名付けられたチームには、ラマザン・トゥンジェル氏、シェヒムス・ウレキ氏、マフムト・コユンジュ氏ら弁護士や、建築家のエネス・アティッラ・パイ氏らなどが名を連ねる。
政党としての名称はまだ決定していないものの、近い将来の結党に向けて姿勢表明を行った。結党準備委員会が署名した「姿勢表明書」では政治組織の必要性について述べられた。
トルコにおいて社会的な平和や発展、自由に対する脅威となっている根本的な問題は、独裁的かつ否定的で、同化政策を行う現行憲法にあるとする姿勢表明書は、「この憲法の精神は、クルドの民に対し反民主的な政策が行われている原因となっている」としている。
■「他の政党の延長でもなければ代表組織でもない」
「この構造は、クルド人およびその他の人民の基本的な国民としての要求を否定し拒否し、無視している」とする姿勢表明書は以下のように続ける。
「〔権利〕要求や問題を常に後回しにし、後回しにすればするほど問題はより深刻化している。深刻化した問題に対する批判は時に暴力によって押さえつけられ、その暴力はそれに対する新たな暴力を生み、腐りきった非生産的な循環を生み出している。そのためトルコにおける問題解決は、トルコ性を基礎に置いた現行憲法構造の改革、全社会的コミュニティが構成員となりうる、可能な限り最も裾野の広い新たな社会的契約(すなわち憲法)を構築することによって可能になる。トルコ政治において、この必要不可欠でクリティカルな必要性を明確に表明し、パラダイムを批判し、社会に希望を生み出す政党は残念ながら存在していない。政策においてクルド人および彼らの問題を焦点化する政治運動も、現在のところ実践においてクルド民族の深刻化し続ける問題に対し解決をもたらすには不十分であると言わざるを得ない。」
あらゆる暴力を拒否し、あらゆる後ろ盾を認めないことを強調する姿勢表明書は、「我々は、かつて存在した、もしくは現在存在する運動、イデオロギー、政治組織からは一切独立したものであり、それらを代表するものでもない。我々がタブーや静態的な思想、一切の抑圧的なイデオロギーを拒否しているように、私たちは変化に開かれた参加型の民主運動となる。市民的で民主的な基盤に立ち、暴力から離れ、透明で開かれた、理解可能な新たな政治的言語を人々に開いていく」と述べた。
■「目標を達成できてこなかった」
新たな政党のため集まったグループは、政党の目的を21の項目で説明した。この運動に参加したラマザン・トゥンジェル氏は、新党に関して以下のように説明した。
クルド系の支持者層が新たな道を模索していること、これが新党の結成を避けられないものとしたと述べるトゥンジェル氏は以下のように述べた。「クルド運動においてここ数年間続いているこの状態から脱しようという模索の動きが、異なる人々およびグループの間であるということが世論に反映しました。しかしこれらの多くは何ら成果を達成することができないまま活動を終えざるを得ませんでした。唯一、政治のアリーナにおいて真剣かつ粘り強く続いているのは、現在のところ"Destpêka Nû"の名のもとに行っている組織の活動のみです。」
■「2022年9月に公式の申請を行う予定」
トゥンジェル氏は以下のように続けた。「本組織は、2020年7月にディヤルバクルで行った2日間のワークショップで、20項目に渡る議題について議論を行いました。『クルド政治において何が行われるべきか』という問いに答えを出すことを目指しました。長い議論の結果、クルド政治におけるブレイクスルーは;全クルド人が心の安寧とともに、最低限の共通・基本要求に加わり内面化することができる;一切の後ろ盾ないし違法行為から距離を取り;一切の宗教政治を行うことなく;しかし個々人の思想や私生活に対し敬意を払い;市民的で民主的、かつ国民的という線を中心に置く;クルド系の政党によって可能になるという結論が出されました。」
ラマザン・トゥンジェル氏は、遅くとも一か月以内に公式な形で結党について公表するとしたうえで、6月に行う各地方会議とともに、2022年9月には党としての正式な〔結党〕申請を行うことを目指していると付け加えた。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:今城尚彦 )
( 記事ID:52869 )