政府の「食肉安価」政策、それでも食肉価格上昇
2022年04月10日付 Cumhuriyet 紙
トルコ政府が「食肉安価」のために設ける「畜肉・乳製品協会への家畜供給者への2500トルコリラ(約21,750円)支援」の計算式が生産者に適用されると、生産者の損失が1キロあたり27.14TL(約236円)となる。
一昨日の共和人民党(CHP)ケマル・クルチダルオール党首の来訪を受け入れなかった畜肉・乳製品協会(ESK)は、組織の設立趣旨にそぐわぬ政策をとっている。ESKの組織設立趣旨には「政府の一般的な畜産政策の枠組みの中で、畜産業界への規制と支援の役割を果たすこと、市場経済原理においてあらゆる競争条件の確立に貢献すること、公益に資する活動を行うこと」という項目が挙げられている。
しかし、トルコ大国民議会(TBMM)農林農村委員会メンバーであるCHPベキル・バシェヴィルゲン議員は、この組織は法律・条例に基づき割り当てられた義務と責任から大きく逸脱していると述べた。さらに、ESKがしていることは、「家畜の輸入を仲介し、国内の家畜飼育者が苦境にあるときに他国の生産者から肉を輸入し、さらに誰かを喜ばせようとしてよその国から1万トンもの食肉を購入する地点にまでになっている」として、生産者側の立場から遠ざかっていると明らかにした。
■「肉は減り、パスタ類が増えた」
バシェヴィルゲン議員は、一人当たりの赤身肉の消費量が2019年の平均12キログラムから2021年では7キログラムに減少していることにも言及し、その一方でパスタ類の消費量が年あたり20パーセント増加したと述べた。
■「1ヶ月分にしかならない」
バシェヴィルゲン議員はさらに、今回の支援の枠組みでESKが買い上げを約束した10万頭の家畜は約3万トンの食肉に相当すると指摘し、この量はトルコ全国の一カ月分の消費を満たすものでしかないと述べた。 同議員は支援量がまったく十分ではないと述べ、(これにより)酪農家がどのような被害を受けるかを次のように説明した。いわく、「300キロ相当の家畜にかかる(生産)コストは最低でも2万5千リラ(約217,500円)。つまりキロ当たり83リラ(約722円)になる。
一方、ESKによる子牛の屠殺(買取価格)はキロあたり60リラ(約522円)、民間の食肉コンビナートの場合は87.14リラ(約758円)で、差はおよそ27リラ(約235円)。たとえば、生産者のもとに300キロになる子牛がおり、これをESKで屠殺するとする。すると、これによる(生産者側の)損失は8142リラ(約70,835円)になる。ESKはさらに1頭あたり2500リラ(約21,750円)の支援を開始したが、この支援によって生産者にもたらされる利益は、300キロの家畜ではキロあたり8.3リラ(約72円)。この場合も民間の食肉コンビナートと比較すると差額は18.7リラ(約162円)になる。生産者が子牛をESKに売った場合、支援があったとしても約5300リラ(約46,000円)の損失が出る。あなたならこんなチャート(計算式)で自分の家畜をESKに売りますか? ESKは、生産者は何も知らないとおもっている。農家は損失を出さないよう家畜を民間業者に販売し続ける。そして食肉価格の上昇も加速される」
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:53252 )