イラク:「ローザンヌ条約失効」神話は本当か?(3)
2022年06月19日付 al-Quds al-Arabi 紙


■イラクとローザンヌ条約失効の神話

【トルコ:本紙】

それはトルコが行ったシリア・イラク・リビアへの介入の兆候によっても明らかであるように、侵略を介して行われるものとされる。これは現実に起こっている複数の事象に依拠しているとはいえ、実際は、それが陰謀論の流布というかたちにすぎないものだったとしても、メディアを通じた一種の(大衆)動員戦争ないし危険性の誇張にあたる。第2のグループは、オスマン帝国のスルタンにも増して、オスマン主義への熱意と傾倒を抱くようになったアラブ・イスラーム主義の潮流のいくつかである。彼らはカリフ制の再来を夢見ている。彼らはそのことを曇りもなく主張するだけでなく、アタテュルクがつくった共和国の世俗性を攻撃し、近代トルコの建設者たちこそがイスラーム後退の原因であると非難することに勤しむ。そのために「ローザンヌ条約失効」説を広め、来たる新オスマンの時代を告げているのだ。

しかし出来事の経緯をよく見てみると、実際に起きたことは陰謀論者たちが流布する内容や、彼らが「ローザンヌ条約」に結びつける否定的な性質とは全く異なるということが分かる。オスマン帝国は第一次世界大戦を敗戦という結果で終え、その状況は同戦争における同盟国、ドイツ帝国およびオーストリア・ハンガリー帝国と同じであった。これらの敗戦した3帝国は連合国軍からの占領を受け、分解し、勝者らによって山分けにされた。

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( 翻訳者:吉岡珠実 )
( 記事ID:53841 )