シリア:コレラの感染が数千人規模に拡大
2022年10月03日付 al-Quds al-Arabi 紙
■シリアで数千人がコレラに感染
■保健当局はコントロール不能となり地域がコレラの温床になっていると警告
【ダマスカス:本紙】
シリアの保健当局が一部の県でコレラの流行をコントロールできなくなっているとみられる中、シリア全土のコレラ感染者数は9000人にせまっている。これは、一般住民の間での流行を防ぐために必要な措置が取られなかった結果として、ここ最近感染者数が増加する状態となったためだ。
シリアの保健省は迅速試験によって524人の感染が確認されたと発表した。アレッポ県が最も多く、感染者は346人に達した。それに続くのは、デリゾール県、ハサカ県、ラッカ県、ラタキア県で20人の感染が確認された。一方で、政府の支配地域全体の累計死者数は36人で、そのうちの31人がアレッポ県で、残りがデリゾール県とハサカ県となっている。
一方、感染症早期警戒対応ネットワーク(EWARN)は、シリア北西部での297人に加えて、北東部でも6553人の感染が疑われる患者がいると発表した。
また、シリア北西部の保健当局は、今月10月1日までに297人の感染が疑われる患者のうち24人の感染が確定したと報告した。なお、そのうち8人以上が国内避難民(IDP)キャンプ内での感染が確定したという。
(反体制派NGOの)「シリア対応調整者」は、この地域がコントロール困難な大規模感染の温床となることへの懸念を表明し、展開しているIDPキャンプ内では更なる感染が報告されていると明らかにした。特に大半のIDPキャンプは、水をはじめとする基本的な生活必需品の不足に苦しんでおり、全体の63%で下水が野ざらしであるのに加え、清潔な水が手に入らず苦しんでいるIDPキャンプの数が624か所にまで増加しているという。
さらに同NGOは、シリア北西部にある保健当局に対してコレラの流行に関する情報の透明性を確保し続けるよう促した。透明性の確保は、「この地域で感染を食い止める機会を増やすことになり、また、国際社会が反応する速さや、ドナー国がこの危機を察知してコレラ対策に必要な支援提供の必要性を感じることに影響する」と考えているからだ。
そして同NGOは、人道支援物資の搬入を1つのチェックポイントに限定し、アレッポ北部の安全なチェックポイントを閉鎖するという、シリア北西部における人道支援活動に課されている制限に改めて反対した。感染確定者の分布がより一層広がるのではないかという大きな懸念と共に、シリア北西部でのコロナ感染報告がもたらす更なる圧力の中で、このような制限は「地域の医療事情への悪影響を及ぼしており」、地域の医療の質を大きく低下させると警告した。
(後略)
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( 翻訳者:国際メディア情報センター )
( 記事ID:54167 )