エジプト:『マムルークたちのカイロ』…マムルーク朝時代の建築を振り返る(2)
2023年01月24日付 Al-Ahram 紙
■『マムルークたちのカイロ』…マムルーク朝時代の芸術的遺産を追う旅:ブックフェア特集
【ムスタファー・ターヒル】
さらに同氏は、ニザール・サイヤード博士やアラー・ハバシー博士といった建築家の巨匠、またハンガリーのオリエンタリストであるステファン・オロモス氏が著した文献にも立ち返った。ザキー氏は、アラブの読者たちはいまだ、「マムルーク朝の体制がその終焉を迎えたのちに、同朝が保った建築や芸術の長期的かつ重大な影響力について認識していない」とみている。またその影響は、「我々が今日知るカイロという都市の視覚的アイデンティティを形成し、エジプト人の精神性の一端を形成するうえで主要な役割を果たした」ものだという。
つまり、古代エジプト時代が終わった後のエジプトの統治体制が与えた影響は、マムルーク朝が与えたそれほどは大きくない。エジプトにおけるマムルーク朝の歴史は非常に長く、その統治は13世紀に始まったわけではない。むしろマムルークたちとエジプトの関係性はより古い時代にまでさかのぼり、エジプトを最初に統治したマムルークのうちの一人がトルコ系のアフマド・ブン・トゥールーンである。彼はアッバース朝のカリフによってエジプトに遣わされ、その統治者となった(ヒジュラ歴270-254年、西暦883-868年)。アイユーブ朝もまた、エジプトやシャームでマムルークたちに頼ることを選んだ。
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( 翻訳者:佐々木舞香 )
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