アックユ原発、第一ユニット基本工事完成
2022年11月30日付 Hurriyet 紙


アックユ原子力共同株式会社のアナスタシア・ゾテエバ総局長は「原子力発電所の建設は予定通り順調に進んでいる。トルコの、そして全東地中海地域の安定した経済成長は、保証されたものとなった。」と話した。

アックユ原子力共同株式会社のゾテエバ総局長は、発電所建設は予定通り順調に進んでいると強調し、「トルコ共和国建国100周年を、皆一緒に誇りを持って迎えるだろう。トルコが、原子力を平和的利用する国々の仲間入りできるよう、全力を尽くしている。まさに2023年は、この場所で歴史を刻むことになるだろう。発電所の第一ユニット稼働のために、新燃料が持ち込まれる予定だ。」と述べた。

メルスィンのギュンラル郡で建設が進むアックユ原子力発電所(NGS)の進捗状況を報告するため「開かれた扉」という名のイベントが行われた。オンラインで行われたこのイベントでは、発電所の建設現場で働くトルコ出身のエンジニアが、ビデオを通じてツアーを行った。

イベントでスピーチを行ったアックユ原子力共同株式会社のゾテエバ総局長は、毎年開催しているこのイベント通じて、トルコ初となる原子力発電所の建設現場の扉を開き、進捗状況を報告していると述べた。同総局長は「今年は誰にとっても特別な年になった。我々は4基のユニットの建設を同時進行で進めている。このことには大きな誇りを持っており、皆様もこの気持ちを持ってほしいと考えている。」と話した。

■第一ユニットは完成間近

進捗状況についてゾテエバ総局長は「アックユ原子力発電所は、世界最大の原発建設現場である。最初のブロックでは、建物及び機械設備の、重要な部分の工事は完了済みである。原子炉の建物及びタービン部分の現状・外観が何であれ、アックユ原子力発電所が稼働し、電気の生産が始まった後に、ほぼ同じ構造にて完成する予定である。原子炉の建物には特殊なドームが被せられるのみで、コンクリートで固める工事が残るのみである。この工程は、近々、つまり年末までには行われる予定だ。続いて、稼働の段階が我々を待っている。近々、原子炉に注水を開始する予定だ。これは、原子力発電所建設に置いて非常に重要な段階である。つまり、発電所の主要な設備をつなぐパイプ網をコントロールするからである。」と話した。

ゾテエバ総局長は、多くの外部要因にも関わらず、原子力発電所建設が予定通り進んでいると強調し、「発電所建設は予定通り順調に進んでおり、トルコ政府、トルコの国民のみなさんに対する責任を全うしている。我々は共に手をとって働いている。発電所は現在、80%以上を占めるトルコ国籍者を含む、2万5000人以上の雇用を生み出している。ロスアトム社は、トルコに技術移転をおこなっている。国家機関の皆さまへ、ご協力に対する御礼を申し上げる。」と話した。

■2023年には稼働予定

来年2023年が重要な年になると強調したゾテエバ総局長は、「トルコ共和国建国100周年を、皆一緒に誇りを持って迎えるだろう。トルコが、原子力を平和的利用する国々の仲間入りできるよう、全力を尽くしている。まさに2023年は、この場所で歴史を刻むことになるだろう。発電所の第一ユニット稼働のために、新燃料が持ち込まれる予定だ。」と述べた。

発電所の存在がトルコの科学技術発展とエネルギーの安定につながると述べたゾテエバ総局長は、原子力発電所が、石油や天然ガスの価格変動に左右されず、予想可能な電力価格を確保することになると話した。同総局長は、アックユ原子力発電所が発電所および他の関連分野で多くの雇用が生み出せるとし、この発電所の建設が、地元の産業にとって、需要の増加、サービス業や観光業の発展、それ以上の進展につながることになると述べた。また、「メルスィンおよびトルコ、そして全東地中海地域の安定した経済成長は、保証されたものとなった。」と述べ、スピーチを締めくくった。

■環境にはマイナスの影響は全く起こらないだろう。

オンラインイベントに参加した、アックユ原子力共同株式会社のディミトリ・ロマネツ工事部副部長も、アックユ原子力発電所の第一ユニットの建設及び組立が完工に近いとし、他のユニットで続く工事に関して最新の情報を共有した。ロマネツ副部長は、このプロジェクトに関して、イスタンブル、アンカラ、イズミル、アンタルヤ、メルスィン、スィノプ、コンヤ、エルズルムといった多くの都市からの参加者が「akkuyugunu.com」のウェブサイトを通して送ってきた質問にも回答した。

■アックユ原発は、世界で最も安全な発電所

アックユ原発が環境に及ぼす影響や、海洋生態系へのリスク、発電所付近で生産される農作物や魚類の安全性について問われたロマネツ副部長は、「アックユ原発による悪影響は一切ない。アックユ原発は世界で最も安全な発電所である。この最新の原子力発電所の建設の結果、地域の発展や、経済活動が活発になることにより、新たな住民がこの地域に引き寄せられ、地元の農産物に対する需要の増加が起き、生産者にとっては市場の拡大につながるであろう。」と語った。この点について、アックユ原子力発電所のモデルとなったノヴォヴォロネジ原子力発電所を例に挙げたロマネツ副部長は、「この原発がある場所は、50年以上も農業、畜産業、酪農、養鶏業が盛んな地域として知られている。原子力発電所が建設されるこの場所は、環境に対する安全性の面から、トルコの他地域と相違はないことになるだろう。メルスィンの生産物は、国内外の市場で自由に売買できるであろう」と話した。

■安定した、予想可能な価格

「アックユ原発によって生産された電力は高額になるのでは」という質問に対してロマネツ副部長は、「現在トルコの電力価格が18-20セントに到達するような中で、12.35セントという価格は安定的・予想可能な価格である。世界のウラン価格やその他のエネルギー原料の価格に関係なく、アックユ原発で生み出される電力は、トルコにキロワット時12.35セントの負担となる。トルコにとって、大きな利点である。なぜなら、国は、電力を使用する全分野の動きを計画できるからだ。消費者は、電気の価格が保証されていると知ることになるだろう」と回答した。

■郡知事の評価

ギュンラル、スィリフケ、アイドゥンジュク各郡の郡知事も、「開かれた扉」イベントに、ビデオメッセージで参加し、発電所建設が地域にもたらす変化について語った。

ギュンラル郡のムーサ・アイユルドゥズ郡知事は、プロジェクトがここ5年間で地域の発展に大きく影響したと述べ、「ギュンラル県だけの話になるかもしれないが、経済面でも商業面でも規模が大きくなったことは、ここ5年の中で地域に大きな利益をもたらした。また、特にブユクエジェリ地区では労働者の滞在キャンプが増えたことは、その場所の人口が増え、そこで雇用される者や自営業者たちにとっても商売の点で大きな利益をもたらした。」と話した。アイユルドゥズ郡知事は、「この原子力発電所で4基の原子炉が稼働することで、トルコで現在生産・消費されている電力の実に10%を賄うことになるのである。この点でこのプロジェクトを見ると良いものであることは、言うまでもないことだ」と続けた。

アックユ原子力発電所プロジェクトに従事する外国人技術者が主に滞在するスィリフケ郡のアブドゥッラー・アスラネル区長は、地域の社会、経済、文化、発展の点から、大きく変化があったと強調し、「現在アックユ原子力発電所で働く作業員、彼らの消費活動、彼らが利用する住宅・娯楽施設・食事といった需要に完全に対応している。そのため、社会構造、文化構造、発展状況、建設まで全てが変化した。」と話した。プロジェクトが交通から飲食業に至るまであらゆる分野で大きな雇用を生み出していると指摘したアスラネル郡知事は、「原子力発電所の建設は我々の郡と地域住民に雇用を生み出し、トルコ全土から人々が流入し、雇用されている」と評価した。

アイドゥンジュク郡のムハメト・クルチアスラン郡知事も、総じて郡の収入源は農業・ビニールハウスに依存していると述べ、ビニールハウス従事者が増えるとともに、今も日々増加が続いていると強調した。クルチアスラン郡知事は、郡の人口のおよそ半分を若年人口が占めていると指摘し、「特に若者の雇用を生み出す点において、アックユ原発は大きな原動力となる。原子力発電所の建設と共に、地域の交通網がより発展・拡大した。同時に、発電所建設に伴い県外から、そして海外からも人々が流入したことで、多くの地域でインフラ投資が行われる原動力となった。その結果、新しい建物や施設が建設された。これらもアックユ原子力発電所が、我が郡や地域に生み出した価値の一部である」と話した。

■トルコ人エンジニアを通じたオンラインツアー

イベントの一環で行われたオンラインツアーは、ロシアで教育を受けアックユ原子力共同株式会社で働く、NGS安全管理部門の技官主任オズレム・アルスラン氏と水利構造部門ポンプステーション・オペレーターのブラク・ペクシェン氏が担当した。彼らが第一、第二、第三、第四ユニットの進捗状況を示しながら共有した情報によると、プロジェクトに関係した重要な進捗は以下の通りである。「第一ユニットの第一サーキュレーションのパイプラインの組立の完工は、2022年の最も重要な出来事の一つとされている。次に重要な出来事としては、リアクターへ注水が今後行われることである。第一サーキュレーションのパイプラインの中では160気圧下で摂氏330度までの熱湯の循環が行われる。第一サーキュレーションのパイプラインの中の水は、海水と混ざることは決してない。海水は、発電所の冷却システムに利用された後、ほぼ取水時と変わらぬ状態で再び海に排出される。第一ユニットの原子炉棟のドーム自体は完成しており、原子炉棟の最上部に載せられるのを待つのみである。2022年末までには原子炉棟の上部はこのドームによって閉じられ、あとはコンクリートで固める作業が残るのみとなる。第一ユニットでは、原子炉棟の中心機械設備はほぼ準備が完了している状態にある。原子炉棟の中心設備は、『オープントップ』技術を利用して設置が進んでいる。この技術はロシア、日本、中国及び他国の原子力発電所の建設で証明されたものである。現場では、原子力燃料を保存するための建物も、完工間近である。燃料は、国際的な検査組織の徹底的な検査を通過した後に、また諸々の認可を得た後に、第一ユニットが稼働する直前にこの倉庫に格納される予定である。アックユ原子力発電所で生み出される[電力の]送電線網の建設が進む中、アックユーメルスィン間の送電網はまもなく完成する。」

「開かれた扉」イベントでは、ロシアのノヴォヴォロネジ第二原発で研修中で、アックユ原子力発電所の電気部門の技官主任のアフメト・ヤシン・オネル氏は、ビデオ接続によって参加した。同氏は、研修が3ヶ月以上続くこと、また、現在稼働中の原子力発電所で研修を受けることは、職員にとって、通常のことであると語り、「研修の中で、絶えず自身を向上させている。ここで教育を受け、経験を積むことができ、幸せである。ロシアの原子力発電所の高度な安全システムに注目してほしい。ここでは、発電所内の全部署が時計のように正確に機能しており、発電所の稼働は非常に細やかにコントロールされている」と語った。

プロジェクトの一環としてロシア国立原子力研究大学(MEPhl)で原子力分野で教育を受ける5年次のトルコの留学生とも、ビデオ通話を通して対面が行われた。トルコ人エンジニア候補であるユスフ・フルカン・タンカル氏は、ロシアでの教育に関して「MEPhlでは60を超える国々から1500名以上の外国人留学生が学んでいる。このキャンパスを含め、全学生がロシアの異なる都市にある10の分校で勉強している。この学校には強力な教育スタッフがいる。ここで我々は決して孤独ではない。ロシア、バングラデシュ、エジプト、ハンガリーといった国々の学生たちが我々を助けてくれる。」と語った。

「開かれた扉」イベントは、アックユ原子力発電所の建設現場のトルコ人、ロシア人作業者によって歌われた「人生が祭りであれば」という歌のビデオクリップ、以前にアックユ原子力発電所の建設現場を訪れたことのある子供たちの映像によって、終了した。

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( 翻訳者:章由実 )
( 記事ID:54557 )