アヤソフィアの上階歩廊部分の階段と廊下で石材が剥がされ、ラミネートフローリング材が張られているとの申立てに対して、文化観光省当局は以下の情報を発表した。「階段とスロープは損傷したり摩耗したため、保護措置がとられた。大理石の床は滑りやすいため、取り外しできる木材のカバーが使われた。」
数百年の歴史をもつアヤソフィア・モスクは文化観光省によって修復されている。この修復チームには専門家のゼイネプ・アフンバイ教授、建築家のジャン・ビナン教授、建築家のハサン・フラト・ディケル教授、イフサン・サル氏、建築家のムスタファ・エルディク教授、メフメト・セリム・オクテン土木工学博士、アスヌ・ビルバン・ヤルチュン建築工学博士、スーフィ・サアトチュ美術史学教授、建築家のアフメト・ギュレチ教授と材料の専門家であるゼイネプ・チャクル氏という9人が所属している。
■歴史的な階段は保護措置を取られた
アヤソフィアの修復活動で現れたラミネートフローリング材には19日、SNSで多くの非難があがった。この件を我々が省当局者に尋ねたところ、同省は修復チームから得た情報は以下の通りだと回答した。「件の歴史的な階段とスロープは損傷したり摩耗したため、保護措置が取られた。スロープの急傾斜部分や大理石の床が滑りやすいため訪問者の安全の観点からいかなる事故をも防止するために、実施中の修復活動で取り外しできる木製のカバーが使用された。」
■損傷を避けるために組み立てられなかった
施工過程でオリジナルの部分である大理石の床に損傷を与えないよう、上にまずマットが敷かれた。修復チームは敷かれたマットの上に木枠を圧縮する方法で固定した。固定するとき、床と壁への損傷を避けるために組み立てられてはおらず、固定の安定性を保つために滑らない特徴をもつオーク材でカバーした。
■人々が転ばないように設置した
アヤソフィア修復科学協議会のゼイネプ・アフンバイ教授は「SNSでの批判は理由もなく行われている。アヤソフィアでの階段はすり減り、蹴上(段差の高さ)が違ってしまった。そこへ訪れる人が移動時につまずいたり転んだりしないように、全て同じ蹴上の階段を作る代わりに、木製の支えを作った。つまり、そこで観光客が行き来しやすくなるように、だ。いつでも撤去できる。下にある既存の石材の建築はそのまま残っている。」と述べた。
■本来に近づけなければならない
アルトゥンバシュ大学美術デザイン学部講師で美術史専攻のフラト・アラプオール博士は「ものを本来に一番近いかたちに再現するよう尽力することが基本方針の一つであるべきだ。世界の博物館や、考古学調査で発掘された出土品がホテルや公共空間の中で保管される際、大きなプレキシガラスによって保護措置をとられているとわかる。より良い技術があれば解決できたかもしれない。」と述べた。
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( 翻訳者:伊藤梓子 )
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