ユルドゥズ宮殿、初めて公開へ
2024年07月17日付 Milliyet 紙


オスマン帝国の最後の宮殿であり、歴史上で重要な跡を残した事件の目撃者であるユルドゥズ宮殿は、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領の参加を受けて、7月19日に訪問者に開放される。「大マベイン・カスル(迎賓館)」「チット・カスル(会議場)」「小マベイン」「ハレム」を始めとする多くの建物が歴史上で初めて、訪問者に公開される。

スルタン・セリム3世の時代に建設され、スルタン・アブデュルハミド2世の時代に増築され、国の宮殿とされたユルドゥズ宮殿の修復工程に関して報道会見が行われた。

国立宮殿庁長官のヤシン・ユルドゥズ教授が会見で説明を行い、宮殿の開放がトルコの歴史的・文化的遺産の点で帯びている重要性に言及し、「我が国でオスマン帝国期から今日に遺る5つの宮殿のうち最大のものの一つが、数日間の内に国内外の訪問者に開放されることを、トルコおよび世界中に周知しています。」と述べた。

宮殿が約100年間、訪問者に対しては開放されていなかったことを強調したユルドゥズ教授は、以下の情報を明らかにした。

「ユルドゥズ宮殿は1924年以降、いくつかの国家機関の管理下で様々な任務と様々な形で使用されてきた宮殿です。このため、基本的に訪問者に対して開放されなかった宮殿です。長年、一定の箇所でいくつかの工事が行われてきましたが、おわかりのように、各機関はそれぞれ運営体制、修復方法、運用が異なっています。このため、これらの工事は統一性を持たず、一般からは身近ではなかったのです。2015年に大統領閣下の指導の下、ユルドゥズ宮殿がその時点で8つ組織に委ねられていた建物群と最初の低木区域が統合されました。次いで2018年に国立宮殿庁が大統領府管轄下の文化的遺産機関として再組織された後、この工事を国立宮殿庁が引き継ぎました。」

ユルドゥズ教授はこれがトルコにとって歴史的な転換点であると付け加え、「5年半にも渡り、ここで何百人もの人々の努力によって行われてきた修復工事のとても重要な段階を超えました。宮殿部分の修復は、かなりのところまで完了しました。」と述べた。

宮殿の入場料についても言及したユルドゥズ教授は「国立宮殿に所属する建物は開館当初は、一定期間、無料で訪問できます。現在、ここに関する入場料を定めていません。しかし、国民にとっては、実際に常時ミュージアムカードが使用できます。国立宮殿に所属する建物はミュージアムカードで見学できます。このため、私たちはすべての訪問者を歓迎します。」と述べた。

ユルドゥズ教授は2022年から今まで、国立宮殿科学委員会の主導の下、修復作業が続けられているエディルネ宮殿もこの先訪問者に開放されると述べた。

説明のあと、報道陣に公開予定場所が紹介された。

◾️宮殿の多くの部分が史上初、一般公開される

エルドアン大統領の参加の下、7月19日に開館するユルドゥズ宮殿は7月20日より、一般訪問客を受け入れる。

長年、続けられてきた修復、保存、景観作業が完了したユルドゥズ宮殿において「大マベイン・カスル」「チット・カスル」「小マベイン」「ハレム」を始めとする多くの建物が歴史上で初めて、訪問者に開放される。

オスマン帝国期に、外国からの要人がもてなしを受けたマベイン区域は最近まで、大統領府のレセプションにおいて使用されていた。

史上「ハミド庭園」と命名され、植物の多様性、自然の川のような趣をもつ水路、景観デザインで印象的な庭園も、公開後に見学可能となる。

◾️ユルドゥズアルバムから選択された写真と写本作品が展示

初めて一般に開放される建物の中には、「レモン庭園」「ハマム」「セリム3世の泉水」「アダ亭」そして「ガラス亭」がある。

アブドゥルハミド2世の生涯、人柄、リーダーシップに光を当てる作品、彼と関係し、ヨーロッパと中東で最大規模を誇る図書館と工作作業場のほか、ユルドゥズ・アルバムから選ばれた写真も、歴史と芸術の愛好家たちに初めて公開される。

図書館部門では、軍事、地理、哲学、スパイ小説、天文学、植物学、動物学に至るまで、数千点もの貴重な作品が公開された。

初めて公開される写本作品には、「ムヒッビー」というペンネームで詩を著した君主スレイマン1世の詩作集、マトラクチュ・ナスフがスレイマン1世のイラク遠征について書いた本、キャーティブ・チェレビの「世界の鏡(Cihannüma)」、そして著名な書家による聖典クルアーンなどがある。

◾️ユルドゥズ宮殿の歴史

ユルドゥズ宮殿の複合施設はオスマン帝国の最後の宮殿として重要である。

原型をアブドゥルハミド2世の治世に建設されたものとする宮殿は、33年間もの間、帝国の行政の中心であり、スルタンとその家族の居所として使用された。

亭、行政・保安施設と公園から構成されているユルドゥズ宮殿は、アブドゥルハミド2世が1909年に退位させられたことにより重要性が低下した。

オスマン帝国の最後の君主であるメフメト6世の治世において一定期間使用されたこの宮殿は、1922年にスルタン制が廃止されることで宮殿の門戸は外の世界からは閉ざされた。

◾️2018年に国立宮殿に移管

ユルドゥズ宮殿は1924年に軍士官学校に割り当てられ、1946年以降は長年、「トルコ軍士官学校」として使用された。1978年に文化省の管轄下で業務を行ったこの宮殿は、2015年に大統領府の管轄となった。2018年に国立宮殿に移管されたこの宮殿は同年に修復作業が開始された。

ベシクタシュ地区のユルドゥズの丘約50万㎢ものの敷地に作られたユルドゥズ宮殿は、月曜日以外、毎日一般に開放される。

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( 翻訳者:伊藤颯汰 )
( 記事ID:58378 )