自治体への管財人任命の成績は?
2024年11月04日付 Medyescope 紙
トルコの管財人の通信簿は膨らんでいる...。共和人民党所属の市長が市政を握るエセンユルト区に続き、人民の平等と民主(DEM)党市政のマルディン広域市、バトマン市、ハルフェティ市に管財人が任命された。自治体首長達が解任された。さて、自治体への管財人の任命はいつから始まったのか。詳細はここで。
管財人の任命は、自治体首長が解任され後任に中央政府によって任命された行政管理者が任命される過程である。
■1980年クーデター後の管財人の任命
2016年の非常事態特別政令(KHK)によって法制化された管財人制度の運用の歴史は1980年クーデターまで遡る。クーデター後は、他の公的機関・組織とともに自治体にも管財人の任命があった。内務省は、多くの自治体首長を政治的な理由によって解任し管財人を任命した(注)。
■2016年のクーデター未遂以降適用が拡大
管財人政策は、2016年7月15日クーデター未遂後に出された戒厳令法(OHAL)の過程で急速に広まった。
管財人の任命に基づく条文が追加された日付は2016年9月1日である。7月15日クーデター未遂の1ヶ月半後に第674号法の第38条に基づき5393号地方自治法第45条にテロ対策の範疇で次のような追加が行われた。
「自治体首長あるいは首長代理、議員が、テロ行為あるいはテロ組織への支援、共犯を理由に離職あるいは逮捕、停職、資格停止とされた場合に、第46条にある公職者によって自治体首長あるいは首長代理、議員の職は代行される。」
この時期に、特に、市長が人民の民主主義党(HDP)所属の自治体に対して管財人の任命が広範囲に適用され始めた。戒厳令法の範疇で取るべき対策に関する非常事態特別政令よって、「テロとのつながり」があるとの訴えで一部の自治体市長は解任された。後任に管財人が任命された。
ディヤルバクル広域市スル区とシルヴァン区は初めて管財人が任命された区である。非常事態特別政令の施行によって2016年9月11日にはバトマン市とハッキャーリ市の他28の自治体で選出された市長ではなく管財人が首長を務めている。
2021年では市長が人民の民主主義党所属の3広域市、5県自治体、33区、7町の合計48自治体で管財人が首長を務めている。
◾️3月31日の統一地方選挙後の状況
トルコは2024年3月31日に新たな転換期に入った。与党である公正発展党(AKP)は、22年間18回の選挙を経て初めて第二党となった。AKPの指導者レジェプ・タイイプ・エルドアン氏は選挙の晩にスピーチを行った。同氏はその中で国民が伝えたメッセージを受け止め、結果を尊重すると述べた。
しかし4月2日にはヴァン広域都市で当選証書問題が生じた。県選挙委員会は首長の当選証書を勝利したアブドゥッラー・ゼイダン氏に渡さなかった。異議申し立てと市で生じた抗議運動の後にゼイダン氏は当選証書を受け取った。
6月には内務省はハッキャーリ自治体に管財人を任じた。選挙で選ばれたメフメト・スドゥック・アクシュ氏は逮捕され刑務所に向かった。
こうした実施は、10月31日にイスタンブルのエセンユルト区に管財人が任じられることで続いた。
他方で11月4日には、今度はマルディン、バトマン、ハルフェティ自治体が標的となった。
内務省は、[現マルディン市長の]アフメト・テュルク氏を、2016年、2019年、2024年と三度解任している。
さらに同省はヴァン及びディヤルバクル両広域都市に関して、今日までそれぞれ二度管財人を任じている。
◾️管財人政策に反発
管財人政策は民主主義及び地方自治の観点から広範な批判を受けた。批判は、特に選出された自治体首長達が市民の意思により任に就いたのに、管財人の任命がこの意思への干渉と見られるという点に集約される。
欧州評議会は欧州地方自治憲章に反しているとトルコに警告した。欧州人権裁判所はこの政策が民主的な代議権を毀損しているとの見解を伝えた。
管財人政策の法的局面も議論となっている。トルコで自治体に管財人を任ずることを認める法改正は、非常事態特別政令や自治体法の枠組みの中で実現した。しかしこうした法改正が、市民の意思を代弁する地方行政者が中央政府によって解任されるという意味を帯びているという理由で批判を受けている。
(注)県・郡知事は選挙による公選ではなく、中央による任命である。
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( 翻訳者:新井慧 )
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