アメリカ軍、シリアから撤退へ
2025年04月18日付 Hurriyet 紙


米国のニューヨーク・タイムズ紙(NYT)はシリアの米軍が撤退を開始したと報じ、SNSに投稿された動画にはデリゾール県のコニコ・ガス田に駐留する米軍がハサカ県に撤退する様子が映っている。米国の動きはイスラエル情勢に対して爆弾のように影響を与えている。イスラエルのメディアは、あらゆる圧力にも関わらず政府がこの決定を防げなかったと報じた。

米国のニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、米軍がシリア北部の8つの軍事基地のうち3つを閉鎖し数百人の兵力の撤退を開始したと報じた。同紙が軍の高官2名を取材した情報によると、米国はシリアにおける兵力を削減している。

■NYT「2000人の兵力を1400人に削減」

同紙の報道によると、米国がシリア北東部に置いている8つの軍事基地のうち3つを閉鎖する計画の中で、数百人の兵力の撤退を開始した。これにより、シリアに駐留する米軍の兵力は2000人から1400人に削減されたということだ。

閉鎖された基地の中には、イェシルキョイ支援基地、M.S.Sユーフラテス、その他の小さな基地の名前が挙がっており、軍の高官は60日後に追加の削減を行うかどうかを評価すると言っている。

米国AP通信の取材に応じた軍高官は、米国がシリアから600人の兵力を撤退させ、ISとの戦いのためにこの地域に1000人以下の兵力が残ると話した。

■最初の動画

SNS上で拡散されている動画では、デリゾール県のコニコ・ガス田に駐留する米軍がハサカ県に撤退する様子が映っている。

米軍がデリゾール・ラッカ両県の軍事基地から人員や武器を引き揚げており、それらをハサカ県に移すという話が囁かれている。

■イスラエルの圧力にも関わらず兵力を撤退

米国がシリアから兵力を撤退させるというニュースは、今日のイスラエルの報道における最も重要な話題の1つとなった。

イェディオト・アハロノト紙はこの日のニュースで、イスラエルがこの動きを止めるために圧力をかけたにもかかわらず米軍が撤退したと報じ「イスラエル政府はこの動きに反対し、これを防ぐためにあらゆる試みを実施した。しかし最近、これらの試みが失敗に終わったと言うことがわかった。この後退にもかかわらず、イスラエルの防衛当局は米国に圧力をかけ続けている。撤退の見直しや制限に向けた努力は続いている」と報じた。

Ynetもイスラエルによるこれらの圧力が失敗に終わったと報じた。

「イスラエルはトルコとの間で緊張が激化することを恐れ、現在に至るまでこの動きを阻止しようとしていたが、努力は失敗に終わった事がわかった。イスラエルは米国に対する圧力を継続し、トランプ氏はこのことに関する疑念を口にしている」

■8か条の要求リスト

米国のワシントン・ポスト紙は、ドナルド・トランプ政権による同地域へのアプローチは狭い視野に限定されていると記した。同紙の取材に応えた政府高官は、米国政府が最優先する目的はシリアでまず米国の国益に繋がる進捗であり、この文脈で特にイラン・ロシアの考えられる影響を最小化する政策を実施していると述べた。トランプ氏はこれまでの発言ではシリアへの関心を示しておらず、米国によるシリア新政権への支援も先月アフマド・シャラア政権に対して示した8か条の要求リストに繋がるものだと報じた。

■「優先事項は米国の国益」

ワシントン・ポスト紙の取材に答えた米国政府高官は、政府の目的は「シリア国民を救うことではなく」米国の国益に向け「イランがシリアに再び影響を及ぼさないこと、ISの復活を阻止すること」が狙いだと述べた。同氏はシャラア政権が「アウトサイダーのイスラム原理主義者の軍人であり、アル・カイダとの繋がりが完全にないと証明されるまで、また少数派を包摂することを示すまでは」米国はシリアへの接近に慎重な姿勢を続けるだろうと述べ、また同紙の取材に応じた別の情報筋も同様に、米国からシリア政府への要求があると述べた。

この要求によると、米国の高官が先月シリアのハサン・シャイバーニー外相に対し、ブリュッセルの国際会議の合間に8か条の安全保障施策リストを提出した。同紙は、米国の対シリア制裁の撤回を評価するための前提条件として出されたリストの条項の1つとして、米国のシリア領内における対テロ作戦の許可があったと報じた。他に特筆すべき条項としては、シリア政権がシリア領内における「全てのパレスチナ人武装勢力と政治活動の禁止を通知する公式発表の実施」「イスラエルの懸念の鎮静化」のためにこれらの団体のメンバーを国外退去させる要求があった。

■2月にも議論の俎上に

米国は昨年末にも、地域におけるISの脅威と、イランが支援している武装勢力による米軍基地への攻撃を理由として、シリアにおける米軍駐留を2000人規模に増強したと発表している。

一方でNBCは、2月初頭に米国国防省の高官2名を取材し、トランプ政権の政策により、国防省が30日、60日、もしくは90日以内に米軍のシリアからの撤退を完了させるための計画の準備を開始したと報じた。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:神谷亮平 )
( 記事ID:59983 )