■「支援戦線」後のレバノン…抑止の計算と全面衝突の間で揺れる足場
【ダマスカス:本紙】
レバノンのヒズブッラーはこれまで、イスラエルとのいかなる対決においても、「計算された抑止」の論理と、より広い対決へ滑り落ちる斜面とのあいだで均衡式を巧みに運用してきた。ところが今日、同党は米国とイスラエルとの戦争にあるイランを支える「支援戦線」を開いた。ここで多くの人の頭に浮かぶ最重要の問いは、同党が今回も崖っぷちの綱渡りに成功し、見積もられた上限の範囲でエスカレーションを制御できるのかどうかである。今回は、イランと米国・イスラエルのあいだで生じてきた従来の対立や衝突とは異なる対決になっており、上限が固定されない。しかも、戦場での計算、国内の圧力、そして制御不能な速度で逸脱しかねない地域的展開に左右されるためであり、開かれた戦争を許容できない国にとっては、とりわけ重い条件になる。
政治経済の専門家ヤフヤー・サイード・ウマル博士は本紙への声明のなかでして、ヒズブッラーが占領下のパレスチナに向けてロケット弾を発射したことは、レバノンを、経済的にも政治的にも耐えられない広範な対決の瀬戸際へ再び引き戻すと述べた。博士は、当該の一手が直接の軍事的次元を超えて、米国とイランの緊張に結び付くより大きな地域紛争の文脈に入るとみた。この構図では、レバノン南部が相互メッセージの舞台へと変わり、抑止の方程式の中でレバノン国内がもっとも弱い輪になる。
ウマル博士は、ロケット弾発射が持つ第一のメッセージは、党がイラン政府主導の軸の内部で自らの位置を固定する点に関わると説明した。タイミングは、イラン核問題であれ、地域における米軍の軍事的プレゼンスであれ、より広い展開から切り離されない。したがって軍事決定は、レバノン国家の境界を越える地域的計算の一部となり、イランまたは同盟勢力が軍事圧力の下で孤立させられる事態を防ぐ抑止均衡を維持しようとする試みを反映する。
一方で、これらの動きの跳ね返りはレバノンに直接降りかかると博士は述べた。レバノン経済は2019年以降、前例のない崩壊に見舞われ、通貨は価値の大半を失い、銀行部門はほぼ麻痺している。直近のイスラエルによる対レバノン戦争は、インフラ、住宅、経済施設への直接被害に加え、観光、投資、事業送金の急減を伴い、損失は約80億〜100億ドルに達したと見積もられた。住宅ユニットは数千単位で損傷し、商業施設は閉鎖に追い込まれ、港湾と空港の動きも目立って落ち込んだ。失業率も上昇し、国家の支出能力も縮小したため、社会危機が深まった。これらの数字は、新たなエスカレーションに対して国内状況がいかに脆弱かを示している。
この文脈で博士は、レバノン国家の裁量は後退していると述べた。軍事・治安の決定が公式機関の完全な統制下に置かれておらず、テンポ管理能力が弱まるからである。政府は、党が独立した軍事力と組織力を持つ状況の下で、複雑な政治・治安の現実に直面する。こうした構造的な歪みのため、戦争と平和に関する統一決定を国家が強制できる力は限定され、治安が政治と交錯し、宗派が地域要因と交錯する繊細な国内均衡に結び付く。
ただし博士は、そうであってもレバノンが無制限に開かれた舞台になっているわけではないとも述べた。国内環境は近年変化し、広い層が大規模対決をより強く拒むようになっており、とりわけ国家が被った莫大な経済コストの後ではなおさらである。党と同盟する政治勢力でさえ、全面爆発が国家機関の残余を崩壊させると理解しており、外部の金融的安全網が不在のままでは、その道筋を抑え込むことが難しくなる。
博士はまた、国際要因もまた紛争に非公然の上限を課すと指摘した。西側・アラブの勢力は、少なくとも最小限の水準でレバノン安定を優先課題に置き、政治・経済の圧力が継続的な影響手段として作用する。他方で、深刻な金融危機にある国で新たな戦争の負担を引き受ける用意がある当事者は見えず、イスラエルとの対決が拡大すれば、さらに広い介入を招いて紛争の性格そのものを変えかねない。
博士は結論として、ロケット弾発射は、地域的立場の固定と全面爆発の回避とのあいだにある精妙な均衡を映すと述べた。エスカレーションのたびにレバノンが戦争へ滑り落ちる可能性は残るが、経済的・社会的コストの巨大さそのものが抑止要因として働く。国家がこの流れに完全な制止線を引く能力は依然として限られるが、国家機関の強化と経済回復こそが、レバノンを開かれた地域紛争の舞台へ転化させる余地を狭め、国内の残された安定を守るための唯一の入口になり続ける。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:国際メディア情報センター )
( 記事ID:61738 )