イスラエル世論で高まるトランプ政権への批判的傾向
2026年06月22日付 al-Quds al-Arabi 紙
■イスラエルで批判高まる、トランプ氏がレバノン撤退へ圧力開始…米・イラン覚書に反発、ヒズブッラー武装解除前の撤収を懸念
【テルアビブ:本紙】
米国のドナルド・トランプ大統領がイランとの覚書に署名し、それによってイスラエル軍が南レバノンから撤退する可能性が生じたことを受け、イスラエルではトランプ政権に対する厳しい批判が高まっている。
トランプ大統領とイランのマスウード・ペゼシュキヤーン大統領は今月18日、電子形式で覚書に署名し、両国は月曜日、戦争終結に向けた最終合意の締結をめざす交渉を開始した。
覚書には、レバノンを含むすべての戦線で戦闘を停止すること、世界のエネルギー供給にとって重要なホルムズ海峡を再開すること、イランに対する米国の海上封鎖を解除することなどが盛り込まれている。
レバノンからの撤退
トランプ政権を批判するイスラエル対外情報機関モサドのテロ対策部門元責任者オデッド・アイラム氏は、「米国人はイラン人にペルシャ絨毯のように利用されている」と述べた。
イスラエル公共放送は同氏の発言として、「米国は自国の利益に直接反する行動を取っている」と伝えた。
一方、中東問題研究者のヨニ・ベン・メナヘム氏は、「米国は、ヒズブッラーの武装解除問題を解決する前に、われわれをレバノンから撤退させるための条件を押しつけ始めた」と述べた。
同氏はチャンネル14に対し、「ワシントンでイスラエルとレバノンの代表団による交渉が始まる前に、イスラエル軍が南レバノンから撤退するより先に、ヒズブッラーの武器問題を解決する必要がある」と語った。
米国の仲介により、ワシントンではレバノン政府とイスラエル政府の間で複数回の交渉が行われており、6月23日から25日には第5回協議が開かれる予定である。
レバノン政府は、ヒズブッラーの武器を含むすべての武器を国家の管理下に置く計画を進めているが、ヒズブッラーはこれを拒否し、自らはイスラエルの占領に抵抗する組織だと主張している。
ベン・メナヘム氏はさらに、「治安関係者から、米国側がわれわれの支配下にある地域からのイスラエル軍撤退について、実際に話し始めていると聞いた。そのなかにはシャキーフ城も含まれる」と述べた。
イスラエル紙『ハアレツ』は月曜日、イスラエル政府とレバノン政府が次回交渉で、イスラエル軍からレバノン軍へ責任を移管する「試験地域」を決定すると伝えた。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相をはじめとするイスラエル当局者らはこれまで繰り返し、イスラエル軍は南レバノンの占領地域から撤退しないと表明してきた。
ベン・メナヘム氏は、米政権が「北部の入植者の安全を保障しないまま」、イスラエルに南レバノンからの撤退を強いようとしているとみている。ここでいう北部の入植者とは、イスラエル北部の入植地住民を指している。
最大の政治的惨事
野党「イスラエル我が家」のアヴィグドール・リーベルマン党首は月曜日、Xへの投稿で、米国政府とイラン政府の合意について、「建国以来、イスラエルにとって最大の政治的惨事だ」と述べた。
リーベルマン氏は、「われわれは世界市場の燃料価格ではなく、イスラエルの利益に基づいて行動しなければならない」とした。これは、トランプ大統領が戦争終結を急ぐ動機の一つに、燃料価格への配慮があるとする専門家の見方を踏まえた発言である。
イスラエルの閣僚らは、イラン政府との交渉からイスラエルを排除したとしてトランプ氏を批判している。一方、野党はネタニヤフ首相の失敗を非難し、トランプ氏が同首相を「辱めた」とみている。
覚書が公表される前、ネタニヤフ首相はその詳細を把握していないと述べ、トランプ氏との間に意見の相違があることを認めていた。当時、イスラエル政府と米国政府の間では、当局者による相互批判が表面化していた。
イスラエル軍ラジオは月曜日、リーベルマン氏の発言として、「ネタニヤフはトランプ専用のサンドバッグであり、われわれは兵士を犠牲にし、その手足を縛っている」と伝えた。
関係悪化
一方、マイケ・ヘルツォグ元駐米イスラエル大使は、トランプ政権を攻撃する声を批判し、イスラエル政府と米国政府の戦略関係に悪影響が及ぶと警告した。
イスラエルのラジオ局「103FM」は、ヘルツォグ氏が、これ以上そのような批判は必要ないと述べ、「イスラエルは対米戦略関係において過去最低の水準にある」と指摘したと伝えた。
同氏は、米国政府との戦略関係が悪化した背景には、「イスラエル当局者による無責任な発言」があると説明した。
また、批判の矛先がJ・D・ヴァンス米副大統領にも向けられているとし、「この人物が将来、米国大統領になる可能性もある」と述べた。
イランの能力強化を懸念
ニュースサイト「i24NEWS」は月曜日、イスラエル当局者らの発言として、イスラエル政府が、米国政府とイラン政府のいかなる合意も、イランとヒズブッラーを含む地域の同盟勢力の能力強化につながることを懸念していると伝えた。
またイスラエル側は、イランが核開発計画や地域の同盟勢力への支援をめぐって限定的な譲歩を示す一方で、合意を利用して経済を再建し、軍事力を強化する可能性も警戒している。
ここ数日、イスラエルの政治家や評論家らは、イランとの合意によって、イスラエル政府が米国政府の決定に影響を及ぼす力を低下させていることが明らかになったと指摘してきた。また、ネタニヤフ首相がイスラエルを「政治的惨事」に追い込んでいるとの批判も出ている。
イスラエル当局者らの話として、複数のメディアは土曜日、ネタニヤフ首相が閣僚に対し、トランプ氏への個人攻撃を控えるよう求めたと報じた。トランプ氏はこれまで、ネタニヤフ首相を公然と繰り返し批判している。
トランプ大統領は木曜日夜、ニュースサイト「アクシオス」とのインタビューで、「ドナルド・トランプがいなければ、イスラエルは地面と同じ高さまで破壊されていただろう」と述べた。
同日、ヴァンス副大統領もネタニヤフ政権の閣僚らを厳しく批判し、最近イスラエルを守った兵器の3分の2は「米国人の手で製造され、米国の納税者によって資金を賄われた」と述べた。
さらに同副大統領は、国際関係や外交においては、イスラエルを含め、いかなる国も信頼していないと明らかにした。
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( 翻訳者:教養外国語アラビア語班 )
( 記事ID:62376 )