トルコ文学:すべての人間は自分の官舎のなかにいる-作家エブル・オジェンとの対話
2021年01月02日付 Cumhuriyet 紙


作家のエブル・オジェン氏と厳しく、リアリズムに基づいた文体で書かれた新しい小説『官舎』のために面会した。彼女はインパクトのある作家だ。世界の全ての社会で、ある形で母性が、境界の外で過剰に神聖化されてきたと考えている。


一人の作家として最も重要な問題は、構造-身体の関係性であると述べている。

エブル・オジェン氏と会った。


―あなたの新しい小説『官舎』では、雪に閉ざされた小さな官舎で生きている家族の物語っています。非常に厳しく、勇敢でそして伝統的な言説の外側にある語りです。全ての人は、自分の官舎の中で息もできずに生きているのでしょうか?

小説の観点においてはそうです。これと関係しているところとしては、官舎はアレゴリカルな構造の外側にあるともいえます。ある創造の産物の枠を超えているにも関わらず構造の要素は最も冷酷で最もいやらしいのです。ひとつのファンタジーのイメージとなるだけではなく、偽装的な産み出し手の指令を、一文字一文字、実行しているのです。官舎に似通っているいかなる構造から、外へと一歩を踏み出したということは、完全な自己同一性を持って、そこから離れ離れになったということは意味しません。私たちは、既にそこへ、それ自身が私たちに感染してしまっています。構造は、最初の出会いから私たちの身体、魂に、思考のシステムとなります。
私たちの関係性もこの形で組織化されて、私たちの孤独性もそのうえで作るのです。

-私たち女性たちの上で何百年間も存在している母性の抑圧についても言及されていますね。母性は神聖ではないと考えるのを擁護するとしても、私たちが生きているこの社会においては女性性は誇張され、神聖化されています。全ての人が母親となる必要はありませんが、これは責務でもありません。女性性は神聖で不可侵であると考えることには、すこし不敬なところがありませんでしょうか?

この問題については長く思考して、議論される必要がある問題です。これに簡潔に答えを与えるのであれば、私たちをどれほど満足させるかわかりませんが、以下のようです。:
母性の神聖化を実行する境界の中で継続性を求めている組織は、悪のにおいを私の鼻にまでもたらします。とりわけこの真実は、私たちの社会だけに属している問題ではありません。
世界上で、全ての社会がある形で母性の論理の境界の外で神聖化をしているようです。このことには、もちろんのこと沢山の理由があります。しかしながらこれは別の調査が必要な問題です。一人の作家として、私がとりわけ関心をひかれる領域ではないので、私が小説上で仕事をするときのより切実な問題である構造―身体関係に集中して調べ物を続けています。

女性性-母性について特に仕事をしたというわけではありません。一般的に私が執筆活動において関心をひかれて、関心を持った問題ではないのです。
性の問題は、小説の基盤の問題ではないのと同時に、キャラクター達を執筆する際に彼らが考え、読み解き、経験の結果としてたどり着いた開かれた真実として見なしています。
日々の生活における私のつくりだしたものも含む、性的な側面そしてそれらに課せられたもの(父性、母性といったもの)がとどまる場所は、自然に属している私たちの核心をなくしてしまったということを。これは私の考えでは個人そして社会の破壊の原因となります。不敬な態度もこの文脈において社会そして個人にとって真剣にあつかうべき次元における浸食の一つです。

- 母親-子供の関係性はどれほど真実なのでしょうか?

わかりません。これに目を向けることは難しいです。とりわけ今日に至るまで世界に子供を一人ももたらさなかった人間の一人として私が言えることは、問題について考えをめぐらす以上のことにはなりません。でも、もちろん考えてみたいと思いますとも!これについては、つまり思考をしてみたいと思っている一人として私は、母親-子ども関係を各個人の経験からは分け隔てて取り上げることでこの暗い関係性の真実を議論する場所を開くことができるでしょう。この側面は仕事の喜びをもたらす側面ですが、事態が「真実」である人たちについていえば、私が思うにこの関係性は非常に多くの人にとって傷を伴いこんがらがった問題になるのでしょう。


―私たちは仮想空間の世界で暮らして全ての関係性の真実を失っている状況です。
ただポジティブな感覚をもっていて、いつも笑っていてまるでアニメーション映画のキャラクターのように振る舞うのを求められています。しかしながら真実は、ネガティブさと痛みもその中に含んでます。あなたの小説でも実際とそして幻想の区別が描かれています。壁を壊して幻想から逃れて真実と自由を手に入れることはできるのでしょうか?



これについて私がもっと先見の明があればよかったのにと思います。残念ながらこれを知る術がありません。自由の意味というのは全ての人にとって移り変わるものでありえます。他の文化の人たちと知り合ったならばその振る舞い、思考によってその日にまで自由の思考に依って考えていなかった思考体系にぶち当たって明確であって、信じていたものが一瞬に壊れてしまいます。

自由の考えもその他の思想のように多元的な考えであり、一人で考え続けてもあまり手の中にはたくさんのことは残りません。M.Dサドの著作『死にゆく無神論者とある文学士との対話』という本の中にある以下のような文が、様々な思想を一人でだけ考えたときにおこることについて素晴らしい説明をしています。「豊かな果実の収穫ができるはずが、花を集めただけになってしまう」。


-政権と身体の関係性について語りましょう。今日の見せかけだけの時代において、私たちの身体の関係が精神性以上に前面に出てきている状況です。『官舎』においても、身体の関係性について言及をしながら、この巨大な構造が私たちの身体、振る舞いに影響を与えて、変化をもたらしていると示唆しています。さてこれはなぜ、そしてどのようにおこなわれるのでしょう? 

これは(生活している家、建物も含め)組織について取り上げれば、ある司法裁判所に入った瞬間、もしくはある形で警察署、学校、病院に入らなければならなくなった際に、最初の瞬間から気づくでしょう。それらと接触を続けることは、感覚的な領域と同様に思考の面においても影響を与えます。この意味において、小説においてもこの問題は一つの信仰以上のものになっています。はっきりとした形で構造が小説のキャラクターたちにどのような影響力をもたらしているのか、目の当たりにします。キャラクターたちの活動の範囲が制約されて、コミュニケーションの形を規定します。ある広大な自然の景色の中にいるにも関わらず、 犯罪、というのはそれ自体が一つの問題の領域です。犯罪が一つの違法行為とすれば、犯罪者は法から外れた行為をした人ということになります。この文脈において、犯人を見つけ出すことは時間の無駄です。問題を罪-犯人という関係性で見てはなりません。これは私たちをどこか一つの場所には連れて行きません。破壊と解決に向けた思考の作業が私たちを問題を高度な思考の領域で取り上げることを可能にします。


-全てのゲストに質問をしていますが、どのように執筆をしますか?

はっきりとしたルーティンはありません。しかし執筆は早い時間に行うのが好みです。机の上では仕事をしません。困難なんです。普通、どこかに身を預けて体を伸ばして書いて、執筆します。執筆の時には、コーヒー、たばこのような手助けをしてくれるものを使います。静かな場所、そして整頓されていることが私にとって重要です。執筆場所が秩序、清潔でなければ整頓し、掃除をすることが私の執筆の最初にやることです。


-「Ekşi Sözlük」で、あなたに関する心温まる、明るいコメントを読んで安心しました。食卓は、私たち自身と互いをより深く結びつけ、解決策を見出す場所のようです。皆さん、あなたの食卓はどんな感じですか?

私にとって、誰が楽しいと感じるのかわかりません。ですが有難うございます。私は心の広い人間ではないんです。そうでなければ、これが真実ではないでしょう?私と長い時間を過ごす人に問いかけなければいけません。これを書いている人が私と近しい関係でないことは明らかです。親友たちとの食卓というのはありません。お客さんをもてなすのは好きでないんです。友達をとても短い時間訪問するだけで十分です。私も他人の家で長い時間を過ごすのはあまり好きではありません。すぐに家に戻りたくなります。

フィリップ・ロスについての記事を読んだ際に、ロスは人生で全く料理をせず、ただ信頼をしている人が調理した料理だけを食べそうです。いつもスープと、それに類するものを好んだそうです。料理についてあなたの考えはいかがですか?


クラシックな美食は私の関心を引きます。野菜の料理をすること、食べるのは好きです。

どのように楽しみますか?
私はたくさんのことに楽しみを感じます。カリカチュア、映画、本、演劇、近しい友人たちです。とりわけ兄弟は私をかなり笑わせます。私は人生で彼に笑ったほど、他の人に笑いを見せたことはないです。

-近頃ではどのような本を読んでいますか?
何を鑑賞していますか?


一日の中で何冊か同時に本を読んでいます、実際のところ。今週、一冊の小説を読み始めました。ハビエル・セルカスの『偽装者』という名前の本です。映画についていえば、最近は、ごく普通の日常をリリシズムに転換したミニマリストの監督小津安二郎の『晩春』の映画を再び鑑賞しました。彼はその流派の中で大好きな映画監督です。

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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:62831 )