Dogan Hizlan コラム:新刊紹介『ドイツ・トルコ―人々とその物語』
2012年06月20日付 Hurriyet 紙
考えさせ、議論を生む本を読んだ。
『ドイツとトルコー人々とその物語』という本だ。
ドイツで住むトルコ人とトルコで住むドイツ人のことを考え、文化的相違について考えをめぐらす人びとの声を取り入れてできた本である。
写真や個人の経歴がおさめられており、読み手を楽しませる。
この本からいくつかのことを言うことが可能である。
まず私の注意を引いたことを次のように要約して述べよう。
・ドイツにおける寛容の状況、個人の自由に制限がないこと、教育を受ける機会を得られること、多文化性が世界に開かれた人間を生み出すこと。
・秩序やシステムが人に与える安心感や快適感。
ドイツで生まれた者や、若くしてドイツに勉強に行った者、そしてドイツで学び就職する者らは、統合に関して困難を感じることは無い。
現代ではどの国で教育を受けようと、若い世代の人たちは自分を地球の一市民というように考える。そういう場合に、環境への適応というような問題は発生しない。
統合という点で、後になってドイツに渡った者と、ドイツで生まれた者との間では、大きな相違がある。
彼らがトルコのことを知った後の考えは、総じて肯定的なもので、特に家族が本人に自国の文化や生活様式について教えれば、社会への適応はより簡単になる。
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トルコで暮らすドイツ人は、多くの場合偶然に導かれてここに来ている。
というのも、仕事のためイスタンブルや他の都市に来て気に入り、ここに住むことを決めたのだ。結婚もここに残ることに決めた理由のうちの一つだ。
彼らはトルコで創造的な仕事をしている。
自分たちの仕事の領域をつくっている。
ドイツで働くトルコ人たちの一部は適応(を促す)組織で働いている。
2カ国の人の違いを,どこかで結び合わせようとつとめている。
トルコを選んだドイツ人らは、トルコに住んでからもドイツを行き来しており、関係を絶っていない。
ドイツで住むトルコ人の一部は、定年の際に、何年ぶりかで(ようやく)国に故郷の町に帰る。
第三世代はトルコに勉強や研究をしに来て、トルコを知る。トルコに残るものもある。いずれにせよ,(同時に)両方の国の人であろうとする。
私が1970年代からドイツとトルコを行き来すると、文化的関係をはじめとして、二つの社会の人びとは共生できるという考えに至った。事例から、芸術家たちはこの関係をより簡単に築くことが可能なことを示している。
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本に載っているいくつかの例を引用する。
アイリン・アイクルト(心理学者・ベルリン在住):私はまったくドイツに統合された者です。いずれにせよ、母が統合の代表例なのですが、彼女は完璧に(トルコの)マントゥ(小型の餃子)をつくります。
ジェンキズ・ディジレリ(教授・コンスタンツ在住):個人的に環境適応したかどうかはわかりません。順調に動いている心臓や,よく合っている服装のことを意識しないのと同じです。きっと常に適応できていたのでしょう。
エルギン・アトゥルハン(作家・フランクフルト在住):ドイツは私に様々なものを与えてくれました。イスタンブル出身であることも、自分が何者であるかの模索の点で早期の結果を生み出してくれました。
アンドレアス・ショイレガー(コック長・イスタンブル在住):イスタンブルに来たのは、料理に対する関心です。
バルバラ・カラシュ(聖職者・アンタキア在住):この教会で続ける活動が私の人生の目的です。トルコで幸せです。
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翻訳者:畔上曜子
記事ID:26778