国際原子力機関(IAEA)イラン代表は同機関の理事会に宛てた声明の中で、西洋の制裁はウラン濃縮活動に何の影響も与えていないと強調した。
ファールス通信がロイター通信の報道として伝えたところによると、アリー・アスガル・ソルターニーイェ代表は、イラン核施設が攻撃された場合、イランはNPT(核不拡散条約)から脱退するだろうと述べたという。
IAEAイラン代表はIAEA理事会に宛てた声明の中で、対イラン攻撃があれば、イランはウラン濃縮施設を「より安全な場所」で稼働させざるを得なくなるだろうと強調した。ソルターニーイェ代表の発言は、イランの核兵器獲得を阻止するために何らかの軍事攻撃が同国に対して行われた場合、それはイランの核計画の地下活動化という、狙いとは反対の結果を生みかねないとの懸念を、西洋の専門家らの間にもたらしたと、ロイター通信は報じている。
イラン核計画をめぐるイランと西洋諸国の間の緊張は、イランが自らの原子力エネルギー計画の中で、軍事目的を追求しているのではないかとの疑惑に基づいている。イランはこうした疑惑を否定しつつ、NPTおよびIAEAの加盟国として、自らには平和目的の核技術を獲得する権利があると主張している。
ソルターニーイェ代表は英語で記されたこの声明の中で、「[もし攻撃があった場合は]IAEAの査察を停止し、さらにはNPTから脱退するよう、(イラン)国会が政府に義務づける可能性がある」と言明している。
IAEAの査察官はこれまで何度もイラン核施設を査察してきたが、同国の平和的核エネルギー計画が軍事目的へと逸脱していることを示すような証拠を、一切発見していない。
IAEAイラン代表は声明の中で、「軍事攻撃によってイランがウラン濃縮活動を停止するようなことはないだろう」とし、さらに「イランは濃縮技術をすでに獲得しており、〔軍事攻撃によって〕被害が施設に及んでも、簡単に復旧させることができる」と述べている。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)