研究者は、7500年前にポーランドにおいてチーズが作られていたという証拠が見つかったことを明らかにした。専門家の間では、最初のチーズは9500年程前にアナトリアで作られたという説が広がっていたが、これに関する具体的な証拠は未だ見つかっていなかった。
AP通信によると、ポーランドで発掘された少なくとも7500年前のものと思われる粘土製のふるい器34点について、科学者がどういった用途で使われていたのかを解明するために、ふるいの破片を科学分析した。この調査により明らかになったという。
イギリス・ブリストル大学のリチャード・エヴァーシェッド教授率いる研究チームが行った化学分析で、ふるい器の破片から同じ地域に存在していた他の調理用、保存用の壺と比べて多量の脂肪を含んだ乳分の沈殿物が残っていたことが判明した。
科学者は、この発見は発掘されたふるい器が、発酵した(酸っぱくなった)乳を,脂肪分の多い凝乳と水分とに分けるために使われていたことを示しており、またこの過程が基礎的なチーズの作り方であることと述べている。
■推測だけで証拠はない
バーモント大学の食物栄養学教授で、『チーズと文化』の著書をもつポール・キンドステッド(Paul Kindstedt)氏は、この発見について、「ふるい器に残っていた脂肪の多い乳分の沈殿物はチーズに使われたとしか考えられない。多くの専門家は世界初のチーズは9500年程前に(現在の)トルコで作られたという見解を示していた」と語り、しかしこの説については具体的な証拠が未だ見つかっていないと付け加えた。
研究者は、現在のトルコとリビアの領域内で8000年前のものと思われる乳分の沈殿物を発見したが、この乳分からチーズが作られていたという証拠は見つかっていなかった。
今日までに見つかっている最も古い証拠は、ポーランドで使われていたことが証明されたふるい器より何千年も後に描かれた、チーズの作り方が描かれた壁画である。
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翻訳者:入口 愛
記事ID:28566