アメリカ合衆国のジェームズ・クラッパー国家情報長官は、ウラン濃縮活動や弾道ミサイルの製造といったイランの技術的な進歩と能力に触れ、次のように報告した。
インテリジェンス・コミュニティー[*]は、イランの指導者たちが核兵器の製造を決断したという見解にはまだ至っていない。
※訳注:国家情報長官の下、CIAやFBIをはじめとする諸情報機関の活動の調整と情報の一元化を行う組織。
ロイター通信の報道によれば、本日、米上院情報委員会に提出された「アメリカに対する『世界の脅威』評価年次報告書」では、同国にとっての第一の脅威として、前年までのテロ攻撃に取って代わり、サイバー攻撃やサイバースパイ活動が挙げられている。
クラッパー国家情報長官は、34ページから成る同年次報告書を踏まえ、「アメリカにとって大惨事をもたらすようなテロ攻撃が発生する可能性は、従来に比べれば低くなった」と述べた。
2010年と2011年の同報告書では、テロ攻撃が、アメリカの安全保障に対する最大の脅威と位置付けられていた。
クラッパー長官は、サイバー攻撃の脅威が増大している要因の一つとして、IT分野においては専門家らが対応できないほど急速に技術革新が進んでいることを挙げている。
同報告書は、アメリカの安全保障に対するこのほかの脅威として、核兵器開発をはじめとする北朝鮮の諸政策や、中東諸国の民衆による体制変革運動後の不安定化、キューバにおいて予測される政治移行プロセス、そして中国の経済力の増大を挙げている。
[…]
また、シリアに関して、CIAほか情報機関は、バッシャール・アサド政権の権力存続のための基盤や軍事力は弱体化しつつあると見ているという。
さらに、CIAなどは、シリアの反体制派は、アレッポやダマスカス、そしてホムスといった都市を掌握できてはいないが、周縁の農村部を支配下に収めており、これらの地域を将来的な拠点として用いるだろうとしている。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。)