イラン原子力庁長官は、アラーク重水炉を断念することはウラン濃縮活動を断念することに等しいとの見方を示した。
イラン国営通信の報道によると、アリーアクバル・サーレヒー原子力庁長官は昨日、シャヒード・ベヘシュティー大学で開かれた第三回「
マジード・シャフリヤーリー博士殉教記念日」のセレモニーの中で、「アラーク重水炉はイラン・イスラーム共和国にとって、一つの科学的名誉と言えるものである」と述べた。
同氏はその上で、「もしわれわれがこの炉を持たないよう、彼ら〔=欧米諸国〕が望むのであれば、それは彼らがイラン核問題を正常化させるつもりがまったくないということを意味している」と指摘した。
同氏はジュネーブ合意に異論はまったくないとした上で、「アラーク〔重水炉〕は最終的に停止されねばならない、なぜならそれはプルトニウム製造の元となるからだ、〔核〕爆弾製造に利用できるからだ、もしアラーク〔重水炉〕が〔解体されずに〕残れば、イランは望んだときにいつでも〔核〕爆弾製造へと進む可能性がある、といった内容をアメリカの某外交責任者や機関が指摘しているといったことが、絶え間なく〔メディアで〕喧伝されている」と述べ、さらに「〔核〕兵器の製造に使われるプルトニウムは《毒》〔※核爆弾に使われるプルトニウム239以外の不純物(プルトニウム240など)のことを指すものと思われる〕を伴うものであってはならない。しかし実のところ、アラーク〔重水〕炉は〔核〕爆弾を作るのに適したプルトニウム〔=プルトニウム239〕を製造しないのである」と強調した。
サーレヒー氏は、〔西洋諸国ないし西洋のメディアは〕《毒》が作られる前に、プルトニウム〔239〕を炉の中から取り出す可能性があるといった言い掛かりを付けくると指摘した上で、「あなた方は24時間監視カメラを〔イランの核施設に〕設置したではないか。今も査察は行われている〔ので、プルトニウム239が重水炉から抽出されて、プルトニウム型核爆弾製造に用いられることはない〕」と付け加えた。
同氏は、重水炉を持つことはNPTの枠組みにおけるイランの権利の一つだとの見方を示した上で、「将来、我が国の発電所の一部を重水炉にすることを、われわれは目指している。それはちょうど、ディーゼル車とガソリン車の両方を所有することに等しい」と述べた。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。