また、ある政府当局者は「ウィーンにいるイラン交渉団が実務者協議を取り止めたことは、イランに対して新たな一方的制裁を決めたアメリカの措置が原因だ」と述べた。
この人物はイラン学生通信とのインタビューの中で、「ウィーンでのイランと5+1の実務者協議の進捗状況は良好なものだった。〔‥‥〕しかし、イランに対して新たな制裁を決定した今回のアメリカの一方的措置は、ジュネーブ合意の精神と双方の善意に反するものであり、これにより協議は〔結論を見ぬまま中途で〕終了した。イラン交渉団は〔対応を〕協議するために、テヘランに帰国した」と述べた。
■ 実務者協議を中断した行為は革命的な行為だった
国会の国家安全保障・外交政策委員会のボルージェルディー委員長は、イラン企業数社を制裁リストに加えたことで、アメリカはジュネーブ核合意に違反したと指摘した上で、「われわれは必要な決定を採択することで、国内での平和的〔核〕活動を加速させるべきだ」と述べた。
メフル通信の報道によると、アラーオッディーン・ボルージェルディー委員長は、ウィーンで開かれていたイランと5+1の実務者協議から核交渉団を引き揚げさせた外務省の措置を支持した上で、「今回の外務省の措置は毅然かつ革命的な決断だった」と語った。
〔‥‥〕
■ テヘラン金曜礼拝導師「交渉では西洋の貪欲な要求に屈するようなことがあってはならない」
テヘラン金曜礼拝導師は、5+1グループとの核交渉について、イランにとって最重要問題の一つだと指摘した上で、「この交渉で、西洋の貪欲な要求に屈するようなことがあってはならない」と強調した。
イラン国営放送報道センターが伝えたところによると、アーヤトッラー・モヴァッヘディー=ケルマーニーはテヘラン金曜礼拝での説教で、「この交渉では、対イラン恐怖症は誤りであること、なぜならイスラーム国家の基本は慈愛にあるからだということを西洋世界に理解させる必要がある」と述べた。
同師は交渉相手をしっかりと認識するために、我が国の交渉団には高い意識が必要だと強調した上で、「交渉の場での彼らの微笑みや握手に騙されてはならない。なぜなら、アメリカのイラン国民に対する敵意の根本的理由は、我が人民のイスラーム的アイデンティティにあるからだ」と指摘した。
テヘラン臨時金曜礼拝導師はさらに、「アメリカは、イランの体制・革命の基本が覇権の否定にあるということを理解している。だからこそ、彼らはさまざまな方法でイランと対決しようとしているのだ」と付け加えた。
モヴァッヘディー=ケルマーニー師は核交渉について、極めて複雑だとした上で、「交渉では、国の名誉、知性、そして利益が蔑ろにされるようなことがあってはならない。体制と革命にとって死活問題であるところの、自らの理想と原則とを守る努力をする必要がある。なぜなら、これらの価値観からの後退は、イスラーム体制瓦解の原因となるからだ」と語った。
同師はさらに、「この協議で注意しなければならないのは、われわれが何らかの《特典》を与えるのであれば、最低でもそれと同等の《特典》を得るのでなければならない、ということだ」と付け加えた。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。