宗教的な教えや国民的慣習・文化、学術的な問題、聖なる防衛[イラン・イラク戦争]などをテーマにしたアニメ6作品が、サバー・アニメーション・センター[※1]で制作された。
※訳注1:「サバー・アニメーション・センター」の前身は、現国会議長のアリー・ラーリージャーニーが国営放送会長だった1995年に創設された。なお、「アニメーション」を意味するペルシア語造語の原義は、《邁進(プーヤー)を示すこと》。
「蜜蜂たちの歌声」、「雨の旅」、「幻の町」、
サアディー作『果樹園』第2部、
「塹壕の勇者たち」第2部、
「クーシャー」[少年主人公の名。「刻苦勉励する者」の意]シリーズ第4部のアニメ制作は、1年から4年の歳月を費やして完成にこぎつけ、プーヤー・ネット[国営テレビのアニメ・チャンネル]で放映されることになっている。
■新作アニメ
「蜜蜂たちの歌声」は、『クルアーン[コーラン]』とその章句に基いて制作されたアニメ作品のひとつである。このアニメでは蜜蜂たちの暮らしや生き方にまつわる様々な物語が、蜜蜂について書かれた「蜜蜂の章」[『クルアーン』第16章]の第68・69節[※2]で述べられていることに基いて、企画・制作されている。
※2:『クルアーン』「蜜蜂」章、第68・69節は、以下を指すと思われる。
主はまた蜜蜂に語りかけて、「お前たち、山でも気でも、また(人間が)建ててくれるものでも、なんでも(好きなところを)住処とするがよい。そして(方々へ出掛けて行っては)あらゆる果実を食い、(食い終わったら)主の(用意して下さった)平坦な道を取って(おのが巣に帰って)行くがよい」と仰せられた。こうしておけば、やがてその腹からさまざまな色の飲物が出て来て、それが人間の薬になる。ものを深く考える人間にとってこれはたしかに有難い神兆ではないか。(井筒俊彦訳『クルアーン』(岩波文庫)より)
宗教的・倫理的概念を子供たちに教える「蜜蜂たちの歌声」は、共に働くことや、約束を守ること、[宗教共同体の指導者やイスラーム法学者による]後見を信じ従うこと、連帯、さらに背信がもたらす結末を描いている。
アニメ「蜜蜂たちの歌声」のシナリオは、故ナーセル・ホシュバクトが書き、ファトホッラー・ナディーミー・サフヤールが、キャラクター・デザインと制作を担当し、アミール・サハルヒーズが監督、演出した。
サバー・センター推薦作品であるこのアニメは、10回シリーズとして制作され、間もなく、プーヤー・ネットで放映される。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。