モハッラム月[イスラーム暦1月] とサファル月[イスラーム暦2月]の風習のひとつに、ナズリー(願掛けの料理や菓子)を配るというものがある。願掛け用に料理を作るのはイランと私たちイラン人に限られたことではなく、世界のイスラーム教徒の多くにも、この2か月にナズリーを用意する習慣がある。
【ジャーメジャム・サラー(家庭版):週刊《サラーマット》より引用】
さらに 以下で、世界で最も有名な8種類の料理を紹介しよう。
1)イラク・ナジャフ風《ゲイメ》
ナジャフ[※]の《ゲイメ》は、もっとも有名な
アーシューラーの料理のひとつで、イラク人に最も愛されている一品である。たとえこの料理の名前がゲイメ[※イランでは通常、肉・豆・ジャガイモ入りのトマト風味シチューを指す]だとしても、私たちイラン人の挽肉とジャガイモのホレシュ[ゲイメも含むシチューの総称。米を添えて供される]とは全く似ていないし、もしその名前を知らなかったら、挽き肉[料理]がいっぱいの大皿が目の前にあるのと思うだろう。
※イラクの中南部に位置するナジャフは、シーア派四大聖地の一つでもある。
ナジャフの《ゲイメ》には、[イランの《ゲイメ》のように]、ジャガイモや、アンマン・トマト[煮込み料理の香りづけに用いる乾燥トマト]、ラッペ豆は入っておらず、その代わりに、肉、ノホド[えんどう豆]、玉ねぎ、トマト・ピューレ、粉末レモン、サフラン、カルダモンの粉末やエキス、塩、ウコン、シナモンを材料として用いる。
この[ナジャフ風]《ゲイメ》と私たちのイラン風《ゲイメ》との最も重要な違いは、より多くの肉が入っているということと、その具材を全て、調理した後につぶすことである。
まさにこれゆえに、ナジャフ風《ゲイメ》は、イランの挽き肉[料理]に見た目がよく似ているのである。
アーシューラーとタースーアーの日にイラクでは、[イマーム・ホセイン]追悼儀礼の参加者らのために数十万食のナジャフ風《ゲイメ》が調理され供される。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。