■アビー・アハメド首相にノーベル平和賞…シーシー大統領は?
【本紙】
この流れの中で注目に値するのが、今回のニュースが数多くのエジプト人の政治家、作家、活動家がアビー・アハメド首相とエジプトのアブドゥルファターフ・シーシー大統領を比較するきっかけになったことである。両氏ともが大国を統治する(エチオピアの人口は推計1億人)首脳であり、アビー・アハメド首相はシーシー大統領と同じく諜報機関出身のためであり、加えて両国は独裁的な軍事支配の深刻化に悩まされている。また二国間では「グランド・エチオピア・ルネッサンス・ダム」などのアディス・アベバ建設プロジェクトに関し目下交渉がもたれている。
しかしこうした類似点を挙げ終わると、あとは相違点ばかりが浮かび上がる。当然、シーシー大統領が国家内での和解や政治的解決、人権はもちろん民主主義の状態の改善を行うと考える人は、世界に誰一人としていない。なぜならこのエジプト大統領は、民主的に選ばれた大統領をクーデターで追い落とし、抗議の座り込みを流血を伴う残忍な方法で解散させることによって政権を取ったからだ。そして非常事態法を施行し、軍・治安当局を手中にしたほか、政府・国会・司法を形骸化させ、テロとの戦いを口実に治安機関にシナイの住民を支配させた。また一方でエジプトをUAEの保護国に、サウジアラビアの従属国に変えてしまった。シーシー大統領はリビア、イエメン、スーダンにおける反革命に関するUAE・サウジ両国の計画を支援し、アラブのデモ活動やスポーツスタジアムにおいて、簒奪者・暴君・圧制者の象徴、あるいは民主主義と自由を夢見る民衆の敵の象徴となるほどだ。
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