イラク:宗派が創り出した怪物(4)
2020年07月09日付 al-Quds al-Arabi 紙
■イラク:宗派が怪物を創り出すとき
【ヤヒヤー・カビ―スィー】
2016年6月、宗派の怪物の製作に関わる主たる組織、バドル戦線のメンバー、フワーリー・ブームディーン・ダーウードという名の「個人」がアンバール県のサジャル地域から逃れてきた民間人17名を殺害し、集団墓地に埋めた!この犯罪が明らかになっても、一体どうやって戦闘員の一人である「個人」がたった一人でこれほど多くの罪のない市民を殺害して埋めることが出来たというのかということについて、疑問を呈する者は誰もいなかった!そして組織に所属しない「個人」として彼は告訴された。その後、当時のハイダル・アバーディー首相が組織した調査委員会は直接、犠牲者の遺体を集合墓地から掘り出す作業を監督し、事件が実際に行われていたと結論を下した。そして、委員会は「容疑者」がその事件で逮捕された後、対テロ法第4条で起訴され、事件は中央刑事裁判所で審理されていることを確かめた。しかしこの事件から4年が経過した今日、未だ本件に関する判決は言い渡されていない、それどころかこの事件そのものが消滅し、被告の所在も不明である。なぜなら怪物の罪を告発しても、宗派にとっては何の得もないからだ。
2019年10月に抗議運動の勃発に伴って、宗派は、自分たちが生み出し、これまでその横暴さや数々の罪、さらにそれが行っているマフィア活動を黙って見逃してきた怪物が、逆に宗派を攻撃していることをはっきりと思い知った。宗派は、狙撃兵たちの発砲によって、復讐の言葉を知る者は決してそれを忘れないこと、今日、怪物が狙撃兵たちに使っている疑惑と裏切りの言葉はかつて仮想の宗派の敵たちに使っていたまさにその言葉であることを痛感した。
(5)へ続く
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翻訳者:堀嘉隆
記事ID:49510