イラク:宗派が創り出した怪物(5)
2020年07月09日付 al-Quds al-Arabi 紙
■イラク:宗派が怪物を創り出すとき
【ヤヒヤー・カビ―スィー】
この怪物は、もはや宗派の都合のいい道具としての役割に耐えられなくなった。それどころか、怪物を作り上げた宗派だけでなく、国家全体に対しても暴力で復讐するようになった。
女性作家マリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン』の作中、怪物はフランケンシュタイン教授に難題を投げかける。「どうしてあなたはこんな忌まわしい怪物を作ったのですか?自分で作って置きながらどうしてそれを見捨て、忌み嫌ったのですか?」そして今日、イラクでは、宗派の怪物が全く同じ質問を投げかける。なぜならあなたが怪物を作り出し、それを神格化し、称賛し、かばい、間違いなく怪物と結託してあらゆる(悪)事を働いておきながら、ある時突然、怪物があなた、そして国と国の未来を脅かす存在になっていることに気づき(怪物を見捨てようとする)のだから。当然のことながら、怪物にとって、あなたのこの激変は決して受け入れられるものではない。したがって、あなたは怪物がすること全てを受け入れなければならない。もし宗派がすでに怪物から永久に逃れようと思っていたならこれは実現しがたいことだ!
小説家アハマド・サアダーウィーは、名著「バグダードのフランケンシュタイン」の中で、私たちに「王冠を被る者は、誘惑に駆られてそのあと王国を探し求める(人は、権力を手に入れると次は自分の王国を持ちたい誘惑にかられる)」と教えている。さて、あなたは怪物に王冠を授けた張本人でありながら、どのようにして、自分の王国、いやもっと正確にいえば、自分の共和国を探し求める怪物に抵抗するのか?
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翻訳者:堀嘉隆
記事ID:49511