アフマディーネジャード時代回帰への可能性に関するケイハーン紙のコメント
2020年07月11日付 Hamshahri 紙
第10期議会のメンバーであるアフマド・マーザニー氏【訳注:第10議会テヘラン選出改革派議員。第11議会選挙では選挙区をゴルガーンに変更して出馬するも落選した。】の「新議会の議員たちはアフマディーネジャード時代の再来を秘密裏に目論んでいる。」という発言に対し、ケイハーン紙【訳注:イラン有数の保守系新聞】は反応を示した。
ケイハーン紙によると、アフマド・マーズニー氏はアールマーン紙に対して「今議会が開会してからおよそ1ヶ月が経過したが、現在まで日々の諸問題を解決するための明確な法案は一切見られない。その一方で、今議会で見られる枝葉末節なものの方が主要議案よりも多く、結果として今議会の議員たちの行動は、政治的・党派重視・利己的なものであった。議員の中には、政府の動向への注視を目的とするための“政治ショー”に関心がある者もいるように思われる。」と述べた。
彼は続けて、「イラン核合意は、第9および第10会議時代の政府の無策を解決すためにまとめられたが、未だに当時の政府が抱えていた諸問題に我が国は直面したままである。もし友好国が核合意の条件に戻りたいのであれば、わが国民が経験した生活の在り様を知るべきであり、またもし新しい対話を有するというのであれば、その新しい対話の内容を清廉な我が国民に明確にする必要がある。
イラン核合意は少なくとも三つの具体的な成果をあげている。
そのうちの一つは、イラン国民が文化的で対話を愛する民族であることを世界に知らしめ、安全保障理事会における拒否権を有する5カ国を含む6大国との相互理解と国際的協議の結果、かつての対イラン制裁全ての削除を達成した点である。
二点目は戦争開始の危機を回避し、イランへの脅威を防いだ点である。結果的に最近の国連安全保障理事会において米国決議案が否決され、理事国15カ国のうち14カ国がイランに賛成票を投じたのは、核合意のおかげである。イラン核合意が締結される前は、イランに対して反対票を投じ、アメリカに屈していたのは、この安全保障理事会であったが、今ではアメリカは唯一のイランに対する制裁賛成派として孤立しており、これはまさしくイラン核合意の成果である。」
オミード会派【訳注:英訳Hope Fractionイランの改革派、ロウハーニー政権支持の政治グループ】のメンバーであるマーズニー氏のこの発言は幾らかの点で根拠がなく、受け入れがたい。
第一に、四年の会期中登院せず、一部政府高官の不正に関与している国会議員が、国会開会月(委員会や理事会の結成期間)新議会に対し非難を行うことは不可能であるからだ。同様に、国民の生活における違反や裏切り行為がヨチヨチ歩きの国会と関係することも不可能である。
第二に、最も大きな功績が、ヨーロッパ側とのイラン核合意不履行の最中にフェデリカ・モゲリーニ氏(ヨーロッパの外交政策EU上級代表)との記念写真を撮ることであり、また無能なインフラ・都市開発担当大臣を国会質問のたびにより高度な投票によって省庁に引き戻し、激しいインフレを国民にもたらした。そんな彼らが新議会の政治ショーについて何か言えるというのか!?
第三に、国民は核合意放棄の影響を自らの生活の中に受けているので、無能なオミード会派のメンバーが核合意を自慢するというのは奇妙なことである。核合意は、欧米側から破棄された場合、イラン側は反対できないという合意である。これは名誉か、それとも恥だろうか?この合意はイラン側が安全保障理事会に異議申し立てはできないが、その代わりにアメリカは(異議申し立てを)要求することができるように作られている。
しかし、新議会がアフマディーネジャード氏の大統領再選を望んでいる、という主張に関して、ハータミー氏【訳注:第5代大統領。任期1997年8月2日 – 2005年8月3日。改革派】が政界に復帰できないのとまさに同じ理由で、アフマディーネジャード氏も政界に戻ることができないと言う事実を改革支持の過激派たちは最もよく分かっていると言わざるを得ない。それにもかかわらず、彼らは故意にロウハーニー氏かアフマディーネジャード氏のどちらかを選ぶように国民に強いるよう主張する。言うまでもなく、ロウハーニー連立政権はあまりに不誠実なので、アフマディーネジャード政権時代の成果が、彼と一部の支持者による三年前の違反と偏向があったにもかかわらず、依然として経済面において現政権よりも優れていたと人々の意識の中で評価されている。しかし、将来的にこの国がロウハーニーやアフマディーネジャードの一種の政治遊びを止めるかは定かではない。
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翻訳者:K.S.
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