■「刑務所での1日」
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施設は指導部が最近適用を開始した人権に関する国家戦略の原則に沿った懲罰実施システムの開発の枠組みのなかで、10か月以内の期間において竣工・開設された。同原則は単なるメディア向けの言葉でも実効性のない決定でもなかったのだ。私たちは、全刑務所数の25%にあたる12の刑務所の収容者を収容する場所をこの目で見たのだ。施設は、刑務所の歴史の中で初めて、矯正・更生プログラムを基にした科学技術的様式で設計されている。収容者の扱い方や更生の方法についての研究成果に依拠したプログラムで、刑期満了後の出所からただちに社会に積極的に溶け込めるよう受刑者を十全にエンパワメントするものである。
施設には安全と健康の条件を保証する全てのものが揃っている。換気、自然光、運動のできる広々としたスペースに始まり、宗教的儀式を行うための場所、収容者の一部にみられる文盲者向けの(識字教育をともなう)文化的・学問的な自己啓発の授業、趣味を楽しむ場所、職業・技術訓練センター、更生部に属する様々なワークショップなどである。そのほか、農園や農業用温室、家畜家禽もあり、そこでの成果は、生産物の販路をもつ施設の渉外部へと流れる。また社会的保護部門が主催する展示会ではそれらを販売するためのマーケティング・チャネルが開かれている。注目すべきは、販売によるインセンティブ収益が収容者に与えられ、その使い道についても個人の裁量に任されていることである。家族に渡してもよいし施設の塀の外で個人事業を運営するための資金にしてもよい。
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