カイロ:映画と現実の狭間にある都市の姿(2)

2022年04月29日付 al-Quds al-Arabi 紙

■想像されるカイロ:映画と現実の狭間にある都市の姿について

【ムハンマド・トゥルキー・ラビーウー】

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カイロについてのこうしたイメージはまた、時に非現実的に見えるが、リサ・ウィンの研究において注目すべきは、カイロについての想像上のイメージの創出に関連して20世紀のエジプト映画が及ぼした影響の大きさである。この点は、カリフォルニア大学の建築学の教授であるエジプト人研究者ニザール・サイヤードの関心テーマを為してきた。20年近く都市とその映画における表現との関係を教えてきた同氏は、その著書『映画的都市』において、映画が都市について作り出すイメージは現実を再現するだけでなく、現実の都市を創造し支えるための道具ともなりうるとの考えを示した。この関心から、サイヤードと数々のエジプト人研究者らは2018年、想像されるカイロにかかわるもう一つの歴史を語るための生の素材としてカイロ映画を研究するワーキンググループ「映画的カイロ」を設立することになる。このワーキンググループの研究成果は最近、『映画的カイロ:イメージと現実の狭間にある都市と近代性について』と題する書籍として「文化と芸術のマラーヤー」社から出版された。同書の序文でサイヤードは、カイロの住民の多くと一部の来訪者はカイロの街や建物、社会生活を好んでいるが、彼らの中には、カイロという都市に対する自らの理解が、これまで見てきた映画の中のイメージに大きく依存し、それが無意識に心の中に刷り込まれていることに気付いていない人もいると述べる。そこで同書の参加者らは、映画に登場してきたカイロのイメージを研究しようと試みるのである。

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翻訳者:下宮杏奈
記事ID:53359