（続き）
−イランとサウジアラビアの合意は地域の新たな状況の中でどのように位置づけられますか。

　イランとサウジアラビアの問題は、地域問題の頂点にあります。時に鋭く対立するに至る両国の相違は、両国や地域の人々の利益にはなりません。強大で影響力があり、また石油や天然ガスやエネルギー資源を所有しているこの二国が、もし互いの問題をはっきりと透明性を持った形で提起し合い、シオニスト政権や米国の介入を許さないならば、非常に良い形で事が運ぶでしょう。習近平氏の中東地域［具体的にはサウジアラビア］訪問は、まさにそうした出来事を示しています。習氏は地域の状況について、「もし我々が対話により問題を解決できるなら、全ての人に良い結果をもたらすだろう」と説明しました。GCCでは、サウジアラビアやそのパートナー国が中国の計画を歓迎しました。

　この問題はライースィー師の訪中時にも習氏によって提起され、イランと中国に共通する諸事項から中国を介した合意が開始されることとなりました。このように米国の活動領域は狭まっており、彼らは制限され孤立しつつあるのです。このため米国は不快感を示しているのですし、この合意に公然と不満を表明したシオニスト政権も心穏やかではないのです。彼らは、イランを攻撃した場合サウジアラビアは自分たちの側につくと期待していたのに、今日イランとサウジアラビアが合意してしまった、と言っています。


−サウジアラビアに続き他の域内諸国のアプローチも変化しているようです。こうした出来事はどのような形で起こっていますか。

　サウジアラビアに続き、GCC加盟国もすぐに合意の影響を受けました。なぜならサウジアラビアが各国の兄のような地位にあるからです。今日3つの興味深く驚くべき出来事が起きています。1つ目は、議会代表団のバハレーン訪問及びバハレーン当局の大使館再開に向けた関心です。2つ目は、クウェートがイランに送った水紛争の解決に関するメッセージです。3つ目の出来事は、イエメンとの紛争解決と和平に関する意向を表明したUAEに関するものです。

　これらはつまり、各国が相互理解や平和や地域的発展の主な障害がどこにあるのかを理解し、サウジアラビアと同じ方向に歩を進めようとしているということなのです。現在、米国は消極的でありイスラエルは国内問題に囚われています。このような環境において、域内諸国が紛争解決に向けてそうした方向性で進んでいくことは非常に良いことです。


−こうした合意はどのような分野で実施されるとお考えですか。

　合意は単に政治に留まらず、経済や安全保障、財政や貿易上の問題も含むでしょう。しかしポイントは、合意が1日で成立すると期待してはいけないということです。なぜなら、一部の問題は解決に時間を要する古傷のようなものだからです。イエメンやシリア、レバノンの内戦といった問題がこの類です。しかしながら、各国が自国の問題を解決する意思があり、中国のように誰からも信頼される保証人や調停者がいれば、将来的に良いことが起こるでしょう。


−ところであなたの考えでは、なぜシャムハーニー氏がこの件で責任を担っていると思いますか。

　我々はロウハーニー政権期にサウジアラビアと4度交渉を行いましたが、その際に問題となったのは主に安全保障関連の問題でした。なぜなら、安全保障上の問題が解決されない限り、安全保障上の合意内容を実行したり計画したりする政治の問題を解決することができないからです。シャムハーニー氏は国家安全保障最高評議会書記です。あらゆる戦略的問題や体制に関する巨視的な政策がこの評議会で審議され、それを外務省が執行しています。このため基本的で戦略的な安全保障問題が解決されない限り、政治的執行者である外務省は仕事を始めることができないのです。こうしたことから、今後は大使館の活動を再開させる上で外務省の役割が重要となることや、両国の外相が互いに会談を行うことが北京合意にも記されています。


−概して、こうした変化はイランと西側諸国の関係に影響を与えるとお考えですか？

　まず、この合意の利点はイランに対する西側の圧力が低下するであろうことです。なぜなら、彼らの最大かつ最重要な武器は制裁だったからです。イランが自国通貨で商取引を行うことができれば、多くの圧力は取り除かれることになるでしょう。イランは我々国民が東西の戦略的均衡を望んでいると国として確信しているのですが、しかしながら西側諸国は合意を破って依然続く我が国の内政への干渉を行い、反革命を支援しました。このように現在、西側諸国はイランと敵対し、イランの国益と安全に害を及ぼすあらゆる作戦を支持しています。このような状況においては、こうした合意や地域的コンセンサスは西側の圧力を確実に低下させるでしょう。

−（了）−