トルコ国内では最大、世界でも5番目の規模であるアルトヴィン県ユスフエリのユフスエリ・ダムは、日に日にその水位を上昇させている。
同地区ではすでに道路や橋は水底に沈み、廃墟となった建物もダムの水で覆われた。土地とのつながりを断たれたかつての集落の住民らは、この地区を離れる前に家財を避難させている。この集落は、152年の歴史の中で今回が七度目の移転となり悲壮感は大きい。地区住民の一人は「私たちの青春や思い出のすべてが、あと数日のうちに水の底に沈んでしまう」と話す。
ケメル・ダム級の深さ275メートルをほこり、トルコ最大、世界でも5番目に巨大なダムとなるユスフェリ・ダムで、ダム湖水位が100メートルを超え、道路や橋、廃墟となった建物が水底に沈んだ。かつての集落に住んでいた市民数千人を新市街中心部に移住させるプロセスも完了した。市民らが新天地に馴染もうと務める中、新たに水に浸かることになる高台の地域では大混乱が起こっている。市民らは、家に残された動物や家財を救出するため時間との戦いを繰り広げている。
■「新居に馴染めない」
レジェップ・バイラムさん、ネバハット・バイラムさん夫妻は、かつて暮らしていた家の屋根をはがそうと試みている。二人は新居に馴染めないという。ネバハット・バイラムさんは、「慣れないものです、アパートに住むのは。私たちの青春や思い出のすべてが、あと数日のうちに水の底に沈んでしまう。本当に悲しい」と話す。
■「恒久的な解決策が必要」
またアリ・スジュさんは、「私は15頭の牛を飼育している。自治体は牛舎を準備してくれたが、十分な規模ではない。水に浸かっていない集落にも牛舎にできる場所はない。恒久的な解決策を望んでいる」と述べた。
■「心が痛い」
アフメット・イイトさんは庭の木を伐採していた。イイトさんは、「心が痛い。どの木も私にとって思い出がある。 数日後にはこの木々も水底に沈んでしまう。私たちはこの大地の申し子だ、今はコンクリート造の家屋に住むことを余儀なくされている」と話した。
■「不平等が存在する」
さらにスュンビュル・タシュさんは、「我が家を失った。私たちのもともとの家は4つのフラットから構成されていたが、(立退きの際に)一軒分の権利しかもらえなかった。これは不平等だ。あらゆる家財があるのに、いきなり息子一家との同居を余儀なくされた。私たちは被害者であり、不平等を正してもらおうと取り組んでいる」と語った。
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翻訳者:原田星来
記事ID:55433