エルドアン、大統領府で32万人に演説「8500万人の勝利」
2023年05月28日付 Milliyet 紙
選挙に勝利した後、エルドアン大統領はアンカラのベシュテペで国民に呼びかけた。エルドアンは、「今日負けた者は誰もいない、8500万人全員が勝ったのだ。今こそ、国の目標、国の夢のもと団結し、一つになる時だ」と述べた。
大統領選挙決選投票後の非公式結果によると、選挙に勝利したエルドアン大統領はベシュテペで国民に呼びかけた。以下、エルドアンの演説:我々はトルコをとても愛している、この国が愛されないことがあるだろうか?我々は愛しているが、カンディルにいる者たちはそうではない、その関連団体もだ。しかし、我々は愛している、今の風景これこそが愛している者たちの風景だ、公式な数字では32万人が今ここにいる。
あなた方は民主同盟を困らせることも、見捨てることもしなかった。我々はこの道を共に歩み、昼夜問わず歩んだ。あなた方はこの職務をまた我々に託してくれた。我々が再び国を治める責務にふさわしいと判断してくれた国民一人ひとりに感謝の意を表する。
5月14日や5月28日にどの政党、どの候補者に投票したかにかかわらず、国内、海外で投票に行き自分の意志を貫いたすべての市民に感謝する。選挙が最も健全な形で行われるよう務めた公務員、選挙立会人、治安当局関係者に祝意を表する。多党政治史上、最も重要な選挙の一つで、国民はトルコの世紀を支持する決断を下した。
1回目投票で、国民はトルコ大国民議会議員の過半数を民主同盟に委ね、立法府における選択を明らかにした。今日の決選投票で大統領職における国民の選択も確定した。この結果に敬意を表する。勝ったのは我々だけではない、トルコが勝ったのだ。勝ったのはあらゆる層を持つ国そのものだ。我々はいつも、我々が勝利したらこの国の誰も負けることはないと言ってきた。同様に、我々が勝利したとき、唯一負けるのは、この国に関する汚いシナリオの持ち主と、彼らの道具であるテロ組織や高利貸しだと言ってきた。私は計算のエキスパートではない。だが、計算のエキスパートの計算には間違いがあるようだ。
■「8500万人全員が勝利」
今、ここからもう一度、同じ約束をする。今日負けた者は誰もいない。8500万人全員が勝ったのだ。国民が我々に託した責務として、誰に対しても気分を害したり、不快に思ったり、憤ったり、怒ったりすることはない。選挙期間中のあらゆる議論や諍いはさておき、国の目標、国の夢のもと団結し、一つになる時だ。我々はこの呼びかけを、口先だけではなく、心を込めて行っている。なぜなら、トルコの強さは8500万人が一つになることにあると知っているからだ。
■「得票率1%の政党に40議席」
2018年のCHP議席数は146だった。我々は計算をしているんだ。2023年の議席数は169だ。見ての通り増えている。しかし、これには雇われ議員がいる。40人が雇われ議員だ。得票率1%の政党に何をしたかというと、40人の雇われ議員を与えたのだ。数字はいくつに減ったかというと、129だ。146から129だ、どちらが大きい?あなた方は129が大きいとも、146から129に国会議員数を減らした方に「さあ [注:野党連合がキャッチコピーとする掛け声]」とも多分言えないだろう。今ならカンディルにいる者たちと、彼らを支援してビデオ撮影で「さあ」と言えるだろうが、国民は鵜呑みにしないし、信じなかった。議席は17減った。
■「正義は政府の財産の基礎」
兄弟たちは何と言っていた?セロ[注:セラハッティン・デミルタシュ]を自由にしたいなら私に投票しろと言っていた。私の愛する国民は何と言った?なぜなら、国民は良く知っている。ディヤルバクルでクルド人同胞51人を死なせたのは、このテロリストのセロだ。正義、権利、法が支配するトルコで、クルド人同胞51人を死に追いやったセロを思い通りに自由にすることはできない、ましてや我々の政府でこのような事が実現するのは不可能だ。正義は我々政府の財産の基礎であり、これを変えることはできない。
メンデレスが「もういい、発言は国民のもの」と言って新たな時代の扉を開いた1950年以降、我々が経験した数々の苦難から残ったものは、トルコのこの力が弱まったということだ。クーデターが行われたのはこのためだ。連合はこのために作られ、このために倒れた。我々の豊かさである起源や本質といった違いは、このために分離の理由にされようとした。我々が持っている巨大な経済的潜在力の実現は、このために妨げられたのだ。
■「今日は偉大なトルコの夢を実現させるプロセスが始まった日」
窮屈な拘束衣を着せて何年間も我々を苦しめてきた者たちが恐れているのは、今日我々がその知らせを告げるトルコの世紀が、いつか目の前に現れるということだ。今日がまさにその日だ。このために、あなた方は今日ここにいる。今日は、故メンデレスが命を捧げた民主主義と発展の動きが最高レベルに達する日だ。今日は、故オザルが最期まで追い求めた偉大なトルコの夢を実現させるプロセスが始まる日だ。
■「投票所は閉まり、電話の連鎖が始まった」
今日は、我々が21年間、この国にもたらした作品や国民へのサービスについて、トルコの世紀の朗報を伝える日だ。あなた方と一緒にこれをやっている、一緒にやってきたのだ。今日は、我が国民と、我々とともに未来を見据える友や兄弟の勝利と感謝の祈りが天に届く日だ。投票所は閉まり、電話の連鎖が始まった。湾岸諸国から英国、ロシアまで、各国が祝福の意を表明している。この祝福は明日も続くだろう。
あなた方は、誰が誰と一緒なのか、テロ組織から、逸脱した運動に至るまで誰が我々に対抗しているのか、汚いやり方を見ただろう。それなのにどうなった?幸いにも彼らは成功できなかった。この国民は苦境を経験するたびに、その本質がいかに頑丈か、先見や知性がいかに強いかを何度も証明してきた。だからこそ、トルコ国民の弱みを掴んだり、見つけようとする者は再び敗北するのだ。
前回の選挙で我々が目撃した事でさえ、国民の立派な態度を表していた。国民と我々の間の愛情の架け橋がこうやって強固である限り、乗り越えられない闘い、解決できない問題はない。神が私をこのような国の子として生んでくれたことに感謝する。栄光ある国民よ、親愛なる兄弟たちよ、選挙が終わった以上、我々はすべての時間やエネルギーを仕事や作品作り、サービスに注いでいく。世紀の大災害である2月6日の地震の傷を治し、崩壊した都市を再建し、人々の生活を復興することが、これからも我々の最優先事項だ。
■「インフレは下降する」
被災地に気持ちだけ寄り添うのではなく、ずっと手を差し伸べ続けていく。インフレによる物価高がもたらす問題の解決は、今後の喫緊の課題だ。これらを解決することは、我々にとって難しいことではない。私が首相在任中、金利を4.6,インフレを6.2に下げて、それを証明したのは我々ではなかったか?我々はこれを経験し、成し遂げたが、彼らにはこういった悩みはあるか?ない。
金利が8.5に引き下げられた。インフレも下がるだろう。彼らが我々と競うことは不可能だ。彼らはIMFの扉で見張りをするのだろう。兄弟よ。我々はダボスとの決別をどうやってスタートしたか?当時、ダボスではババジャンが私と一緒にいて、IMFのトップと会談していた。当時、我々には235億ドルの借金があった。私はIMFのトップに分割払いを受けるかと言ったら、受けると。だから、あなたはトルコの政治的運命に介入することはできない。トルコの首相は私だ。あなたはただ分割払いを受けるだけだ、それでどうなった?2013年まで続けて、最後の分割金を払った後、IMFとの関係は終わった。これが私たちだ。だが、このCHPは何と言っていた?「まだIMFから借り入れする必要がある」。それはあなた方のやる事であって、我々がやる事ではない。それから今日まで10年経ったが、我々はIMFから借り入れしていない。当時、中央銀行の外貨準備高は275億ドルだった。何やら、彼らはイギリスに行って3000億ドル持ってくるらしいが、イギリスは古銭もくれないだろう。高利貸しは誰に金を渡すかを良く知っている。
■「信頼と安定が非常に重要だ」
我々はしっかりとした足取りで前に進んでおり、これからも進んでいく。信頼と安定、この2つの概念は非常に重要で、これについて政界の仲間たちと話し合った。信頼と安定とともに進み続けていく。この2つの概念のもと、強力な経済運営を構築する。国際的に認知されている財政管理、資産と雇用重視の生産経済をデザインする。工業からエネルギーまで、あらゆる分野で増え続ける生産力がもたらす機会を、誰もが驚くような新たな躍進の原動力にする。黒海で天然ガスを発見し、1か月間天然ガスを無料で供給した。大統領府からのプレゼントとして25立方メートルの天然ガスを1年間市民に与えるという決定を発表した。今、ガバルでは石油が採れる。以前は、バイバイ・ケマルが親密な関係にあったテロリストがそこにコンクリートを流し込んだために石油を採掘できなかったが、今は採掘できている。
■「テロとの闘いが増える」
トルコ南部の安全保障上の脅威、テロ組織との闘いを強化し、政治や外交ルートをより効果的に運用する。つまり、多角的な取り組みで国境からそれらを遠ざけていく。バイバイ・ケマルの仲間は何と言っていた?「私たちはトルコ南部のテロ組織と協力する」。その上、南部の石油資源をそのテロリストらと分け合う一歩を踏み出した。カーミシュリーがその一つだ。野党連合と共同して動いていた。我々は、国民の要望である難民の自主的な帰還をこの政策の一部と捉えている。我が国にふさわしい手法で国民の期待に応えることは、我々の責務である。シリア領内の安全地帯に60万人近い人々の自主的な帰還を実現させた。現在、カタールと協力し、新住宅プロジェクトにより、数年以内に100万人の帰還を実現させる。
■「トルコの地位をさらに強化する」
我々は、我が国に百年の功績をもたらした分野で、さらに水準を高めていく一歩を踏み出し、進み続けていく。我が国の状況や若者の期待に応えるような取り組みを展開し、継続していく。同様に医療においても、世界が模範とするインフラや保険制度をさらに発展させ、拡大していく。開発の基本的なインフラである輸送やエネルギーへの投資をグローバルレベルに引き上げることで、トルコの地位をさらに強化していく。プーチン氏は祝福メッセージで、トルコ、すなわちトラキアがハブとなるべきだと繰り返し述べている。我々は、彼らとともにこの一歩を踏み出す。トラキアはハブとなるのだ。
我々の産業、特に防衛産業のブランド価値を高めていく。農業や畜産業における投入価格を引き下げ、生産者の所得を増やすシステムを導入する。サービス業の主な収入源である観光の勢いを維持していく。社会福祉と支援制度を、国民が誰一人として孤立しないようなレベルにまで向上させる。
■イスタンブル征服を祝う
これからの時代一瞬一瞬を、トルコの世紀にふさわしい作品、サービスで活かしていく。明日で570周年を迎えるイスタンブル征服は、一つの時代を開き、一つの時代を閉じた。570年前のこの征服を、我々のイスタンブルで祝福する。指揮官、兵士はどんなに幸運か。あなた方をこの祖先の子孫として目の前にしていることを願っている。私は、あなた方を誇りに思い、あなた方を信じ、あなた方を信頼している。あなた方が今回の選挙を始まりとみなすトルコの世紀が、歴史の転換点になることを願っている。
昨日、トルコは我々に、我々はトルコと国民に託されていると言ったが、負託を守ってくれた皆様方に心から感謝申し上げる。一人ひとりの、言葉に尽くせないほどの愛、熱意、忠誠に感謝している。この地を我々の祖国にするために犠牲となった全ての殉職者を、慈悲をもって追悼する。7月15日の夜、戦士の地で独立のために瞬きもせずに死んでいった殉職者を、謹んで追悼する。殉職者の手を渡って届けられた聖なる旗が地面に落ちないことを、あなた方が再び見せてくれたことに感謝する。私たちに新たな勝利を再びもたらした国民が永らえるように。トルコの世紀を祝福する。偉大なトルコの勝利を祝福する。
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翻訳者:安井 悠
記事ID:55682