〜ダイヤル123〔児童虐待、DVなどの問題に対し、専門家が対応するホットライン〕には1万件もの児童虐待の事例が寄せられている/なかには子供が電話して、「今、お母さんが服を着させてくれない」と相談するケースもある/専門家と専用車両の深刻な不足〜
(続き)
〔123という〕3つの数字のホットラインは多くの人々に認識されていない/子供たちも多く連絡をしてくる
社会SOSが活動を開始して以来22年が経過したが、まだ多くの市民はこの活動になじみがなく、その存在を知った時にはとても驚くのである。多くの子どもや若者も、この123という番号は身の危険を感じたり不安を感じたりしたときにかける番号であるということを知らないのである。
アルザーニヤーン氏は、社会SOSの社会での認知度に関し次のように述べた。「近年、福祉機構やメディアが社会SOSのサービスについて対象となる人々に広く広報したことで、当サービスについての認知度は向上してきていますが、多くの人々や組織に知られているわけではなく、より一層の広報活動が必要です。そしてさらに、対象となる人々へのより充実したサービス提供のため、社会SOSの現在の活動領域の拡大もまた必要となっています」。
同氏はまた、多くの相談が子供本人から寄せられているということも付け加えている。その子供たちは、電話で相談しては児童虐待について報告している。しかし、中には本当は児童虐待には当たらないケースもある。両親から虐待を受けたと思い込んでいるケースだ。例えば、7歳の子どもが〔社会SOSに〕相談してきて、宿題をするように母親に強要され、またそれをもっと早く終わらせるように言ってくると打ち明けるケース。また自分の母親が服の色を決めさせてくれないと相談されたこともある。〔このようなケースで、〕両親がより意識的に、より上手にふるまえば、子供との関係について新しい活路が見いだせ、また当の子どもたちも、児童虐待についての考えを変えることになるだろう。例えば、母親が2色の服、あるいは2組の服を子供に持ってきて、どちらか1つを選ぶように言うこともできる。それで子供が自分に選ぶ権利があるとわかれば、母から虐待されているという考えには至らないのだ。
アルザーニヤーン氏はさらに、7歳未満の子供に社会SOSのような機関について知らせる方法について、次のように説明した。「テヘラン州の学校や保育園では、社会SOSやその役割について園児や児童に知らせているところもあります。こうすることで子供たちは、自らの権利や頭に残りやすい番号であるダイヤル123について知るようになります」。
専門家及びダイヤル123専用車両の深刻な不足
テヘラン州福祉局社会問題担当副局長は本紙のインタヴューで専門家やダイヤル123専用車両の不足が深刻であることにもふれ、次のように述べた。「社会SOSが現在保有する専用車両の数は、テヘラン州が必要とする台数に達しておらず、さらに、この州における社会的な被害の日を追っての増加、新しいタイプの被害の広がり、またテヘランの人口の多さや交通渋滞を考慮に入れると、テヘラン州社会SOSは少なくとも現在の2倍の専用車両を保有することが必要です。残念なことにテヘランの交通渋滞は多くの問題を引き起こしており、ダイヤル123のバンが事件の発生した現場や介入の必要な場所へ達するまでに長い間道路上に滞留せざるを得ず、結果として1日の任務遂行件数が少なくなってしまっています」。
アルザーニヤーン氏は、社会SOSのダイヤル123は24時間稼働しているとしつつ、その人材不足にも言及し次のように述べている。「毎年ある一定数の職員が退職しますが、その人たちを引き継ぐ新戦力は補充されません。従って人材不足が生じることは当然であり、それを増やすことは必要です。もちろん専門家の増員は、社会SOSの目標と計画の一つです」。
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