ロシア、北キプロス共和国で領事館、開設
2023年08月09日付 Cumhuriyet 紙
TASS通信は、ロシア政府が北キプロス・トルコ共和国に住む5万人以上のロシア人へ、近く領事サービスを始めると発表した。北キプロス・トルコ共和国当局者は、ロシア政府のこの措置は、ロシアが北キプロス・トルコ共和国を承認することを意味するものではないとしている。
TASS通信は、南キプロスのロシア大使館が、近く北キプロス・トルコ共和国で領事サービスを始めると発表した。TASS通信の記者は、大使館の代表者の話を元に報道した。
通信社は大使館の情報元が、「我々はごく近い将来、ニコシアの北部で領事サービスを提供し始める。」と述べたと報じている。
TASS通信へ情報を提供した大使館代表者は、北キプロス・トルコ共和国ではアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、そしてイタリアなどの国々の外交使節団が何年間も置かれ、領事問題を解決してきたことに言及した。
通信社は、北キプロス・トルコ共和国では現在5万人を超えるロシア人が暮らしていると推定されると付け加えた。
北キプロス・トルコ共和国当局者は、ロシア政府のこの措置は、ロシアが北キプロス・トルコ共和国を承認することを意味するものではないとしている。
■決定に関するエルシン・タタル大統領の声明
北キプロス・トルコ共和国のエルシン・タタル大統領は、同国でロシアが領事館を開設するという決定に対してCNNトルコの放送でコメントした。タタル大統領は、「現時点で確実ではなく、どこでどのように開設されるかも定かではないが、ロシアはそのような構想を持っている。両国の外相が会談をしている。」と述べた。タタル大統領は、「今やだれもがキプロスでは2つの別々の国家、政府があると認識している。私の国民、私の土地は異なるものである…」と述べた。
タタル大統領は声明を次のように続けた:
ここは2つの異なる民族、異なる政府である。たくさんのロシア人がいることは明確だ。特にウクライナの戦争の後に行き来する人が増えた。我々は、彼らの要求に対してこのような構想があることを知っている。
我々は、このような措置は前向きなものになるだろうと思っている。確実ではないが、このような取り組みがある。ここにはアメリカやイギリスのオフィスもある。
南キプロスとロシアは良好な関係にあり、両国とも正教会の信仰を持っている。両国は北キプロスとはもう少し距離を取っていたが、トルコとロシアの関係やウクライナ戦争によって課されたいくつかの制裁は、ロシアのこの決定に影響を与えた。現時点で、我々を承認していないが、現場を見れば、2つの別々の政府、国家が存在している。
キプロスで1つの解決策があるとしたら、2つの別々の主権国家があるということだ。今や誰もがキプロスで2つの国家があることを知っている。
■エルドアン大統領が直接渡航
トルコは最近、北キプロス・トルコ共和国を承認するよう世界へ呼びかけている。1974年の夏に実施されたキプロス作戦の49周年が、先月北キプロス・トルコ共和国で祝われた。レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領を乗せた飛行機がアラブ首長国連邦を離陸し、直接キプロス・トルコ共和国のエルジャン空港へ着陸したことは、大きな波紋を呼んだ。エルドアン大統領は、ニコシアからの声明で再び承認を強調した。
アメリカのAP通信は、「トルコ共和国大統領はキプロス和平交渉の再開を否定せず、二国家観を支持」という見出しと共に、作戦の記念日にニュースを報じた。AP通信はエルドアン大統領がキプロスのトルコ人に独自の政府を与えないいかなる協定を再び拒否したことを報じ、この立場が国連の観点とは異なっていると記した。
AP通信は、エルドアン大統領が南キプロス出身のギリシャ人のギリシャ語とトルコ語圏が含まれる連邦の形成への望みに冷水を浴びせたとコメントし、数十年にわたる失敗の結果である合意の後、トルコ人たちは2017年に見られた方針の転換に言及した。この日から今まで、AP通信は、トルコ政府とニコシアが二国家の解決策を支持していると報じ、ギリシャ人はEUの仲介で、合意を以前の形式へ戻そうと努力していると述べた。
AP通信はまた、キプロスにおいて二者間で可能な和平合意が、豊富な天然ガス埋蔵量を持つ東地中海の安定の前に立ちはだかる数十年にわたる障害を取り除き、NATOの南東側を支援することになるだろうとコメントしている。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
翻訳者:伊永勇人
記事ID:56110