サウジでガザ・サミット、エルドアン大統領「前例のない野蛮な行為」

2023年11月11日付 Hurriyet 紙

レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領はサウジアラビアの首都リヤドで行われた「イスラム協力機構およびアラブ連盟臨時合同サミット」で発表を行った。
エルドアン大統領は「10月7日以降、ガザとラマッラーで起きていることは説明しきれないほどのことだ。病院、礼拝所、学校、難民キャンプ、救急車が爆撃され、安全とされる地域に移動した一般市民が虐殺される、歴史上前例のないほど野蛮な行為に我々は直面している。」と述べた。
エルドアン大統領は「現在の最優先事項は停戦させることと人道支援が絶え間なく届くことである。早急に必要なことは数時間の停止ではなく、恒久的な停戦である。国連パレスチナ特別報告者のフランチェスカ・アルバネーゼ氏は攻撃を4時間停止するというイスラエルの決定はふざけていて非人道的であると主張している。我々も件の決定を同様に受け止めている。」と述べた。


エルドアン大統領の発表の要点は下記の通りだ。

「この会議がパレスチナ人の同胞と全イスラム世界にとって有益なものとなるよう願う。今日のサミットでイスラム世界として我々とパレスチナの人々との団結はより明確なかたちで表われている。我々は与えた団結のメッセージを受け取り、実行に移し、より強固なものにしていく。10月7日以降、ガザとラマッラーで起きていることは説明しきれないほどのことだ。病院、礼拝所、学校、難民キャンプ、救急車が爆撃され、安全とされる地域に移動した一般市民が虐殺される、歴史上前例のないほど野蛮な行為に我々は直面している。病院の廊下に延々と並んだ、罪のない遺体は子どもたちだ。愛して臭いをかぐことをこらえきれず、子どもたちを抱きしめながら死んだ母親たちだ。瓦礫の山となった建物の中で、自ら家族を探した父親たちだ。つまり、直接民間人を標的にした攻撃で亡くなってしまった人命は、36日間に渡る残忍な行為の証拠だ。

■「西欧の沈黙は恥ずべきことだ」

イスラエル政府は我々の多くが正当だと思わない、10月7日の事件の報復をガザの赤ん坊や、パレスチナの罪のない子供たちや女性に行っている。我々には、住民たちを守っているハマス所属の抵抗勢力と占領者が同罪だとは思えない。イスラエル軍や占拠する入植者たちの攻撃によってヨルダン川西岸の同胞にも悪い影響が及んでいる。国連によればガザとラマッラーで虐殺された12000人近くのパレスチナ人のうち、73%は女性と子供だ。この狂気の状況を擁護したり、正当化したりできるものは何もない。人権と自由を謳い続けている西欧諸国がパレスチナで続く殺戮については沈黙を守るのは恥ずべきことだ。

ガザで12000人近い人々が死亡し、ガザのほぼすべてが破壊されたが、この国々はイスラエルに停戦を要請すらしていない、できないのだ。約20人が死亡したシャルリエブド事件では世界の政府首脳や国家主導者がパリでデモ行進を行った一方で、12000人を超える人が今ガザで死んでいるのに、彼らの誰も動かない。これはただ無力なのではなく、臆病で非情だからだ。弾圧に対して黙り込んだ人々は、最低の弾圧者と同じ流血の共犯者だ。アメリカと西欧諸国はおそらく己の支持する価値観をイスラエル政府の野心のために犠牲にしたのだ。

国連総会で121票の賛成で可決した決定はイスラエルとその支援者がどれほど孤立しているかを表している。世界のあらゆる場所でイスラエルの殺戮に反対する声が高まっていることは、人道的な観点で希望があると感じる。イスラエルを支持する諸国がこの叫びに耳を貸すことを期待している。兄弟たち。イスラム世界は、今回は他の危機とは異なり、より団結し協調する姿勢を見せている。我々のように衝突を止め、人道支援を地域に届けるために尽力する他の国々にもこの場で特別に感謝を申し上げる。エジプトの同胞たちと協力して、我々はガザに届ける航空機10機分の人道支援物資を(エジプトの)アリーシ空港に向けて送り出した。10日、合計666トンの人道支援物資を運ぶ民間船が出航した。おそらく11日にアリーシ港に到着するだろう。我々はがん患者や子供をはじめとする負傷者たちの治療のために活動を続けている。

■「恒久的な停戦の実現」

我々は11月15日に私の妻の支援で、政府首脳や国家指導者たちの奥方たちが参加してイスタンブルで開催される会談の準備を続けている。
現在の最優先事項は停戦させることと人道支援が絶え間なく届くことである。早急に必要なことは数時間の停止ではなく、恒久的な停戦である。国連パレスチナ特別報告者のフランチェスカ・アルバネーゼ氏は攻撃を4時間停止するというイスラエルの決定はふざけていて非人道的であると主張している。我々も件の決定を同様に受け止めている。また人道支援は絶え間なく持続的に実現されなければならない。病院をはじめとする緊急に必要な場所に液体燃料を届けることは極めて重要だ。国連人道問題調整事務所の報道官は、援助のトラックが到着しないガザ北部を地獄だと形容している。

■「核兵器の問題を調査する必要がある」

組織に加盟する国々は皆、エジプトの同胞に必要な支援をしよう。レファ国境ゲートを常に開いておく必要がある。我々はイスラエルの企てた戦争と人道犯罪の清算を法的に解決するためにも尽力しなければならない。国連人権理事会及び国際刑事裁判所によって捜査しなければならないし、責任者について必要な手続きを始めなければならない。同様に、イスラエル閣僚が所在を認めている核兵器の問題を調査しなければならないし、国際原子力機関の監査を逃れている核兵器があれば必ず明らかにしなければならない。
我々の地域だけでなく、全ての人間性の存続が脅かされる可能性があるこのことが実現してしまうのを看過してはならない。
もう一方の重大な問題は補償についてだ。イスラエルが毎回エスカレートしていく要因とは、虐殺して土地を占領し、焼き、破壊し、蹂躙した人々に与えた損害を補償しないことだ。西欧の甘やかされた子供のように振る舞うイスラエル政府は自ら起こした損害を補償する義務がある。これが実現されるまで、イスラム世界として絶対にパレスチナの同胞を放置して救いがないままにはしておけない。ガザが再興するために、イスラム協力機構内で基金を設立する必要があると考えている。トルコはガザの建設や修復にあらゆる支援を惜しまないと伝えておきたい。この危機をパレスチナ問題の恒久的解決の中核とすることが重要だ。パレスチナ問題を無視したままでは、地域の正常化への取り組みは失敗する運命にある。

■「恒久的解決とはパレスチナ政府の設立」

抜本的な恒久的解決とは根本の原因を取り除くことだ。これは1967年国境の時の首都、東エルサレムに主権と国土の一体性をもつパレスチナ政府を設立することで可能だ。議題に挙がった、国際平和会議がこのための最適な基盤を提供すると確信している。パレスチナ人の同胞の安全を保障する新たな仕組みが必要だろう。我々にはここで確立する平和を守るため、保証人となることを含めて取り組む準備がある。恒久的平和はパレスチナ人だけでなく、イスラエルの人々をはじめすべての地域の平穏と健康をもたらす。

■「エルサレムは譲れない一線だ」

尊き同胞たち。最初のキブラ(祈りの方角)であるアルアクサー・モスクがあるハラム・シャリーフの聖性と歴史的現状の侵犯に対して警戒しなければならない。イスラエルは事態を利用してハラム・シャリーフに向けて既成事実を作る可能性が高い。トルコを含む地域の多くの国の領土の一体性を脅かし、約束の地の妄想について言及していることがその最も明らかな証拠である。私が常に言ってきたように、エルサレムは我々の譲れない一線だ。平和の都といわれるエルサレムと全パレスチナ領土がかつてのように戻ることが我々全員の望みだ。
パレスチナの同胞が互いを隔てるものを乗り越え、団結と協力のなかで権利を守ることを願っている。神の助けがあるように祈っている。この考えをもって私のスピーチの結びとし、パレスチナで犠牲になった同胞たちを慈悲とともに思い出し、負傷者の早急な救助を願う。」


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翻訳者:伊藤梓子
記事ID:56697