アンタリヤ海岸の遺体の謎、判明

2024年01月23日付 Hurriyet 紙

アンタリヤは、1月17日以来、バラバラ遺体の謎に震えあがっている。最高級ホテルに面した海岸に打ち上げられた遺体の数は昨日(22日)時点で8人に上った。服装や靴から、遺体は希望叶わず海に沈んだ難民のものであるとみられる。アンタリヤ県の発表によると、12月11日にレバノンとシリアの国境付近を出発した90人を乗せた難民ボートの乗員であることが明らかになった。先週(14日から20日)を襲った強風と高波が、人知れず亡くなったこの人々の悲劇をアンタリヤの海岸に引き上げた。

観光地アンタリヤは、1月17日(水)朝、軍警察と警察への、頭部が無い遺体発見の通報によって、ホラー映画の様相を呈した。遺体はマナヴガト区チェンゲル街区の海岸で発見され、身元確認のため熱心な調査が開始された。また、1月20日には約40キロ離れたデニズケント街区で新たに性別不明の遺体が発見された。

■行方不明のメルヴェさんか

軍警察と沿岸警備隊が警戒体制を敷く中、セリク区、マナヴガト区、アランヤ区にまたがる海岸線で73キロにわたって、4日間で5人の遺体が発見された。捜索活動が急がれる中、6人目の遺体がセリク区カドリイェ街区の海岸で見つかった。捜査関係者は、この遺体が14日前に行方不明となった大学生、メルヴェ・シェヴヴァル・エルマスさん(18)である可能性があるとして、家族からDNA情報の提供を受けていた。 

■ホテルの従業員が発見

セリク区カドリイェ街区のホテルに面した海岸で、昨日(22日)新たに2人の遺体が発見された。ホテルの従業員からの通報で警察が現場に駆け付けた。捜査後、遺体はアンタリヤ法医学研究所に移送された。海岸に打ち上げられた遺体の数は8人に上り、ホラー映画さながらの状況は、アンタリヤ全域の関心を引いた。

■衣服はシリア製

SNS上で様々な説が飛び交う中、アンタリヤ県は、海岸に打ち上げられた遺体の1人が行方不明となっていたメルヴェさんであること、他の遺体が身に着けていた衣服と靴がシリア製であることを公表した。

■90人が乗ったボートが行方不明

県の担当者は、在アンカラ・レバノン大使館から、12月11日に約90人を乗せたボートがレバノンとシリアの国境付近の海岸からキプロスに向けて出発し、数時間後にボートとの通信が途絶え、ボートが遭難したとの情報提供を受けたことを明かした。担当者は、「ここ1週間の気象状況から、強い南の風と南東からの波が襲ったことが推定され、沈没したボートの乗員の遺体が、風と波によって当県の海岸に運ばれたものとみられる」と話した。

■知事「大きな悲劇」

アンタリヤ県のフルスィ・シャヒン知事は本紙に対し、「法医学研究所による結論は出ていないが、遺体のうち7人が身に着けていた靴と衣服がシリア製であると特定された。これは大きな悲劇だ。他国や他県においても、いくつかの遺体が岸に流れ着いたとの情報を得ている」と述べた。

アリ・イェルリカヤ内相は、X(旧Twitter)の投稿で、遺体のうち1人がメルヴェ・シェヴヴァル・エルマスさんと特定されたことを明かし、他の遺体については、地中海に沈んだ約90人を乗せた難民ボートの乗員であること、ムーラ県で見つかった1遺体は1月6日に同県クルトオール岬の沿岸で遭難した3人の不法移民のうちの1人である可能性があることを明かした。マナヴガト区のシュクル・ソゼン区長は、「我々の得た情報では、これらの遺体は難民のものだとみられる」と述べた。

■国際的捜査に

本紙が得た情報によると、内務省と外務省の担当者による捜査が行われるほか、法医学研究所の結論を待って、シリア、レバノン、キプロスに情報が共有される。

■街区長ら「ホラー映画のよう」 

マナヴガト区チェンゲル街区のネヴザト・ギュンデュズ街区長は、「最初の遺体は当街区の海岸に打ち上げられた」と話した。デニズケント街区のアブドゥルラフマン・エルドアン街区長は、「海岸に打ち上げられた遺体は体のすべてが無かった。ただ骨だけが、それが人であったことを告げていた。私も見たが、本当にホラー映画のようだった」と語った。

■不幸にも私の愛娘が

メルヴェ・シェヴヴァル・エルマスさんは、アンタリヤで1月4日から行方不明となっていた。メルヴェさんの父オスマン・エルマスさんが提供したDNA情報に基づき鑑定が行われ、見つかった遺体がメルヴェさんと判明した。悲嘆に暮れるオスマンさんは、「不幸にも愛娘が亡くなった。捜査が終われば墓に移したいと思う」と話した。メルヴェさんの遺体は、イスタンブルに埋葬される。

■またムーラ市の海岸に

ムーラ市キョイジェイズ区エキンジクで、新たに腕1本が欠けた女性の遺体が見つかった。遺体は、昨日(22日)未明2時ごろ、入り江に打ち上げられているところを漁師が発見した。通報を受け、沿岸警備隊と軍警察のチームが派遣された。女性の遺体は潜水士によって引き上げられ、司法解剖のためムーラ法医学研究所に送られた。この遺体は不法移民のものであるとみられ、身元の特定が始まった。

■北キプロスでは9日間で2人の遺体

アンタリヤの海岸で続けざまに遺体が発見されたことで、難民ボートが沈没した可能性が明らかになり、北キプロスで発見された遺体との関連が注目されている。警察の報告によると、北キプロスの海岸ではここ9日間で2人の遺体が発見されている。転覆した難民ボートの乗員とみられる遺体は、長年キプロス沿岸で発見されている。難民ボートの多くはレバノンとシリアを出発地としており、一部はトルコの海岸から出発している。難民ボートの目的地はEU加盟国の南キプロスだ。北キプロスでは19日、完全に腐敗した女性の遺体が見つかった。遺体は北キプロスのカルパス半島南の海岸で発見され、キプロス島の北に位置するアンタリヤで発見された遺体との関連は薄いとみられている。また、別の遺体が1月14日にアンタリヤとメルスィンの対岸に位置するカルパス半島北のイェシルキョイ地区の海岸で見つかった。この遺体は男性であると判明した。


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翻訳者:麻生充仁
記事ID:57190