地方選挙まであと20日―最新アンケート結果

2024年03月10日付 Milliyet 紙

SONAR研究所のハーカン・バイラクチュ所長は、選挙をひかえた地域では投票日前の15日間が非常に重要だと述べた。同氏によればそうした県にはイスタンブルとムーラも含まれ、「一点差で勝敗が決まることがあり得る。ある世論調査ではイマムオール候補と答えた人が多かったが、次点とのリードは10人だった。この15日間は非常に重要。何かが起こると、何もかもが変わる」と話した。

地方選まで残すところあと20日、SONAR研究所のハーカン・バイラクチュ所長がMillet紙の質問に答えた。特に選挙結果への影響因子に関するアンケート調査結果に対し、誰もが気になる次のような問いに回答した。

(質問)一昔前の選挙では「鍋」(貧困対策)が重要でしたが、最近は国家安全保障や地震が優先されていると言えるのでしょうか?

(回答)
何を優先するかについては議論の余地がある。とはいえ「鍋」も国家安全保障も地震もすべて、今回の選挙では重要になる。公正発展党(AKP)は、生活費高騰や年金問題で部分的とはいえ票を失うが、国家安全保障政策で票を伸ばすだろう。地震に関しては、どの党も得るものと失うものがある。しかし、今回の選挙で結果を左右するのは「鍋」でも国家安全保障でもないだろう。

■ニ県で接戦

(質問)選挙における最後の15日間の重要性とは?

(回答)接戦している県では最後の15日間が重要。それはイスタンブルとムーラ県だ。この二県にとって最後の15日間は非常に重要で、1点で勝敗が決まる。ある世論調査でイマムオール氏が数ポイントリードしていても、いくつかの世論調査では調査対象人数によって違いが出た。ある調査では10人差でイマムオール氏がリードしていた。こうしたことがあるので最後の15日間は非常に重要だ。つまり何かが起これば、すべてがひっくり返る。たとえば以前、共和人民党(CHP)候補者が、「うちのドアは誰でも入れるが、緑の左派党(DEM)の党員は入れない」と述べたことでイマムオール氏は出鼻を挫かれ、最終的に同氏は発言者を叱責した。ここまで厳格だとマイナス面も出てくるだろう。すでにDEMから4~4.5票(点)をあつめている。一方、AKPに反対するナショナリストや国家主義者の投票からも票を集めている。この発言は多かれ少なかれ「(DEM党員は)来るな」という意味だ。このような発言がもう一度あれば0.5 点ないし1点を差し出すことになる。

■女性支持なし

(質問)女性の団結は女性候補者に影響を与えますか?

(回答)期待したほどの支持はない。たしかに奇妙なことだが、重大な影響はないだろう。なんなら女性が自身の支持する政党・候補者を応援するのではなく、彼女らが女性候補者を支持するなら政党側もそれに影響を受けて候補者を決めるのではないかと私は長らく考えている。

(質問)一部の県・郡では、時代とともに人口構造が変化しているにもかかわらず常に同じ政党が勝利しています。たとえばイズミル県は毎年移民を受け入れているのに選挙では常に同じ政党が勝ちます。この理由は何でしょうか?

(回答)各都市の社会経済的・社会政治的構造は、新たにその地域に移り住む人々をも、その土地独自の方向性へと導き、影響を与えている。たとえばコンヤ県の伝統的な保守構造がこれにあたり、この県への移住が一定のサイクルで形成されるかぎり、新たな移住者をこの構造の中に取り込んでいる。

(質問)今回の選挙に対し「選挙らしい雰囲気がない」という声も聞こえてきます。この原因として選挙が有権者を疲弊させているということがありえるでしょうか?

(回答)おっしゃるとおり、そうかもしれない。ただしもう一つの原因も忘れてはならない。政権与党に投票した人々も野党に投票した人々も、22年間ものあいだ結果が変わらず、あらゆる選挙戦でエルドアン率いる陣営が勝利するのを目の当たりにした。こうした状況で野党支持者のなかに絶望感が生まれた。政権支持者にとっては懸念材料の払しょくにつながっているが、そのことが有権者のあいだで退屈さを生み出した。

(質問)投票者はどの程度正直にアンケートに回答したのでしょうか?

(回答)彼らはおおむね正直だ。実際、彼らが正直でなければSONAR研究所が過去三度の選挙(結果)をミリ単位の精度で的中させることはできなかった。とはいえ回答者の約10%は多様な理由により自らの意見を十分に表明しない。

(質問)有権者に対し、地域の同調圧力はありますか?

(回答)特にこの10 年間、我々は地域の圧力がほとんど影響をもたないということを目の当たりにしてきた。そしてこのような状況で、ソーシャルメディア、インターネット、テレビが大きな影響力をもってきた。特に若い世代がいかにソーシャルメディアを通して世界を見ていることか。この状況はテクノロジーを利用できるあらゆる年齢層に当てはまる。

■両候補の強みと弱み

(質問)イマムオールとクルムの強みは何だと思いますか?

みとめられる傾向として、有権者が、イマムオール氏に様々な政治的アイデンティティを投影しているということが言える。「CHPを設計した男」とか、「エルドアンに対抗しうるリーダー候補者」といったようなアイデンティティである。イマムオール氏が勝つかどうかはさておき、イスタンブルの有権者はそのような評価をあたえている。こうしたイマムオール氏のポジションに対し、AKPをイマムオールと互角に戦わせているのがムラト・クルム氏である。

クルム氏のかわりに別の候補者が立ったとしたら、イマムオール氏は確実に4~5点の差をつけただろう。クルム氏は政治(的駆け引き)に立ち入っていない、そしてこのことを一部AKP党員は批判している。彼は自分がなすべき具体的政策について説明している。 イスタンブルではAKPにとって最善のアプローチだ。さらにクルム氏は実務的そして官僚としてのアイデンティティも際立っている。物静かなことも強みだ。

(質問)弱みは何だと思いますか?

イマムオール氏は必要以上にDEMに対し差をつけていると誇示している。これも得られるはずの票を妨げている。 クルム氏に関しては、壇上での声のトーンがいつも一定。躍動感がない。

■地方選では候補者が重要

(質問)有権者は自分が支持する政党が勝つようにと思って、(候補者を)選択をするのでしょうか、それとも自分が支持しない政党を勝たせないために選択をするのでしょうか?

(回答)市町村選挙では、有権者の3分の1が候補者をみて投票する。もちろんあなたがおっしゃる要素はどちらも判断として成立する。しかし特に地方選挙では名前(候補者)が非常に重要となる。もちろん政党も重要だ。「嫌いな政党を勝たせない」ために投票する人は、ごく一部である。

過去40年間、地方選では候補者をみて投票する傾向が徐々に高まってきた。過去二度の地方選ではこの割合が30%に近づいたほどに。これが30~40年前なら地方選の有権者は間違いなく政党をみて投票していた。今回の選挙では候補者の人となりをみて投票する人の割合は35%を超えるだろうと考えている。

■ポスターもSNSも同じくらい必要

(質問)支持先が固まっていない有権者に効果的なのは旧来型の選挙運動でしょうか、それとも最新テクノロジーを伴うソーシャルメディアでしょうか?

(回答)もちろん新たなテクノロジーを用いたソーシャルメディアや生配信ベースのキャンペーンは効果的だ。だが従来のキャンペーンをなくすことはありえない。たとえば公開討論会(大集会)を開かなければ党の指導者らにとっては「表に出てこない」という印象がつく。あるいはポスターがなければ、党団体に対して「運動していない」という印象を与えてしまう。どちらも利用する必要がある。それぞれ背景の異なる効果を持ち続けている。

(質問)Z世代にとってソーシャルメディアの役割は何ですか?

Z世代にとってソーシャルメディアは非常に影響が大きい。親や経済状況から受ける影響もあり続けるが、ソーシャルメディアの影響力はかつてないほど高まっている。若者の意識は、個々人同士の相互の影響と同程度にはソーシャルメディアによって形成されている。


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翻訳者:原田星来
記事ID:57498