公正発展党の中央執行委員会は昨日エルドアン大統領を議長役として招集され、敗北原因を議題とした。
2019年の統一地方選挙ではしっかりとした評価が実施されなかった。今回の選挙の結果は単なる数として見てはならず、政治的な分析も行われるよう望む。
公正発展党の敗北について主たる3項目を以下のように挙げる。
1- 経済的困窮
2- 年金受給者たち
3- 候補者選定上の誤り
◾️投票棄権者たちは公正発展党支持者なのか
我が国の選挙の投票率は常に高い。平均して85%の投票率が実現している。今回の選挙はというと、選挙参加率は下落した。78%の参加率であった。380万人の有権者が投票を棄権したと推定される。共和人民党の得票は1300万票から1700万票へと増加したため、共和人民党支持者は投票所へ足を運んだと思われる。この党は最大野党であるため、トルコ労働者党と善良党支持者は共和人民党に集中したようだ。共和人民党は、人民の平等と民主主義の党からも強力な援助を受けた。人民の平等と民主主義の党候補者らは同党選出者ゼロの危機にも関わらず、イスタンブルでは共和人民党を支持したとみられる。
◾️公正発展党支持者
公正発展党は票を失ったため、投票棄権した380万人の有権者の行方は明白である。では、公正発展党支持者の大部分はなぜ投票をしなかったのだろうか。
もちろんこの点は調査されるだろう。しかしまず挙げられるのは、経済的困窮・候補者選定上の誤り・年金受給者の受給額、という要因によって公正発展党支持者らは投票に行かなかったという点である。他党へ投票しないが、投票所へも行かないという心持ちによる行動であろう。もちろん新福祉党へ向かった有権者は除外している。
◾️年金受給者へ増額が行われていれば
では、エルドアン大統領が年金受給者らの要求に注意を向け、等しく増額を公表したならどうなったのだろうか。少なくともこれ程の結果にはならなかっただろう。
◾️共和人民党はどのようにして勝利したのか
共和人民党が選挙で勝利した主な3項目は以下の通りだ。
1- 有権者らは経済的困窮を政権に警告しようとした
2- 年金受給者らが期待した年金増額が行われないと、政権を罰しようと共和人民党の方を向いた
3- 共和人民党は野党側の受け皿になることに成功し、トルコ労働者党、善良党、人民の平等と民主主義の党の票が共和人民党のもとに集まった
政治解説者はこの3項目に共和人民党の変化、つまりケマル・クルチダルオール[前党首]の不在を加えているが、エクレム・イマムオール[イスタンブル市長]とマンスール・ヤバシュ[アンカラ市長]という要素も追加したい。
有権者の選択を理解するには大規模な分析は必要ない。有権者がどんな理由があって政権へ投票しなかったにしろ、それと同じ理由で共和人民党へ投票したのだと思われる。ことはそれほど明瞭なのである。
◾️ヴァンでの選挙に関する決定の政治的結果
裁判所が政治に関して下した決定は単なる法的な結果ではない。政治に直接影響しているのである。
ヴァン県選挙委員会がアブドゥッラー・ゼイダン[ヴァン市長候補]に関し下した決定のことを指している。アブドゥッラー・ゼイダンは、テロ組織クルディスタン労働者党(PKK)のプロパガンダを行ったことで実刑判決を受けた。ゼイダンは「PKKは皆さんに報いを受けさせる」と主張した人物である。
アブドゥッラー・ゼイダンに関して、ディヤルバクル第5重罪刑事裁判所が下した相反する二つの決定、及びこれを受けたヴァン県選挙委員会が下した決定は、混乱を呼び起こすものとなった。
◾️最初の決定
アブドゥッラー・ゼイダンに関して、テロのプロパガンダを理由に[2021年にディヤルバクル第5重罪刑事裁判所によって]下された3年1カ月と15日間の禁固刑は、最高裁判所第三刑事局によって2022年12月20日に承認される。これを受けて、弁護士らはアブドゥッラー・ゼイダンが2016年11月4日と2019年12月19日の間に勾留され、この期間が刑期を果たすものになった主張し、刑の執行は完了することになろうとして、同氏の公民権[回復]を請求している。
アブドゥッラー・ゼイダンは、第5重罪刑事裁判所へ請願し、刑期を勾留期間で相殺し、刑の執行が2019年12月20日時点で完了したと指摘し、公民権の回復を請求している。裁判所は、ゼイダンの公民権回復の判断を下した[2023年4月4日]。このようにして、ゼイダンは選挙に出馬する権利を獲得したのである。
◾️被選挙資格の喪失
ディヤルバクル共和国検察局は、法務省司法統計総局の[個人の履歴に関わる]文書に沿って裁判所へ申立てを行い、アブドゥッラー・ゼイダンに関して、刑の執行日として最高裁判所が禁錮刑を認めた2022年12月20日を基とするよう要求した(注)。
異議申し立てを検討したディヤルバクル第5重罪刑事裁判所は、2024年3月29日に異議を認める判決を下した。アブドゥッラー・ゼイダンの公民権の回復は2025年12月20日にようやく可能になるという決定を下したのである。この場合、ゼイダンは被選挙権を失うことになる。
◾️選挙前に不可能なのか
その間に選挙は行われ、そしてアブドゥッラー・ゼイダンは選挙に勝利している。しかし被選挙権を喪失しているため、当選証明書を受け取ることができない。この判決に異議申し立てするルートは明白である。アブドゥッラー・ゼイダン自身も高等選挙委員会へ申し立てを行うと表明した。
◾️公正発展党候補者へ
ディヤルバクル第5重罪刑事裁判所の判決を受けて、公正発展党はヴァン県選挙委員会へ申請を行っている。ヴァン県選挙委員会は、アブドゥッラー・ゼイダンが被選挙資格を失っていることを指摘し、選挙にて第二位についた公正発展党候補者のアブドュラハト・アルバスを市長と明らかにし、当選証明書を与えている。法学者の一部は、アブドゥッラー・ゼイダンに関して上告の可能性を理由に、公正発展党候補者へ当選証明書を与えることを批判している。また一部の法学者はというと、高等選挙委員会が同様の判断を下していることを訴えている。
◾️政治的な結果
これは一つの法的判決であるが、その結果は政治的である。
1- 同じ裁判所
[ディヤルバクル第5重罪刑事裁判所は]一年前に公民権を回復する判決を下した際に、最高裁判所の承認日を知らなかったのだろうか。ここには深刻な問題が生じている。
2- 今回の決定は単にヴァンで広域市市長が交代したとして認識されるべきではない。その結果をもってこの地域に影響を及ぼすだろう。人民の平等と民主主義の党支持者は自分たちの意思を踏みにじられたと考えるだろう。
◾️ヴァン情勢は混乱
3-今回の決定に対して高等選挙委員会へ請願する可能性が浮上しているが、人民の平等と民主主義の党が実行動に移り、状況を混乱させるのは間違っている。権利を求める際には正当性の範疇を越えないように注意を払わなければならない。情勢を混乱させていては権利を勝ち得ることはできない。
(注)公民権などの回復には刑期終了後に三年間の期間を要する。
この記事の原文はこちら
翻訳者:橋本響
記事ID:57608