陸軍軍学校卒業式で少尉たちが放ったスローガンに与党関係者反発

2024年09月02日付 Medyescope 紙

陸軍学校の卒業式で少尉たちが卒業式の敷地の中央に集まり、「私達は、ムスタファ・ケマルの兵士である。」というスローガンを掲げた。この時、式にはエルドアン大統領も出席していた。少尉たちはこのスローガンに続いて、人々の称賛と批判を受けた。その場面の動画がSNSで拡散すると、政権に近い人々が少尉たちを標的にした。そして、起こったことごとは。

公正発展党党首でもあるエルドアン大統領は、8月30日国民防衛大学陸軍学校卒業証書授与および隊旗引き渡し式に出席した。

■エルドアン大統領「最高司令官」の表明

この場で話したエルドアン大統領は、「最高司令官」であると述べた。「トルコ共和国大統領及びトルコ国軍最高司令官として、あなた方を心から祝福している。一人一人のおでこにキスをする。新たな任地で衷心より成功を祈っている。首席で卒業する少尉たちをことさら祝っている。」

■少尉たちのスローガン

式の公的な部分が終わった後、新たに卒業する何百人もの少尉が、式の行われた敷地[のサッカー場]の中央に集まった。次いで少尉たちは、「私達はムスタファ・ケマルの兵士である。」というスローガンを掲げた。

このスローガンは、SNSで一部からは称賛を集めている一方、一部によって批判されている。その時の動画がSNSで拡散した後、少尉たちは政権に近い人々の標的となった。

エブル・エロール少尉は、陸軍学校を首席で卒業した。エロール少尉は、卒業証書をエルドアン大統領から受領した。

首席であるエロール少尉は、エルドアン大統領の前で話をした。エロール少尉の話の最後でも少尉たちに誓わせた。

エロール少尉が大統領の前で誓わせた「兵士の誓い」とされる文章(注)は次のとおりである。

「平時も戦時でも、陸海空いつでもどこでも、我が国民と共和国に正義と愛情を持ち、任務、法、秩序、上官に従うことを誓う。また、兵士の尊厳とトルコ国旗の名誉を心から神聖なものと弁え、必要ならば、祖国、共和国、任務のために喜んで自らの命を犠牲にすることを、我が名誉にかけて誓う。」

エロール少尉が[公式式典終了後にサッカー場の真ん中で]少尉の仲間に誓わせた文章は違った。

「私は誓う。世俗的で民主的なトルコ共和国の独立、国の不可分な一体性、崇高なトルコ国民の尊厳と名誉に向けて、神聖なる祖国に向けてわずかであれ伸びてくる手に対して、[敵は]私達を見つけ、私達の剣は常に研ぎ澄まされ備えている。私達はトルコ独立の末裔である。私達は、名誉をもって生まれ、名誉をもって過ごすことになる。なんと幸せなことか、トルコ人であると言うことが。」

■国防省:少尉について調査が行われるといった主張は正しくない

「私達はムスタファ・ケマルの兵士である。」というスローガンを掲げた少尉たちについて行政調査が開始され、着任となった少尉たちが本日学校に呼び出され、調査は式ではなくSNSで共有されたことが原因で始められたとの噂が広がり始めたことで、国防省はこの噂を否定した。

国防省のSNSのプラットホームであるXでの投稿では、「陸軍学校の卒業式が8月30ー31日で行われ、卒業した少尉たちの陸軍学校との身分的なつながりは残っていない。少尉たちが学校に呼び出され、彼らに関しSNSの投稿が原因で調査が開始されたという噂は正しくない。」と述べた。

■反体制派が使用する言葉である。受け入れられない

テュルキイェ紙のコラミスト、ジェム・キュチュク氏は、卒業生への捜査を開始するよう望んだ。「私達はムスタファ・ケマルの兵士である。」とは反体制派が使用する言葉である。受け入れられない。1960年クーデーターへの過程は、1954年に2人の大尉がソーセージ入りの卵を食べたことで始まった。民主党は、この事態を軽く見て、のちに重い代償を払った。公正発展党は必要な捜査を緊急に行うべきである。」

元公正発展党国会議員のメフメト・メティネル氏の投稿は次のとおりである。

「問う。まるで国防大学は、教団・新興教団の主張を否定するために、少尉たちが国家とアタテュルクに従うとのメッセージを発したと言った。情報発信者は自らを隠さずに自らの名前と名誉もって答えてほしい。このような宣誓式は、あなた方が知っていて許可を出して行われたのか。この宣誓式は、法、内規、慣習に適した式だったのか。つまり、必要な式だったのか。あるいは法律と規則から外れた式だったのか。」

公正発展党の中央決定・執行委員会のメンバーで、元国会議員であるオルハン・ミルオール氏は、メティネル氏の投稿を引用して少尉たちに反発を示した。

「神霊が、兵士たちを招集した際の新たなリハーサルのようなものなのか。問題が採用システムと面接方法を変えることであったならば。こうした呼びかけに対する文民側の答えとして、顔を民主主義に向けることで乗り越える。でも誰とどのように。」

未来党のデニズリ選出国会議員のセマ・スィルキン・ユン氏も「明らかに2007年の再現である。この映像を以前にも見た」と反発した。

似たようなメッセージが増えたのちに、民族主義者行動党のイスマイル・オズデミル副党首は、ソーシャルメディアで長い投稿を行い、少尉たちを支援した。

民族主義者行動党の公式アカウントもオズデミル副党首のこのメッセージを再投稿した。メッセージでは次のように述べられた。

「トルコ国軍は、偉大なるトルコ民族の真の兵士を、数多の勇者たちを懐から送り出したし、永遠に送り出し続けるだろう。彼らの任務は、兵士の名誉・トルコ国旗の誉を守ることであり、礼拝への呼びかけを止めさせないことであり、祖国の任務にあって必要とあらば喜んで自らの命を自らが信じるこの神聖な道筋にて捧げることである。この若者たちの永遠の最高司令官は偉大な指導者ムスタファ・ケマルである。レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領閣下も我が国民が委ねた権限をもって、この勇者の軍の、宣誓を誉高く唱えた少尉たちの最高司令官である。」

共和人民党のオズギュル・オゼル党首は、一部の層の標的となった少尉たちを支援した。

共和人民党のアンカラ県諮問委員会にて語ったオゼル党首は、次のように語った。

「あなたの思想上の指導者トルコ帽マニアのカディル[・ムスルオール]は『ギリシャが勝っていれば』といってましたよね。この子達はあなたに似て『我々皆は[ギリシャ軍司令官の]トリコピスの兵士だ』と発言したでしょうか。もちろん、彼らはムスタファ・ケマルの兵士です。」

また、「なんらかの言葉が入ってこの誓いが矛盾したものになることを歴史は許さないだろう」と述べ、少尉たちに向けた批判に激しい言葉で応答した。

(注)メディヤスコプTVに出演した、軍出身のハカン・シャヒン氏によると、兵士の誓いには二種類あるという。一つ目は今回の卒業式典でエロール氏がエルドアン大統領の側で唱えた「兵士の誓い」である。この誓いは、軍学校出身者の場合は入学後一月たって宣誓するものであるという。二つ目は今回公式式典後にサッカー場で唱えられた「士官の誓い」であるという。シャヒン氏によると、この誓いは以前は公式式典内で唱えられていたが(同氏が卒業した98年には唱えられていた)、いつの頃か無くなったという。


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翻訳者:新井慧
記事ID:58601