イスラエルがパレスチナに次いでレバノンへ攻撃したことの反響が続いているなか、イランは昨夜、イスラエルにミサイル攻撃を行った。エルドアン大統領はイスラエルがトルコ領土を見据えていると述べ、民主主義者行動党(MHP)のバフチェリ党首は国家安全保障部門が警戒・用心すべきであると明らかにした。それでは今後、私たちに何が起きるのだろうか?
2023年10月8日以降、ヒズボラと抑止的に衝突を続けてきたイスラエル軍は、9月23日にレバノン南部の都市に加え、ベカー高原とバールベク地域に何百もの空撃を実行した。レバノン当局によれば、ヒズボラが使用していた機器が爆発した9月17日以降、104人の子供、194人の女性を含む合計1273人が死亡した。
一昨日にレバノンに開始された陸上作戦は数週間続けられると述べたイスラエル軍は、この情報をアメリカ政府関係者にも伝えた。
◾️イランからイスラエルへのミサイル攻撃
他方で、昨夜にイランからイスラエルにミサイル攻撃が行われたというニュースは通信社に直近に速報で反映された。イランは反撃があった場合、「壊滅的な対応」をすると警告した。
イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は、イランの攻撃により、防衛・攻撃双方において「警戒」状態にあると明らかにした。ハガリ報道官は「この攻撃の結果が現れよう。我々の計画はまだあり、選択した場所・時間に行動を起こす。」と述べた。
◾️エルドアンによるメッセージ「イスラエルは我々の領土に目を見据える」
昨日、トルコ大国民議会の第28期、第3立法年度の開幕にて演説したエルドアン大統領は、イスラエルは我々の領土に目を見据えていると述べ、「シオニストロビーが我々及び我が国家に向けた評判を毀損する行為には決して屈しない。『約束の地』という戯言によって行動を行うイスラエル政府が完全に宗教的な狂信をもってパレスチナとレバノンの次に目をつける場所は、私たちの祖国の土地であろう。現時点では、すべての計算がこの上にある。トルコ内部にいる一部のイスラエルの友人たち、シオニスト愛好家たち、自発的あるいは金で雇われたシオニズムの宣伝装置が理解していないのはこのことである。」と述べた。
民主主義者行動党のバフチェリ党首は昨日の党会合で「トルコとシリアは、これ以上遅滞することなく、協力と和解を基本に据えて会談すべきであり、イスラエルとその支持者の広範な脅威に対して、わが国の安全保障部門は警戒・用心すべきである。」と論評した。
◾️「トルコは包囲されている」
「私が述べた戦略的目標は明らかだ。ガザは口実、レバノンは最弱部分」と述べたイェディテぺ大学のメスト・ハック・ジャシュン教授はCNN TÜRKで説明を行い、「シリア領内にいるアメリカ中央軍(CENTCOM)とともにアメリカ軍をここで統合するであろう。我々が『ダビデ回廊』と呼んでいる回廊により、その時どうなるのであろうか?トルコとイスラエルは何らかの形で隣国となる。イスラエル軍は現在、凡そ8個旅団で進駐しており、約10万人の兵士を擁している。[これでは]そのことを実施できない。なら、何が必要か。アメリカ軍は第6艦隊を使うだろう。」と述べた。
ジャシュン教授の説明は以下の通りだ。
「ギリシャと南キプロス政府もここで活動することが見受けられる。そしてネタニヤフ首相は『我々にギリシャとキプロスは援助するだろう』と述べる。
トルコは包囲された状況にある。このことを行うのは誰か?我々の同盟国であるアメリカだ。マイク・ポンペオに始まるトランプ時代以降、アメリカ軍は『ロシアと戦う』という理由で、ウクライナ戦争で20の基地を得た。ここで彼らはクレタ・スダ基地を、キプロスと合同して軍事演習を開始した。ローザンヌ条約で禁止されたにも関わらず、アメリカ軍は非武装の島々に上陸した。
エーゲ海、東地中海でトルコが南方から包囲されているのを目にしている。そしてアメリカの陸軍士官学校では、10年前からアメリカの海軍士官や将校に、フォチャ所属のトルコ海兵隊の作戦開始とともに、トルコはアメリカの傘下にあってアメリカの空母がキプロスをめぐる紛争で島々を攻撃すると伝えてきた。彼らはこの計画に10年間取り組んできた。
私たちの東部国境はというと、アメリカはイラク戦争が終わったにもかかわらず撤退せず、シリアではイスラム国が終わったにもかかわらず撤退しなかった。長距離トレーラー5万台の武器が提供された。」
◾️「国際機構は存在せず、国連は無為無策のまま」
イスラエルの標的には長期計画による政策があると述べたイスタンブル・アイドゥン大学のイェリズ・アルバイラク講師は本紙のセルジャン・ディンチュ記者に以下のように説明した。
「昨日今日で形作られた計画の話ではなく、インフラや拡張の可能性がずっと以前から計算されていた動きなので、現時点では、イスラエルが公表している『限定的な』陸上作戦という、その限定がどこで終わるかは予見できない。主導権がイスラエル自身にあるだけに、自らの頭で設定し、自らの頭で前進の限界を形作っているので、現在彼らの戦略目標の中にある限界がどこであれ、そこまで前進するだろう。これを実行する上で働きかけてくる国際的なメカニズムはイスラエルの前には存在しない。国連はいまのところ無為無策のままだ。国連では誰もが遺憾の意を表明した。イスラエルを阻止できる国際機関、組織は存在しないとの国際世論がある、このことを知るべきだ。
◾️アメリカの準備の堆積が我々の周りに
危険性がこれほど広がりを見せるものになることを予見するのは難しいことではなかった。中東を長い間見ていると、イスラエルはおろか、それ以前に、アメリカ、フランス、あるいはイギリスが、地中海を含む周辺のすべての海や海峡を、軍需装備品や兵員、あるいは艦隊で完全に強化するために、何年もかけて一歩一歩取り組んできたことを知っている。
長い間、中東地域に向け行われた計画がある。我々の周辺で多くの準備が行われた。ギリシャ、南キプロス、ルーマニアなど多くの国々で、今、アメリカが準備する基地がある。これらを『ウクライナへの援助』と呼ぶか、南キプロスでの『力のための投資』と呼ぶか、その違いはない。
◾️こうした力は長い時間をかけて、我々の目と鼻の先に配備され始めた
私たちの目と鼻の先で、中東で状況を必ずや複雑化させ、イスラエルに対する脅威が発生した場合に即座に対応できるような脅威要因となれとばかりに。 こうした力は、実際に非常に長い時間をかけて、私たちの目と鼻の先に配備され始めた。
私たちの知らない裏の外交では、別の汚い計算が行われているのは明らかだ。ご存知のように、現在中東では、誰に仕えているのか明白な、あるいは明白でなかったり仕える対象を簡単に変えることのできる、多くのグループが動き回っている。イランの抵抗軸に含まれる武装グループも様々だ。今日は最後にヒズボラに触れる。レバノンの自国軍隊は撤退し、ヒズボラの戦力が前線に置かれた時まで来た。
ネタニヤフは今、ヒズボラの危険性を感じているため、ヒズボラを狙っている状況にある。自分たちにとってリスクとみなした、こうした全て演者を、ヒズボラの指導者や地域の人々を、ベイルートの中心部であっても、民間人の犠牲を顧みず、ピンポイント攻撃を行使するのを実際に見た。
◾️戦車の動員は威嚇のためだけではない
また、国境での戦車動員は決して無駄ではなく、このことがそもそも膨大な支援と準備とコストを要するものであることも考慮に入れるべきだ。このような大量動員は、単に威嚇するためだけではない。もちろん、これらの戦車は国境を越える計画があることを示している。というのも、これは以前にも行われたことであり、イスラエルは協定をきちんと守っていないという結末を見てきた。
イスラエルもこのことを知っている。アメリカ、西側諸国の全面支援を受けてあらゆる状況であっても擁護されるのを知っているので、彼らの頭の中ではリタニー川に達するのか、水資源に達するのかもありうる…。
もう一歩踏み込めば、これらは短期的には実現しないかもしれないが、イスラエルの長期的な計画は、シリアにテロ組織を設立することを援助することだ。シリアの国のあり方をより改ざんし、より脆弱にするため、演者が演じ、自分たちに新たな活動分野を切り開くため、より前進する可能性も予想できる。
◾️私たちが誰と会談しても、アメリカが出てきて私的な会合を行い、状況を撹乱させる
シリアより少し先に進めば、私たちの国境に達する潜在的な危険があるのを認識する必要がある。すぐに起こりうることではないが、イスラエルの行動を日々見ていると、この地域の国々が常に複雑な状況にあり、安定は一切許されていないことがわかる。私たちが誰と会っても、アメリカは出てきて私的な会合を行う。私たちはイラクに行ったが、彼らは私たちを追ってきた。エジプトに行っても同じだ。私たちが去ると、後からやってくる。シリアとの会談の合図を出すと、我々のすぐ後から関係者がそこへ行って状況を混乱させるのだ。
◾️イスラエルの前進が遅かれ早かれ我々の国境に到達することを予想している
このため、現在イスラエルの目的は自身が理想とすることである。現在、イスラエルはこの地域で、誰と、どのような問題で合意し、どこまで前進を許され、どの地点でアメリカが『撤退せよ、合意のテーブルに着こう』と言うのか。 今はまだ予想できない。しかし、イスラエルが出向きうる場所は、長期的には危険なものとして、最大で我々の国境まで遅かれ早かれ到達するものと完全に予見している。
◾️歴史の中で繰り返されてきた
こうした点で事件が起こっていることを把握する必要がある。決して起こらないであろうと我々が考えることだ。歴史の中で繰り返され、今はそれを妨げる大きな障害はない。レバノンはいまだに複雑な統治システムに直面している。彼らは大統領を選ぶことができない。中東には安定した体制はない。
ネタニヤフ首相は昨日登場し、イランに対し『民主主義』といった言説で国民に影響を与え始めた。これはつまり、『もう少し関与する』ということだ。新たに就任したペゼシュキアン氏が戦争にあまり賛成でないことはわかっている。
陸上作戦はもっと拡大するかもしれない。自分たちで緩衝地帯を作ることもできるのだ。」
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翻訳者:伊藤颯汰
記事ID:58793