独ショルツ首相のトルコ訪問「新しい始まり」

2024年10月20日付 Milliyet 紙
トルコのエルドアン大統領は、独ショルツ首相との共同記者発表で次のように述べた:
「我々は、防衛産業製品の供給に関連してこれまで起きた諸問題を水に流し、協力関係を改善したいと考えている。この点に関し、我が親愛なる友人であるショルツ首相の努力に感謝している」

レジェップ・タイイプ・エルドアン大統領が、トルコを訪問中のオラフ・ショルツ独連邦共和国首相とドルマバフチェ大統領府で会談をおこなった。報道非公開の会談は約1時間に及んだ。
この会談には、トルコのハカン・フィダン外務大臣、イブラヒム・カルン国家情報機関長、ファレッティン・アルトゥン大統領官邸広報部長、アキフ・チャータイ・クルチ外交・安全保障大統領顧問も同席。
エルドアン大統領はショルツ首相との共同記者会見で二国間の友好条約100周年を祝うとともに、次のようにスピーチした。

〇緊密な関係を築いている
「我々は4月に独フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領をトルコにお迎えした。そして本日、親愛なる首相と彼の高貴なる代表団を我が国にお迎えすることを喜ばしく思う。我々はNATO同盟国であるドイツとトルコという偉大な二国家であり、可能なかぎりあらゆる分野で緊密な関係を築いている。最近の両国のハイレベルな往来もこうした事実をはっきり示すものだ。このような緊密な関係の原動力は、人間同士の結びつきと両国に共通する利益である。」

〇目標は600億ドル
「ドイツには350万人以上のトルコ系住民がおり、毎年600万人以上のドイツ人観光客がトルコを訪れる。この数字が増えることを願っている。我々の二国間貿易額は500億ドルに達しており、600億ドル到達を目標としている。」

〇過去の問題は水に流す
「ショルツ首相と議論した重要トピックとして、まずは防衛産業分野での協力が挙げられる。防衛産業製品の供給に関するこれまでの諸問題を水に流し、協力関係を改善したいと考えている。この件では我が親愛なる友であるショルツ首相の尽力に感謝していることを、今日改めて表明したい。会談では、当然ながらドイツ国内のトルコ人コミュニティの件も議題に挙がった。欧州ではイスラム嫌悪や排外主義的な極右運動が増大している。我々が特に強調したいのはドイツ政府が示した団結の姿勢である。ドイツの治安に深刻な脅威をもたらすクルディスタン労働者党(PKK)やフェトフッラー・テロ組織(FETO)をはじめとするテロ組織との共闘の重要性、そしてテロとの戦いへ向かう決意について意見が一致した。具体的な措置を期待していることを我々からショルツ首相に共有した。」

〇イスラエルに圧力を
「私からは、EU内でドイツが担う重要な役割を前提として、ドイツとEUとの関係に関する見解と期待をショルツ首相に伝えた。特に関税同盟の更新やビザ自由化対話等、EUが取るべき措置があらゆる人々の利益になるのだと強調した。イスラエルによるガザとパレスチナ占領地での虐殺、そしてレバノンでの攻撃も我々の議論の重要テーマだった。我々は、即時かつ永続的な停戦と人道援助の提供、イスラエルへの必要な圧力を確実なものとするために国際社会として最大限努力せねばならない。」

〇政治主体が「やめろ」と言わねばならない
「パレスチナとレバノンでの虐殺が続く限り、この地の平和はありえない。現地で5万人以上が殺害されている。良心と思慮分別のあるあらゆる政治主体がイニシアチブをとり、イスラエルの攻撃的な政策に対して「やめろ」と言うことを期待している。」

■「イスラエルの手の中の玩具」
エルドアン大統領はイスタンブルのホテルで高官らとも会談。高官らに新たな権利を与えたと述べたエルドアン大統領は、今後、トルコ経済が成長し、国家としての可能性が拡大するにしたがって(ガザやレバノンでの)福祉もさらに拡大するだろうと付け加えた。エルドアン大統領は、高官側もこの地域の動向を注視してきたはずだとし
「この一年間ガザで続き、先月レバノンにまで拡大した虐殺はもはや言葉では言い尽くせない。多くの子どもと女性を含む5万人もの罪なき人が世界中が目にするなかで虐殺された。米国、欧州、国連安全保障理事会は、ネタニヤフという狂った犯罪者の手の中の玩具と化した。2万人の子どもが死んだ。誰一人として立ち上がり「卑劣だ」と言えなかった。何万人もの女性が死んだ。女性権利団体は沈黙した。175人のジャーナリストが死んだ。国際メディアは気にかけなかった。ゲズィ運動の際、一か月にわたってタクシム広場にテントを張って抗議した者の誰一人としてパレスチナやレバノンで姿を見かけない。彼らは沈黙し、震え、怯えたのだ。」と述べた。

■「誰もが自衛権をもつ」

その後、ショルツ首相は次のようにスピーチした。

「この場所に来ることができ、とても光栄だ。二国間の問題でも世界の問題でも密な情報交換が非常に重要だ。我々は皆、ロシアのウクライナに対する侵略が国際法違反であると認識しているが、この戦争が永遠に続かないようにするために我々に何ができるのか? ロシアは欧州全体の安全を脅かしている。しかし我々はイスラエルについては異なる見解をもっている。10月7日に発生したハマスの攻撃は恐ろしい犯罪だった。もちろん誰もが自衛権をもっている。紛争の拡大を防ぐには、急進さを緩和することと停戦が不可欠だ。両国家による解決が必要となる。」

■F-35機に「よく撃った」と言えるか?

ある記者にガザでの虐殺について質問されたエルドアン大統領は、この虐殺では子ども、女性、高齢者を問わずあらゆる人が殺害されたとし、「5万の死者と10万以上の負傷者を出しながら、F-35機部隊に「よく撃った、上出来だ」と声をかけさせない。彼らには「おまえたちはどこへ行くんだ?」と尋ねさせる。そうでなければ司法裁判所はなぜ設立され、どのような理由で司法裁判所に申し立てるのか?」と述べた。

エルドアン大統領は、反イスラム感情についての質問には次のように回答した。
「ドイツでイスラム敵視が蔓延し続けており、その最前線にPKK、FETOといった組織がいる。この点についても今日、我が親愛なる友、つまりショルツ首相と我々は、それらのテロ組織に対して同じ姿勢で共闘を続けていくことをともに決意した」と答えた。

次に、今もってイスラエルへの支援が続いていることについては、「イスラエルの力は他国とは比較にならないほど強大で、今やF-35機を投入するまでになった。多くの指導者が殉教するのはイスラエルにとっては喜ばしいことだ。西側諸国は鐘を鳴らして遊んでいる」と述べた。

■ドルマバフチェ宮殿での重要会談

エルドアン大統領は、イスタンブルのドルマバフチェ宮殿にある執務室にユルマズ・トゥンチ法務大臣とケマル・メミシュオール保健大臣を招集。通信庁は、「この会談でエルドアン大統領は、ここ数日世論で話題となっていて大統領も注視している問題について、関係閣僚らから詳細な情報を得た」と発表した。


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翻訳者:原田星来
記事ID:58920